そういう意味では、今回の日テレのストというのは、世間でいうところのストライキとは本質的に全く別物である。はっきりいうが、彼らは搾取される哀れな労働者でもないし、会社の業績を盾に綱渡りの交渉を繰り広げているわけでもない。
制作会社に仕事させつつ、正社員という安全地帯の中から、ノーリスクで「もっと寄こせ」とわめいているに過ぎない。
これはいったいなんだろうか。
強いていうなら、「そんなに働いているわけでもない人たち同士の分け前をめぐる争い」という意味で、江戸時代のお家騒動に近い気がする。
「わが方こそ正義なり」
「いやいや、われらこそ義である」
といって争うお侍さんたちを、実際に生産活動に従事していた農民や町人は、きっと冷めた目で見ていたに違いない。
テレビ局労組の「闘争」がどこかしらじらしく見えてしまうのは、我々の多くも、昔の農民同様に、実際の生産活動で飯を食っている身分だからだろう。
城 繁幸
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