日テレがストライキしても放送に支障が出ない理由

2010/10/12 15:47

   日テレ労組が先月末、今年3度目となるストを実行した。ちょっと妙な話だ。

   普通、ストというのは「賃上げしてくれなきゃ働かないぞ」といってやるものである。それが、言われなきゃ気づかないほど、日テレは通常通り放送されている(僕自身、ストをやっているらしいという話は知っていたが、3回目とは知らなかった)。

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番組制作を支える「物言わぬ働き手」

2010年9月30日にストを実施した日テレ
2010年9月30日にストを実施した日テレ

   よく、「日本の労組はストもやらないヘタレだ」という人がいるが、日本ではストやる方がバカである。

   だって、終身雇用でこれからもずっとその会社にい続ける以上、ストなんかやって売り上げが激減したら困るのは自分たちだ。

   しかも上場企業では、たいてい持ち株会という制度があって、労組=株主でもある。こうなると、ストといってもビルの屋上で「聞いてくれなきゃ飛び降りるからね!」と言っているようなものだろう。

   だから、日本では好況時はもちろん、不況時もストなんてありえない。ストがありえるのは、労働市場がある程度流動的で、企業横断的な職種別労組があるような国だけだ。

   逆にいえば、TBSや日テレのようにホントにストをやっちゃうテレビ局というのは、日本では非常に特殊なケースと言える。では、なぜ彼らはストができるのか。

   それは、実際の番組制作は、ほとんどが制作会社によって行われているため、ストをやっても放送への支障が軽微なためだ。彼らが「古き良き労働組合」というわけではなくて、むしろ「物言わぬ働き手」が別にいるからこそできる芸当なのだ。

(続く)

城繁幸(じょう・しげゆき)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログはDoblogに障害が発生したため、gooブログに移転中。

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