ノーベル平和賞:劉氏受賞、中国メディア報道せず(下)

 さらに、知識人の間でも反感が高まっている。北京大出身の金融業界関係者は、「西側は政治的、経済的、軍事的手段が通じないため、イデオロギー攻撃に乗り出そうとしているのではないか」と語った。

 一方、中国国内の民主化運動家たちは、劉氏のノーベル賞受賞を歓迎している。あるインターネットユーザーは、「とても喜ばしいニュースだ。今回の受賞を契機に、中国国内の民主化運動が力を得るのではないか」と期待した。北京駐在の外交関係者は、中国政府が当面沈黙で対応すると予想した。しかし、経済開発と政治改革の板挟みとなった中国の最高指導部は苦悩を深めることになりそうだ。これまで中国は、経済開発を優先するため、民主化と政治改革の要求を、政治的安定を名分に抑え込んできたが、今回の受賞を契機にそうした声が噴出する可能性が高まったためだ。当面は今月15日から開かれる中国共産党第17期中央委員会第5回全体会議(五中全会)で、政治改革問題をめぐる論議が避けられないとの見方もある。

 このほか、中国の権力層がさらに保守化する可能性を指摘する声もある。貿易不均衡、人民元切り上げ問題などをめぐり西側と対立している状況で、さらに強硬な態度に出るのではないかとの見方だ。北京駐在の外交消息筋は、「中国の権力内部で劉暁波問題の処理を求めてきた勢力が、劉氏のノーベル賞受賞は中国に対する西側の攻撃だという論理を盾に、強硬な対応を主導する可能性がある」と述べた。

北京=崔有植(チェ・ユシク)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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