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目標を設定するにあたっては、上司からの指示を待つ、というような受身の態度ではいけません。
上司の方針や目標を無視しなさい、自分の考えを押し通しなさい、と言っているわけでは、ありません。
良い目標にしていくためには、上司と部下とのコラボレーション(協同)が大切だ、といいたいのです。
自分としては、このような事柄に取り組みたい、取り組むべきではないか、ということを、上司との話し合いに入る前に、整理しておく必要があると思うのです。
そうしておかないと、目標設定がお互いを刺激し、啓発しあえるような場にならないのです。
相撲でたとえるなら、上司は横綱です。
その横綱の立会いを見てから立ち上がっているようでは、相撲にならなのです。一直線に横綱(上司)に押し出されてしまうのです。
そこには満足感が残らないのです。
自分の成長もないのです。
たとえ押し出されようが、投げられようが、自分から一歩踏み込んだ立会いができれば、精一杯やったという満足感は残ります。成長もします。
自分で考えたって、どうせ上司の目標を割り当てられるのだから、と斜めに構えないで、自分の成長のためだと思って、目標の候補、アイデアは整理しておきましょう。
行き過ぎた個人主義的な目標管理は、メンバーを精神的に追い詰める傾向を生む。
チームワークがおろそかにされ、個人プレー、スタンドプレーが横行する。
だから共通目標もあってよいと思う。
チーム全員がすべて同じ目標、というのではない。
チームのAさんとBさんは、今期たまたま、あるひとつの目標を共有する、というイメージだ。
その際に注意しなければならないのは、「ぶら下がり現象」だ。
Aさんがほとんど一人でやって、Bさんは何もしなかったのに目標は達成された、というケースだ。
この場合、目標管理連動型の人事考課では、目標達成にあたっての評価は差がつかないことが多いと思う。
* 評価に差をつけられる評価基準もあると思うが・・・
そうのような組織では、他の評価項目で差がつけられるなら、そうしたい。
たとえば、コンピテンシー評価もあわせて実施しているなら、Aさんの「リーダーシップ」や「イニシアティブ」が高く評価される、というニュアンスだ。
共同目標化すると、ぶら下がり現象が生じるのでは? という恐れだけで、「個人に目標を割り付ける」ということはやめたほうが良い。
たとえ成果主義でも、業績重視でも、やっぱり社員には、チームプレーを要求しなければならない。
そういう組織を創っておかないと、チームワークに優れた組織と競合した場合は、確実に負ける。
文責:田辺和彦
困難度の高い目標に取り組む、ということは失敗する可能性も高まる、ということだ。
だけれども、チャレンジしない人や組織には、成長はない。
民間企業なら、チャレンジする競合他社に置いて行かれる。
テレビ東京 2007.01.29放送 「カンブリア宮殿」で、全日空の大橋会長は、次のような話をされている。
「私は失敗をしない若い人というには、あまり信用しない。何もしていないということを証明するようなものじゃないか?」
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/bn/070129.html
自分自身の成長のために、と考えて高い目標に取り組もう。
文責:田辺和彦
目標シートにはスペース的な制約がある。そのため、目標は、無機質、味気ない表現になりがちだ。
例えば、「××に起因する入力ミスを3割削減する」という目標は、立てた時には、その背景や目的など「志すところ」はイメージできている。
しかし、数カ月たつと、目的や背景、志が消えてしまって、やるべき事柄、ノルマとして目標のイメージが残る。
上記の例では、きっと「再入力に伴う急な残業をなくす」、「お客様に迷惑をかけない」などが本来の目的としてあるのだろう。
忘れないようにする対策としては、2つ考えられる。
1)目標の前の列に、「目標設定の背景」を挿入する。
2)「目標」に、目的を表現する。
前者は、目標シートに工夫をこらす、という方法だ。
後者は、少し長ったらしくなることを覚悟して、全部表現する、という方法だ。
上記の例で言えば、このようになるのだろう。
「お客様の手間を省けるよう、××に起因する入力ミスを3割削減する」
目標達成のアクションを起こす前に、これらを眺め、目的や背景を思い出し、志を取り戻す。そして心のこもった仕事をする。
そうすることで、安直な仕事、心のこもらないやっつけ仕事になることが防げる。
そして最終的な目的(多くの場合)となる、「顧客・ユーザーの満足」や「組織・個人の成長」などが達成される。
能力開発目標は、できるだけ「仕事」で表現しましょう。
例えば、「Word修得」、「excelをマスターする」という目標は、仕事に関係する事柄で表現しましょう。
なぜなら、「excelをマスターする」といっても、ソフトウェアは奥が深いからです。プロのソフト開発者が作成するようなプログラムまでexcelで作れてしまうのです。
「習得する」、「マスターする」という表現をもう少し具体化する必要があります。今期はどこまでやるのか、というのを明瞭にしないと、何をすべきか?という行動も明確になりません。もしも結果が人事評価に関係するなら、自分の評価と上司評価にギャップが出てしまうことも考えられます。普通、「自分ではやったつもり」でも上司からすると「あれでは不十分」という事になります。
「明瞭な達成レベル」を目標に示すためだけに、「○×試験に合格する」ということにするのも考え物です。
それだけの手間、コストが発生するからです。
職場での目標管理で取り組む能力開発であるなら、仕事で表現しておくのが、一番、自然です。
「excelをマスターする」とするのではなく、「月次の定例営業管理資料をexcel化し、資料作成時間を3割短縮する(月10時間を7時間以内に)」という感じで作成できると良いでしょう。
あなたのアクションも具体的になりますし、上司との評価のギャップも生じにくくなります。
管理職の目標があまり抽象的だと、部下が困る。
かといって、あまりに小さな目標、具体的すぎるものだと、部下が目標を作りづらい。
例えば、6名の東北営業所長で考えてみよう。
部下には、営業職が4名、サポート担当2名(宮城担当、全域担当)、営業アシスタント1名がいるとする。
その営業所長が、
1.「東北営業所売上高 5億円」
2.「秋田県○×グループとの新規契約で売上を1億円のばす」
という目標だけなら、「サポートの人」や「営業職の秋田県以外の担当」が困る。
これは具体的すぎて、関係ない人が出てきてしまう例だ。
2つめの目標が「介護関係企業との新規契約で売上を1億円のばす」
という程度なら、サポートの人もその上司目標をとらえた目標化が可能かもしれない。
例えば、「介護関係での成功事例、失敗事例を8月までに5件まとめ、営業所会議で発表する。」というような感じだ。
抽象的すぎて困る例は、このような感じだ。
1.「東北営業所売上高 5億円」
2.「顧客管理を徹底する」
こうすると、「サポートにとっての顧客管理」、「営業にとっての顧客管理」がピンとこない。だから、単なるかけ声に終わってしまう危険性が高い。
管理職は自分の目標を立てる時には、部下が目標を立てやすいように、と考えて作り込む必要がある。
目標のテーマ、すなわち「何を」という部分が、漠然としているものが多い。
例えば、「生産性を向上する」では良くない。
→ 私は、この表現の大きさを「地上一階」と例えている。
それは「どの部分の生産性なのか」を特定したい。
「○×製品群の返品作業の生産性」という感じだ。
→ 上記の事例では、「製品群」で「地下一階に」、「作業内容」で「地下二階に」下ろしている。
地下三階のイメージでテーマを特定したほうが、努力が傾注できる。
また努力と、結果(業績)がリンクしやすい。
ところが地上一階の目標のままだと、他の要因で、本人が努力しなくても達成する場合や、本人がいくら努力しても届かない、ということが起こりがちだ。
また、特定すると目標のマンネリ化も防げる。
「特定する」という行為の中で、思考力が高まっていく。
だからテーマを「地下三階」イメージで特定したい。
文責:田辺和彦
特定のエリアや特定の顧客を担当している営業職の場合、そのエリアや顧客の状況によって、営業目標の困難度が変わってくる。
お客様が上向きである担当は、高い数値が期待できるはずだ。
しかし、逆の場合は、同じ数値では達成が困難になる。
このような場合、マネジメント側(営業部長や本社スタッフ、経営者)が、それぞれのエリアや顧客の情報を収集分析が不十分だと、目標の困難度を特定できない。
でも、それらを正確に知ることは困難だから、つい「みんな同じ数値で公平に」ということになりやすい。
だが、結果が人事評価につながり、さらに処遇に反映する組織の場合、それでは、「結果としての公平性」が失われる。
例えば、担当する顧客自体が伸び悩んでいる営業職は、同じ目標を追いかけていても、達成できなくなり、評価も厳しくなる。
担当顧客を定期的に入れ換える組織なら問題は小さい。「今年はアンラッキー」で済ませることも出来るかもしれない。
人事評価の観点からだけでも、どの分野が伸びているのか、伸びようとしているのか、市場への情報収集力、洞察力の向上が欠かせない。
人事評価だけにとどまらず、環境を把握し、具体的な目標に落とし込んで追求する。これは、古今東西、組織や生き物が、生存していくための原則でもある。
不特定多数の顧客を対象にする営業職の事例は、また違うページで検討したい。
医療ミスは、死亡という最悪のケースにつながる危険性を秘めている。
だからといって、死亡事故0件を目標に掲げるわけにはいかない。
永遠のテーマであり、当然のことであり、でもいつしかスローガンに堕する危険性を秘めている。
医療現場でも、安全管理の取り組みとして、ヒヤッとした事例、ハッとした事例を調査し、公表し始めているようだ。
スローガンをただ闇雲に唱えるよりも、現状の危険性をしっかり把握し、その改善を目標化できれば、少しずつでも事故は減っていくに違いない。
文責:田辺和彦
~ あわや医療事故18万件 2006年8月10日 日経新聞掲載 ~
一歩間違えば医療事故になりかねない「ヒヤリハット」事例が、調査対象となった全国の国立病院や大学病院など約250医療施設で、昨年一年間に約18万2千件あったことが9日、財団法人「日本医療機能評価機構」のまとめで分かった。経歴3年以下の経験の浅い人が全事例の約四割に上った。ヒヤリハットが患者に与えた影響は、「間違いが実施されたが、影響はなかった」が70.4%と最多。「間違いの実施前に発見され、影響は小さかった」が11%、「実施前に発見されたが、影響は大きかった」も1%あった。
0か1かの目標(ゼロイチ目標)は、好ましくない。
<好ましくない理由はコチラ→
http://www.gdl-j.co.jp/archives/000265.html
http://www.gdl-j.co.jp/archives/000264.html
ゼロイチ目標になりそうなものは、原因を掘り下げて目標にする。
「○○ミスゼロ」は、ミスが起こる原因を分類し、その中のいずれかを目標にする。
例えば、システムへの入力が間違っていて、誤った請求書がたまに出てしまう・・・
というケースで考えてみよう。
この場合だと、例えば次のようにすると良い。
××帳票の入力後の確認で発見されるミス率0.5%(1000件中の5件)を半減する(0.25%以下に)
文責:田辺和彦
「100%実施」、「完遂する」などの目標は好ましくない。
できればそのような表現を避けたい。
もしくは、表現上の問題ではなく、違う種類の目標を掲げた方が良い場合が多い。
なぜなら、「100%達成」を掲げなければならない事柄(テーマ)は、「本来やるべきルールになっている事柄」を掲げていることが多いからだ。
たとえば、すでにルール化されている作業日報や営業日報が提出できていないからという理由で
「営業報告書100%提出」とするような目標だ。
組織内でルール化されているなら、それらのことをやって当然だし、目標にするような性質のものではないのだ。
どうしても日報提出にこだわった目標にするなら、日報が提出できないケースを特定し、
そのケースを改善するような現実的な目標にしたい。
例えば、
「直帰の場合でも、翌日の昼までに日報提出の提出率を8割以上に改善する(現状は3割程度の提出率)」
という感じだ。
文責:田辺和彦
ゼロ(0件)や1(100%)の目標は好ましくない。
できればそのような表現を避けたい。
なぜなら、「ゼロ(0件)」や「100%達成」を掲げなければならない事柄(テーマ)は、ミスが発生した時点で終わってしまうからだ。
来年度にミスをなくすために、実際には地道な作業が続くのだろうが、「気分的には終わった」感じになってしまうのだ。
たとえば、「×○災害は0件」は、今年の目標というより、未来永劫の必須条件なのだ。
作業日報や営業日報が提出できていないから「営業報告書100%提出」なども、会社でルール化されているなら、それらのことをやって当然だし、目標にするようなものではないのだ。
でもデータも揃っていないし、どうしても「0か1かの目標」を掲げざるを得ない、という場合もあるだろう。
だから「ゼロイチ目標」は悪(×)ではなく、好ましくない(△)だと思う。
達成レベルを数値でとにかく示しているからだ。
目標には、「何を」、「どの程度」、「いつまでに」の3要素が必要だ。
「整理整頓を徹底する」では何かが不十分だ。
「何を」が漠然としている。
「整理整頓する対象」を具体化、つまり分けて明確化する必要がある。
「どの程度」が記載されていない。できれば数値化して明瞭にしたい。
「いつまでに」も記載されていない。この部分を抜くと「期末までに」という表明だと見なされる。
上記の考え方に基づいて修正していくと、たとえば
「Y製品契約書の書棚スペースを10月までに半減する」
とか
「Y製品契約書を1分以内で関係者が取り出せるようにする(12月までに)」
という「いい感じ」に変えることができるかもしれない。
高い目標に取り組む為には、自分自身を成長させる必要が生じる。
高い目標は、組織の成長や、顧客満足の向上をもたらす。
だから高い目標に取り組んだほうがよい。
*非現実的な高すぎる目標レベルも好ましくない。説明は近い将来、別のページで。
目標を考えるとき、3つの方向からネタ(候補)を考えて見ましょう。
1)上から ・・・・ 上のほうからの指示や方針 (上司の目標、所属組織の方針)
2)地上から ・・・・ 地上に落ちているゴミ (発生している、あるいは発生しそうな問題)
3)下から ・・・・ 地下に脈々と横たわる水流 (もともと自分の職務上、期待されている事柄)
一つ目の「上から」の部分は、上司の目標や、部門の目標、会社の方針、社長がいつも言ってることなどがあるでしょう。それを具体的に自分の仕事の目標として取り組むためには、何がテーマになるんだろう・・・というように考えていくことを指しています。
2つ目の「地上から 」は、例えば、来年度、○×法律が変わるから、「今年中に、○○は、しておかなきゃ」という類のものです(この例は「将来発生しそうな問題」)。または、「主要製品なのにたびたびパンフレットを切らせていて、お客様を待たせてしまっている」などの問題です(この例は「現在発生している問題」)。
3つ目の「下から」は、もともと自分の職務に期待されている事柄、要素を7つ程度に整理しておき、そのリストをヒントに目標を設定してみてはどうか、というものです。
例えば、営業職の人で、債権回収が私たちに期待されている、というなら、今期は、担当の業界は調子が悪い。お客様の中でも、債権回収に不安があるところが出始めている。だったら、今期の目標の一つとして、「2ヶ月超の滞留債権を半減する」というようなテーマかな?というように考えていくことを指しています。
抽象的な目標は、次の2点で好ましくありません。
1)自分の努力以外の要素で、達成・未達成が決まってしまう → やりがい、集中力が沸いてこない
2)毎年、同じような目標になってしまう → マンネリ化する(考える能力が育たない)
例えば、営業の人が、「利益率20%確保」という目標を掲げたとしましょう。
何を売るか、何が売れるのか、製品・商品の構成比が、自分の努力とは別のところで変わる、ということが起こりますね。そうすると、ラッキー!という場合も有るでしょうが、どんなに努力すれども20%は確保できない、ということも起こる可能性があります。
全体の利益を20%以上にすることが組織方針なら、あなたの担当している顧客、製品の特性、ライバルなどを良く考えた上で、「y製品群の粗利益率25%」などと表現しましょう。
こういう思索を重ねることが、あなたの能力(戦略立案能力)を育てることになります。テーマが具体的になると集中力も沸いてきます。この場合だと、「y製品群」の粗利益率改善のために努力を集中すれば良いのですから。
上級管理職が、一般社員と違う点は何でしょうか。
部下がいるということであったり、ある程度の経費支出が認められていることであったり、また活動の自由度が高いことであったりすることではないでしょうか。
経営資源を与えられている分、成果をコントロールしやすいポジションにあり、階層がトップに近ければ近いほど、目標も最終成果に近いところまで上げられるポジションにあるともいえますし、成果を上げられて当然なポジションにいるともいえます。最終成果とはどういったものでしょう? 以下のようなものが考えられます。
・決算書に現れる、コスト削減・効率向上・財務体質改善などの財務的成果
・決算書にはすぐには反映されない、事業の再構築・業界ポジションの向上・システムの設計・再構築などの重要な活動
しかし、上級管理職であるにもかかわらず、活動的テーマを目標とされているケースをたまに見かけます、例えば以下がその例です。
・○○職の能力開発を促進すべく、○○研修を5回開催する
・大口顧客における営業マンとの同行訪問回数を倍増させる
・設計審査の回数を増やす
これらが、中間管理職や一般社員であるなら問題はないかもしれません。しかし、上級管理職が掲げる目標であるかというと、非常に疑問ありです。むしろ、上記のものは、「達成手段」の中に織り込み、本来の目標は以下のようなものにすべきではないでしょうか。
・○○職の一人あたりの売上を10%アップする
・大口顧客の前年対比売上高を5%以上高める
・自己責任による再設計業務の割合を半減させる
「目標」には、以下の3つの要素が必要だ。
1.テーマ(何を)
2.どの程度(到達レベル)
3.いつまでに(期限)
最後の「期限」は、省いてしまうこともあるが、その場合には、「期末までに」ということを表現している事になる。
例えば、次のような目標は、何かが足らない。
a) 「整理整頓を徹底する」
b) 「新規を開拓する」
a) の事例では、「どの程度」が抜けている。「何を(テーマ)」は、一応「整理整頓」と表現してあるが、もう少し具体化した方が良い。例えば、「y書庫の」というような具体化である。
「どの程度」は、この場合、「ファイル4棚を2棚に」等の数値化が考えられる。
b) の事例では、「どの程度」が抜けている。。「何を(テーマ)」は、一応「新規を開拓する」と表現してあるが、もう少し具体化した方が良い。例えば、「y地区の製造業を」というような具体化である。
「どの程度」は、この場合、「2社と月額30万円以上」等の数値化が考えられる。
「自分自身が成長する目標」とは何でしょうか?
それは、自分の能力を超えるような目標、少し努力しなければ達成できない目標です。
肉体でたとえるなら、「ストレッチ」です。
少しきついが、終わった時に、少し爽快感、達成感が残るような目標のレベルです。
低すぎる目標では、身体の柔軟性を高めたり、疲労を軽減したり、という効果は生みません。
逆に、痛すぎる(高すぎる)目標では、身体を痛めてしまいます。
動機理論でも、達成可能性が中程度の難しい目標が、もっともやる気が起こる、ということが確かめられています。
低すぎる目標では、やる気が起こりません。
高すぎる目標でも、諦めや恐怖感が生まれ、やる気には結びつきません。
「ストレッチ」目標を設定して、チャレンジしていきましょう。
「良い目標」とは、何を指すのでしょう。
それは、なぜ目標管理を行うのか、ということに関係します。
目標管理の目的は、通常は、以下の3つです。
1)能力・意欲を開発していくこと
2)組織の目標や戦略を実現すること
3)人事評価の一助とすること
ですから、「良い目標」の条件とは、次のようになります。
1)自分の成長につながること、意欲が高まること。
2)組織の方針や目標に寄与できるものであること。
3)自分や上司が評価しやすい明確なものであること。
具体的な要件としては、次のようになります。
1)目標のレベルが一定レベルに達していること(低すぎても高すぎてもだめ)
2)上位目標と関連があること、上司と良く協議したものであること。
3)「テーマが明確」で「どの程度(到達レベル)」が明確であること。できれば数値化してること。
・開発テーマを達成する
・納期を確保する
・業務の工数を短縮する
・コストを削減する
・製造段階での作業性および作業品質を確保・向上させる。
・技術ノウハウ・業務システムを革新、標準化する(体系的に蓄積し、全員が容易に活用できるようにする)
目標が無機質で味気ないものであっては、決してメンバーはその気にはなりません。
たとえ貴方が無機質な目標や課題を、ノルマとして与えられていたとしてもです。そのノルマに夢や希望、達成イメージを加えて表現することがリーダーやマネージャーの大切役割なのです。
達成レベルを数値で表すことほど、わかりやすく説明できる物はありません。これを利用しない手はないといえます。
どのような数値を使えばよいのでしょうか、以下のようなものが代表的ですが、数値で表す場合、数字にやたら苦手な人間が存在することを忘れてはなりません。簡単明瞭・一目瞭然でいきましょう。その方が説明も簡単なうえ時間を取りません。
・経営計画達成に貢献する
・担当業務の生産性を向上する
・会社全体の生産性向上を支援する
・担当分野の関連コストの低減に貢献する
・顧客や取引先からの信頼度向上に貢献する
・経営諸資料の納期・品質を改善する
・経営陣、ライン担当者からの信頼度を向上する
・担当分野の諸制度の構築、改善に貢献する
これら成果は、数値が難しいものが多くまた、自分達の働きが、すぐに結果となりかえってくるものではありません。
・売上、利益予算を達成する
・お客様の満足度を高める
・新規のお客様を増やす
・新製品、新サービスを普及させる
・営業活動を効率化する(訪問・接触件数を増やす、など)
・回収を効率化する(回収遅れを出さない、回収条件を良くする)
事務職という表現を使っていると、その人達は「事務」をしていれば良い、というように仕事を狭く捉えがちです。
ですから「これは!」と思うような目標が上がってきません。毎年、同じように事務の正確さを向上する、コピー枚数の削減・事務用消耗品の削減などの定型的なテーマが上がってくることになります。
「事務をする人」という捉え方ではなく、「アシストする人、その為の事務もする人」という捉え方の方が実態に近いし、やり甲斐も湧いてくるものです。営業関係のアシスタントは、営業をアシストしているし、開発関係のアシスタントは開発をアシストしている、というように捉え直していきましょう。
・お客様の満足度を向上する
・営業活動の効率化に貢献する
・予算の達成に協力する
・営業事務の生産性を向上する(仕事を効率化する)
・営業諸資料の見やすさ、使いやすさを改善する
・事務費用の削減に貢献する
・営業マンからの信頼度を向上する
この中でも、重要なのは、お客様の満足度を向上する、という成果です。
職場によって違うとは思いますが、電話や来客の対応など、顧客満足度に大きな影響を与えるポジションにいることが多いです。お客様と会社との接点、インターフェイスになっているという職場も多いのではないでしょうか。以下のような目標が重要になっていきます。
・カタログなどの営業資料を届けるスピードを早める
・主要製品のカタログ仕様的な内容は、営業マンに取り次ぐのではなく、自分で回答する割合を増やす(価格や納期は別)
・主要製品のカタログの在庫切れをなくす
・受注処理のスピードを上げる
・電話関係のクレームを削減する
技術系のアシスタントであっても、お客様や営業からの問い合わせに対応する職場では、前述の営業系アシスタントと同じように、お客様満足度を高める、というテーマを目標として持つのは当然のことです。
また、実際のお客様だけではなく、営業マンを「社内顧客」と捉えることも有効かもしれません。しかし、お客様や営業とのインターフェイスになっていない職場の場合は、技術的業務に関するテーマを目標とすることが良いでしょう。例えば、以下のようなものです。
・Y製品群の詳細設計CAD操作を担当する(10月までに)
・部品データ入力業務の生産性を向上する
・Z製品群の検査・測定業務の生産性を向上する
部門長は、担当部門の経営計画と部門長個人の目標管理シートも作成する、という組織の場合、両方のシートに同じようなことを書いているのでは、目標管理シートの意味がないのではないかと考える人も多いようです。
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