(cache) 広島　-陽のあたらない所-　 20070914

井口火葬場跡　広島市西区井口

井口鈴が台墓苑

鈴が台墓苑に安置されている六地藏尊。(2006年10月撮影)
「昭和三年の造立」と刻字されているほかに由來等についての
説明は一切ないが、消滅した井口火葬場から移されてきたもの、
と思われる。

鈴が台墓苑は昭和40年代初期にはじまった宅地造成工事の際、
工区内に点在していた墓が集められてできた。

2008年3月に再訪してみれば、前掛けが新調されていた。

火葬場跡地に建っていると噂され、広島市内有数の心霊スポット(笑)に
指定されている井口ポリ所。
しかし、
ポリ所は山を切り崩して造成された土地に建てられており、この地点が
元火葬場ならば、これより数㍍上空に火葬場が存在していたことになる、
と思う。
古い資料などで検討した上では、ポリ所からやや南西の上空にあったようだ。

在りし日の井口火葬場(昭和42年10月撮影)
『鈴峰山をめぐる郷土誌』(段原公民舘郷土誌クラブ著)より
昭和27～8年頃までは、穴を掘っただけの露天の燒場であったという。
写真のように小屋掛けされたのはそれ以降のことらしい。

現在の井口鈴が台

草津火葬場跡地　広島市西区草津

広島市営草津火葬場は、
昭和37年12月大晦日の火葬を以って癈止された。

建坪約13坪、麓にあった火葬事務所は約20坪であった。
佐伯郡草津町が広島市と合併(昭和4年)し、以降広島市営となり、
東京から來た専門火夫によって管理されるようになった。
それまでは“講中”の燒き番、すなわち草津町民の廻り当番の手に
よって火葬が執り行われていた。

『廣島軍津浦輪物語』廣島郷土史研究会著
そのほか草津浦にある伝承より

迎え地藏尊と供養塔
「文化一二年乙亥(1815年) 建立」とある。

六地藏尊堂

灰塚　
※灰塚とは、葬禮道具一式を燒却した灰を納めた塚。

在りし日の草津火葬場 (昭和54年撮影)
『鈴峰山をめぐる郷土誌』(段原公民舘郷土誌クラブ著)より

(2008.03.22 再編集)

古江火葬場の地藏尊　広島市西区古江

西区古江上にある福藏寺境内には、古江火葬場から移されてきた
迎え地藏尊と六地藏尊が安置されている。

【六地藏とは】
地獄・饑餓・畜生・修羅・人間・天上の六道において
衆生の苦しみを救うという六種の地藏菩薩の総称で、
火葬場や墓地に置かれた。

一、罪が罪を生む苦の世界、地獄道を救う檀陀菩薩
二、饑餓、慾念の世界、餓鬼道を救う寶珠菩薩
三、動物的無道德の世界、畜生道を救う寶印菩薩
四、争うばかりの平和の無い世界、修羅道を救う持地菩薩
五、生老病死天災に惱まされる世界、人道を救う除蓋障菩薩
六、快樂に溺れ、死の苦しみある世界、天道を救う日光菩薩

現地の説明板

市有蛇抜墓地　広島市西区己斐

己斐の高台にある蛇抜墓地
蛇抜(へびぬき、じゃぬけ)とは怖ろしい大蛇の伝説の残る土地と思ったが、
蛇抜＝土石流。すなわち谷を激流する土石流を大蛇に例えられたものらしい。

迎え地藏尊

六地藏堂

恐らく火葬炉を改造・転用したものと思われる、ごみ焼却炉。
(現在は老朽したため使用禁止)

蛇抜墓地より己斐・観音地区を望む

広島市営火葬場向西館跡＆紫雲館

広島市西区の向西館跡地。
広大な空地に「広島市管理地」との看板あり。
昭和37年、現在の東区尾長町髙天原に新火葬場が建設されたため
移転・廃止となった。
跡地の一部はゲートボール場や園芸場として利用されていた時期も
あったらしいが、現在は放置されている模様。

向西館の髙煙突 (昭和39年撮影)
赤煉瓦造りの多角形流線型テーパー状の超髙煙突であった。

明治18年12月13日、打越村中小屋集落の安芸門徒住民が
寄付金を集めて約228坪 (うち48坪は墓地用)の用地を購入。
広島市内の財閥10名より建設資金の協力を得て、向西館を建設した。
それまでは、川土手の雑草地で適当に穴を掘っては火葬していた。
明治19年6月、有限合資会社向西館が設立され有料火葬場となった。
資本金総額6500円、払込済資本金6500円、積立金 0円。
大正11年6月、火葬事務所を猫屋に開設
昭和20年2月、土地建物設備の一切を広島市に譲渡し合資会社は解散、
以降広島市営となった。
昭和37年、髙天原の新火葬場完成にて廃止。

なお、毎年周辺地区の盆踊り大会が向西館敷地内で開催されていた、
との興味深い記述が残っている。

※世界の歴史項目より
近時“死体を焼く”というニュアンスが強い火葬場という用語を避けて，
「斎場」という新呼称を採用するようになった地方自治体が多くなった。
広島県などでは明治時代から“○○館”とか“○○苑”と呼んでいる例が多い。

※昭和3年12月31日現在の会社便覧より
株式会社呉導西舘人体火葬呉市今西通10丁目5番地　設立年月明治38年3月資本金又ハ出資額15 000
合資会社向西舘火葬業広島市猫屋町3番地　設立年月大正11年6月資本金又ハ出資額65 000

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民営火葬場「紫雲舘」
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在りし日の紫雲舘(昭和41年11月撮影)
『二葉山をめぐる郷土誌』(段原公民舘郷土誌クラブ著)より

■広島電気火葬株式会社
　・広島市尾長町1057番地
　・大正10年11月設立
　・資本金又ハ出資額 200,000円

昭和35年、広島市は市営火葬場「向西舘」の移転先を髙天原に決定。
周辺地区の矢賀,中山,尾長の三町住民の猛反対運動を押切って
昭和37年10月16日に完成。
同じく(現在の東区山根町にあたる)大内越峠頂上附近にあった
民営「紫雲舘」も死活問題だとして、市当局に猛抗議したのであるが…

江波の火葬場　広島市中区江波

江波の一角にある公園の奥に、

人々に忘れ去られた火葬場がある。

火葬場の入場門

入場門を抜け振り返る

建物はとっくに倒壊し、屋根瓦がそこらじゅうに散乱している。
聞くところによると、昭和50年頃まで火葬棟は残存していたそうだ。

今は二基の炉がなんとか姿をとどめているのみ

炉口がかなり低い位置にあるように見えるが、
場内が経年蓄積した土砂で埋まっているためだと考える。
数10㌢も掘れば、コンクリートの土間が現れるだろう。

奥の窪みは煙抜き

火葬炉の裏側

昭和45年程原

国土地理院 1：25,000　坪野
国土地理院 1:25,000　坪野・昭和45年9月30日発行
1.使用した空中写真は昭和42年10月撮影
2.現地調査は昭和44年9月実施

あの位置の線路がやられたってことは、程原集落もかなりの
痛手を被ったことでしょうね。
ちなみに、程原集落より対岸のやや左下の広い河原部分
(今はYという工場が建っています) が昔の火葬場だったそうです。