紫ゆかりの問はずがたり

　いきなりめっきり寒くなって、この時期恒例の風邪をまた今年も律儀にひいてしまった。


　先週の土曜日フィギュアシーズン到来を告げる催しがありました。ジャパンオープン2010、去年までは見られませんでしたが、今年は違う！　テレビ大阪はアナログでは見られなかったのだけど、ついに地デジテレビを買い、見られるようになりました。今まで「見たい！」と思ったらテレビ大阪で、がっかりということが何度あったことか…　これからは違うぞ、感激！


　さてさてジャパンオープン2010ですが、シーズン序盤というかまだまだ肩慣らしというところなので、全員にジャンプミスがあったのは取り立ててどうこう言うことではあるまい。というよりアクセル以外のジャンプはぱっと見てわからない、何年見ていてもど素人の私が言えることではない。（でも２度も転倒してしまった浅田真央選手、ジャンプ矯正中だけにやっぱりちょっと心配。）見ていてつらつら思ったことをつらつらと。


　出無精の私はもっぱらテレビ観戦である。したがってプロスケーターになった選手のプログラムはほとんど見られない。そういう意味で嬉しかったのは久しぶりに本田武史さんが見られたこと。同様にジェフリー・バトル選手も。現役選手だった時は裏も表もない１００％好青年です、という風情がつまらなくてあまり興味が持てなかったが、気のせいか顔つきに深みが出たような…　まぁでも基本的にこの人は性格がいいんだろうなぁと感じるスケートだ。

　女性陣の衣装感想。
　安藤美姫という選手は衣装のセンスが非常に悪いと思う。大体ごてごてしていて品がない。今回の衣装も配色という点では黒地に白のストーンだからシンプルだけれど、ストーンの数が多すぎる。身頃にあれだけ光り物を付けるならせめて腕は黒オーガンジーだけに抑えればいいのに、こちらもストーンがびかびか光っている。唐揚げの天ぷらでも出された感じ。ここ２シーズンくらいは化粧はだいぶおとなしくなったが、以前は化粧やネイルもこてこてで、彼女の自信のなさがこういう「武装」を必要としているのかな、と思ったものだったが。競技においてはもう自信は身につけたと思われるし、だから化粧は落ち着いたのだろうから、衣装はこれが彼女の好みなんだろうなぁ。材質はいいのを使ってそうなのに…
　その点サラ・マイヤー選手の衣装は同じモノトーンでもぐっとシックだ。彼女のくっきりとした顔立ちや黒髪ともなじむ。黒地が多すぎると地味で重くなってしまうが、レース地？のグレーが半分くらいを占めた少し長めの衣装がスレンダーな体を包んで上品な印象を与える。
　浅田真央選手の、曲の雰囲気と合った薄紫の可憐な衣装は、彼女にとても合っているけれど、胸元に付けられた流線型のストーンは、なんだか一枚￥１６８０とかで売っていそうなできあいのワッペン状のものがぺたっとくっつけられている感じで、こちらはもう少し金かけてくれ、と思う。
　衣装でセンスがいいのは村主選手だけど、今年はどういう趣向で来るのだろうか。グランプリシリーズ第１戦はカナダ大会にエントリーしているが地上波での放送予定はないので、第２戦最後のフランス大会までおあずけか。でも、正直なところ、やはりもうプロとして村主ワールドを展開してほしい…


　そしてお目当てはなんといってもぷる。ロシアスケート連盟の恩知らずな申し立てで今季はISU公認
の競技には出場できないプルシェンコ選手の滑りをテレビで見られるのは貴重だ。しかも、大好きな「ニジンスキーに捧ぐ」を踊ってくれるなんて！今年の夏日本であったアイスショーで、日本のファンの希望が最も多い同プログラムを滑るとツィッターに書いていた、という記事を目にしたが、今回も日本のファンへのサービス精神からこれを選んでくれたのだろうな。腰の痛みでもうできないという幻のビールマンスピンも入れてくれたし。ありがとう、ぷる。愛してる。


　解説が佐藤由香さんというのもいい。声の質が落ち付いていて聞きやすいし、簡にして要を得た
話し方は知性を感じさせる。こういう話し方を八木沼淳子や荒川静香はできない。伊藤みどりの、現役引退してもう二十年くらい経つのに、いつまでも選手の感覚を失わず、選手の内側を通って出て来たかのような解説、というか思わず出ちゃった言葉も独特の味があっていいけれど、あの甲高い声とはやりかなしゃべり方がガチャガチャした感じで少々耳障りだ。でも近年ほとんど解説に呼ばれなくて、そうなるとやっぱりさびしい。やっぱり「伊藤みどり」はほかに換え難い。