ファン氏死去:政界で分かれる評価

ハンナラ党と自由先進党からは相次いで弔問「国家次元で礼遇すべき」

民主党と民主労働党は弔問するか未定「分断の肖像」

 ファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党書記の死により、政界が再びイデオロギーによって分裂している。与党ハンナラ党と野党・自由先進党の執行部は相次ぎファン氏の弔問に訪れ、個人の冥福を祈りながら、「三代世襲」などで最近改めて注目を集める北朝鮮体制を非難した。一方の野党・民主党、民主労働党、進歩新党などの執行部は11日現在、弔問に訪れていない。

 ハンナラ党の金武星(キム・ムソン)院内代表とナ・ギョンウォン、鄭斗彦(チョン・ドゥオン)、徐秉洙(ソ・ビョンス)各最高委員らはこの日朝、喪主で養女のキム・スクヒャンさんの元を訪れ、「金正恩(キム・ジョンウン)氏による世襲体制が崩壊し、北朝鮮が自由の国になるのを目にすることができずにこの世を去られ、非常に残念だ」と慰めた。とりわけ金院内代表は、「ファン先生が韓国にやって来てからは、主思派(主体思想派)や従北主義者たちの多くが転向した。そのようなことを考えても、国家次元での礼遇をすべきだ」と述べた。李在五(イ・ジェオ)特任長官も弔問に訪れ、顕忠院に埋葬するよう求める遺族の要請に、「統一部と相談したい」と回答したという。

 在外公館に対する国政監査に取り組んでいた同党の安商守(アン・サンス)代表は報道資料を配付し、「ファン先生の決断により、世界はうそで塗り固められた残酷な北朝鮮体制の真の姿をより明確に理解できるようになった」と哀悼の意を示し、金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権による対北朝鮮政策を非難した。安代表はさらに、「ファン先生は金大中・盧武鉉両政権の10年間、孤独な時間を過ごさなければならなかった。北朝鮮をありのまま正しく評価せず、逆に擁護する勢力によって、自らの立場を失われた」との見方も示した。ナ・ギョンウォン最高委員も、「北朝鮮体制とうまくやっていこうとする政府にとって、(ファン先生は)目障りな存在だったため、北朝鮮の民主化と人権のために活発に活動しようとされたにもかかわらず、政府の圧力によって静かに過ごすことが多かった」と述べた。

写真=共同取材団

 徐秉洙最高委員は北朝鮮の三代世襲問題を取り上げながら、野党に対し、「たとえ相互の体制を尊重するとはいっても、北朝鮮の三代世襲は批判を受けて当然だ。ところが一部の野党が、これを北朝鮮の立場から理解すべきと主張している。これは非常に遺憾なことだ」と発言した。

 民主党などは、異なった観点からファン氏の死を評した。朴智元(パク・チウォン)院内代表はこの日に開催された国政監査対策会議で、「ファン先生は北朝鮮で主体思想を打ち立てた学者でありながら、民族を思う熱い情熱も持っておられた。大韓民国の懐に戻ってこられたが、このように突然の死を迎えたことに対しては哀悼の意を表し、冥福を祈りたい」と述べ、「思想」よりも「民族」を強調した。

 分断に焦点を合わせる見方もあった。民主党の全賢姫(チョン・ヒョンヒ)報道官は会見で、「故人は韓半島(朝鮮半島)の悲劇的な分断を象徴する方だ。硬直した南北関係が解消され、このような悲劇が再び繰り返されないことを願う」と述べ、南北対話の再開を求めた。

 民主労働党は弔問するかどうかについて、党内で議論が行われているという。同党のウ・ウィヨン報道官は会見で、「生前の行動は分断がもたらした悲しい出来事だった。魂だけでも統一された祖国を見てほしいと思う」とコメントした。進歩新党のキム・ジョンチョル報道官は、「ファン氏の人生はそれ自体が韓国現代史の桎梏(しっこく)を反映している。評価は後の世代が下すだろうが、晩年に南北対立をあおった人物とされたのは残念で、このような歴史が繰り返されないことを願う」と述べた。

ユン・ジョンホ記者

チョ・ベッコン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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