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【発明の名称】 燃焼方法
【発明者】 【氏名】米田 昌司
【氏名】近藤 訓
【氏名】福島 武
【課題】廃棄プラスチックを完全に燃焼することがでると共に、充分な熱の回収もできる燃焼方法を提供する。

【解決手段】廃棄プラスチックを燃焼するとき、初めに補助ガス化炉(50)で塩化ビニール樹脂をガス化して塩化水素にして除去する。次に、ガス化炉(1)に導いて燃焼ガスにする。そしてガス燃焼炉(20)で燃焼する。このとき発生する熱により蒸気を得て蒸気タービン(40)により発電する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固形プラスチックを燃焼するとき、固形プラスチックをガス化炉(1)に導いて気化する1段処理と、該1段処理で気化したガスをガス燃焼炉(20)に導き、そして燃焼用空気と混合して燃焼する2段処理とにより燃焼することを特徴とする燃焼方法。
【請求項2】 請求項1記載の1段処理に固定床を使用する、燃焼方法。
【請求項3】 請求項1記載の1、2段処理に酸化触媒流動床炉を使用する、燃焼方法。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの項に記載の1段処理前に比較的低温の補助ガス化炉(50)に導いて塩素分をガス化して除去する燃焼方法。
【請求項5】 請求項4記載のガス化した塩素ガスを水に溶解して塩酸として回収する、燃焼方法。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの項に記載の1、2段処理中に発生する熱を蒸気タービン(40)に利用する燃焼方法。
【請求項7】 流体燃料を燃焼するとき、流動床炉内に液体加熱用の被加熱管(79)を配置すると共に、酸化アルミナ等のポーラスな流動床構成材料(m)を浮遊状態にして燃焼することを特徴とする燃焼方法。
【請求項8】 請求項7記載の被加熱管が、石油精製プラントにおける原油やその他の中間精製油を予熱する油管(79)である燃焼方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼方法に関し、さらに具体的には固形プラスチックあるいは流体燃料の燃焼方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックは、周知のように金属、セラミックスと並んで基幹材料として多量に生産され、あらゆる分野で利用されている。そしてその廃棄量も膨大な量になっている。プラスチックの廃棄処理法としては、回収して再生利用する方法、埋立材料として利用する方法、燃焼して熱エネルギとして利用する方法等があるが、熱エネルギ利用方法が有望視されている。固体状のプラスチックの燃焼装置には、固定床と流動床とがあるが、国内外において実施されている例は非常に少ない。流動床炉燃焼装置においては燃焼熱は回収もされている。流動床炉燃焼装置は、図には示されていないが、燃焼炉を備えている。燃焼炉の下方に空気分散板が配置され、そして空気分散板の下方が空気室になっている。空気分散板の上には、流動床構成材料すなわちけい砂等からなる耐火性粉体が入れらている。そして、耐火性粉体の上方空間はフリーボード部となっている。したがって、押込ファンにより空気室から空気分散板を通して耐火性粉体に空気を吹き込むと、固定層をしていた耐火性粉体は、沸騰状態に似た運動をする流動層になる。そこで、適当な大きさに切断した固形プラスチックを燃焼炉に供給すると、熱せられている耐火性粉体により加熱され、揮発分の放出が開始される。揮発分は空気分散板の直上で燃焼され、燃焼にともない窒素酸化物濃度が上昇する。固形プラスチックは粒子濃厚相内で気化され燃焼される。更に、生成ガスはフリーボード部へ達して燃焼される。
【0003】一方、気体又は液体燃料燃焼装置の内部に被加熱管を配置し、被加熱管の中の液体を加熱あるいは予熱するようになっている燃焼装置も知られている。このような燃焼装置は、例えば原油等を予熱する管式加熱炉として知られている。管式加熱炉90は、図4に示されているように、燃焼炉92と、その内部に配置されているバーナ93とから構成されている。燃焼炉92内には内壁に沿って油管96が設けられている。したがって、バーナ93に流体燃料供給管94から燃料用のガス又は油を供給すると共に、燃焼用の空気を空気管95から供給すると、流体燃料は燃焼し、油管96中の原油等が予熱される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の流動床炉燃焼装置についても、上記のようにして固形プラスチックを燃焼することはできる。しかしながら、従来の燃焼方法あるいは装置には問題もある。例えば、固形プラスチックを流動床炉燃焼装置で燃焼すると、炉内で固体相と気体相とが混在し、すなわち炉内に還元域と酸化域とが混在し、燃焼効率が劣る。その結果、完全に燃焼することができず、また熱エネルギが多く存在する酸化域が還元域中に混在しているので、4.000〜6.500kcal/kg程度の発熱量が見込まれているが、充分な熱の回収ができていない状況下にあり、新しい技術の開発が期待されている。また、廃棄プラスチックの中には塩化ビニール樹脂も含まれ、この塩化ビニール樹脂から塩素系の有毒ガスが発生することもある。さらに、塩化ビニール樹脂を650°C程度で燃焼すると、炉内配管材料の腐食が激しいことが知られている。
【0005】一方、気体又は液体燃料燃焼装置の内部に被加熱管を配置し、被加熱管の中の液体を加熱あるいは予熱するようになっている燃焼装置により燃焼すると、ヒートスポットが生じ窒素酸化物が生じるので、脱硝設備等のイニシャルコストが大きくなる欠点がある。また、ヒートスポットが生じるので、例えば原油等を予熱する管式加熱炉90の場合は、油管96がコーキングすなわち焼付を起こすことがある。焼付を起こすと、配管の交換等のメインテナンスの問題も生じる。また、焼付を起こすと伝熱抵抗が増大し、予熱が充分にできないことにもなる。さらには、原油等を予熱する管式加熱炉90においては、図4に示されているように、油管96は炎Hの輻射熱により加熱されるので、必ずしも加熱効率は高くない。また、油管96を均等に加熱するためには、管式加熱炉90内に等温線T、T、…を維持するようにして燃焼する必要があるが、そのためには管式加熱炉90の容積がある程度必要で、炉壁材料が増大する等の問題もある。
【0006】本発明は、上記したような問題あるいは欠点を解消した燃焼方法を提供しようとするもので、具体的には固形プラスチックを完全に燃焼することができると共に、充分な熱の回収もできる燃焼方法を提供することを目的としている。また、他の発明は窒素酸化物の発生が少なく、原油等を予熱する管式加熱炉の燃焼に適用するときはコーキングの問題がなく、燃焼炉は比較的小型で伝熱量の大きい燃焼方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、固体状のプラスチックを別の炉で気化してからガス専用の炉で燃焼するように構成することにより達成される。あるいは塩素分を塩酸にして回収してから、ガス化しそして燃焼するように構成される。また他の発明は希薄流動床炉で燃焼することにより達成される。すなわち、本発明は上記目的を達成するために、固形プラスチックを燃焼するとき、固形プラスチックをガス化炉に導いて気化する1段処理と、該1段処理で気化したガスをガス燃焼炉に導き、そして燃焼用空気と混合して燃焼する2段処理とにより燃焼するように構成される。請求項2記載の発明は、請求項1記載の1段処理に固定床を使用するように、請求項3記載の発明は、請求項1記載の1、2段処理に酸化触媒流動床炉を使用するように、請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの項に記載の1段処理前に比較的低温の補助ガス化炉に導いて塩素分をガス化して除去するように、請求項5記載の発明は、請求項4記載のガス化した塩素ガスを水に溶解して塩酸として回収するように、そして請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかの項に記載の1、2段処理中に発生する熱を蒸気タービンに利用するように構成される。請求項7記載の発明は、流体燃料を燃焼するとき、流動床炉内に液体加熱用の被加熱管を配置すると共に、酸化アルミナ等のポーラスな流動床構成材料を浮遊状態にして燃焼するように、そして請求項8記載の発明は、請求項7記載の被加熱管が、原油等を予熱する油管であるように構成される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法の実施に使用される燃焼装置の実施の形態について説明する。図1に示されている第1の実施の形態に係わる燃焼装置は、廃棄プラスチックあるいは固形プラスチックを気化するガス化炉1、このガス化炉1で気化したガスを燃焼するガス燃焼炉20、塩素系の樹脂材料をガス化するための補助ガス化炉50、ガス化炉1とガス燃焼炉20とから回収した熱を利用する蒸気タービン40、その他廃棄プラスチックを貯蔵しているサイロ60等から構成されている。
【0009】ガス化炉1は、燃焼炉2を備えた固定床または流動床炉燃焼装置から構成されているが、以下流動床炉燃焼装置を例に採って説明する。燃焼炉2内の下方には、従来周知のように空気分散板3が設けられている。空気分散板3の下方は、空気室4となって、この空気室4には空気供給管6が接続され、押込ファン5により燃焼用の空気が押し込まれるようになっている。燃焼炉2には固形プラスチックの供給管7が接続され、塩素分が除去された固形プラスチックが適宜供給されるようになっている。
【0010】燃焼炉2の上方に連なっている生成ガス排出管9には、サイクロン10が接続されている。このサイクロン10は、生成ガスと生成ガス中に含まれる固形物とを分離するもので、そのアンダーフロー管11は後述する流動層12の中まで延びている。オーバフロー管13は、次に述べるガス燃焼炉20の方へ延びている。なお、図1中の他の符号14は、流動層12内に配置されている冷却管を示し、この冷却管14にはポンプ15によりタービン水が供給されるようになっているている。
【0011】空気分散板3の上には流動床構成材料Mが入れられる。流動床構成材料Mは、従来周知のけい砂等の耐火性粉体でも実施できるが、本実施の形態によると、流動床構成材料Mは、BaO6Al23、SrO6Al23、CaO6Al23、MgAl24+α、ZrO2+α、K211Al23、La2311Al23のうち少なくとも1種が選ばれる。これらの流動床構成材料Mの組成、焼成温度、S/S(Al23)(添加系材料とアルミナ単独との表面比)および結晶相は下記の表1の通りである。
表1 組成 焼成温度°C S/S 結晶相(BaO)0.14(Al230.86 1450 4.3 BaO6Al23(SrO)0.14(Al230.86 1450 3.0 SrO6Al23(CaO)0.14(Al230.86 1450 3.6 CaO6Al23(MgO)0.10(Al230.90 1450 0.8 MgAl24+α(ZrO)0.10(Al230.90 1450 0.7 ZrO2+α(K2O)0.08(Al230.92 1300 5.0 K211Al23(La230.08(Al230.92 1300 3.0 La2311Al23(La230.05(Al230.95 1200 8.0 La2311Al23表1に示すIA、IIA、IIIBあるいはIVB の酸化物は、酸化アルミニウムに焼成担持され、白金と同様に酸化触媒作用を奏する。このような酸化触媒は、0.2〜10mmφの多孔質アルミナを担体とし、添加物を焼成するため安価に得られる。
【0012】ガス燃焼炉20は、ガス化炉1と同様に燃焼炉22を備えた流動床炉燃焼装置から構成されている。燃焼炉22内の下方には空気分散板23が設けられている。空気分散板23の下方は、空気室24となって、この空気室24に押込ファン25により空気供給管26を介して燃焼用空気が供給されるようになっている。
【0013】燃焼炉22の上方に連なっている排気管29には、サイクロン30が接続されている。このサイクロン30は、燃焼排気ガスと燃焼排気ガス中に含まれる固形物とを分離するもので、そのアンダーフロー管31は流動層32の中まで延びている。サイクロン30のオーバーフロー管33には熱交換器34が接続され、燃焼排気ガス中の熱が回収されるようになっている。熱が回収された燃焼排気ガスは、煙突等により大気中へ放出される。なお、空気分散板23の上には、前述したガス化炉1と同様に酸化触媒作用をする流動床構成材料Mが入れられている。
【0014】燃焼炉22内には、蒸気管41が配置されている。この蒸気管41とスチームドラム42とは管43で接続され、蒸気タービン40とは管44で接続されている。また、蒸気管41の上方には加熱管45が配置され、この加熱管45にはスチームドラム42中の加熱水がポンプ46により管47を介して供給され、加熱されたタービン水は管48によりスチームドラム42に戻るようになっている。なお、ガス化炉1の冷却管14とスチームドラム42は、管16で接続されている。
【0015】補助ガス化炉50も、流動床炉燃焼装置で構成することもできるし、また他の従来周知の燃焼方式を適用することもできる。さらには、廃棄プラスチックの中の例えば塩化ビニール樹脂の塩素分は、250〜300°Cでガス化するので、ガス燃焼炉20で得られる550〜1000°Cの熱により適宜加熱することもできる。したがって、補助ガス化炉50を加熱するための構造は具体的には示されていない。補助ガス化炉50の上方には、横向きに設置されたガス溶解管51が接続されている。そしてこのガス溶解管51は、立ち上った排気管52に接続されている。ガス溶解管51の上壁には多数の散水ノズル53、53、…が設けられている。また、ガス溶解管51の底壁は勾配が付けられ、その最下位置には塩酸排出管54が接続されている。なお、符号55は塩酸を受ける容器を、60は廃棄プラスチックを貯えているサイロを、そして61は固形プラスチック供給管をそれぞれ示している。
【0016】次に、上記実施の形態の燃焼作用について説明する。サイロ60中の固形プラスチックを固形プラスチック供給管61により補助ガス化炉50に供給する。そしてこの補助ガス化炉50を250〜350°C程度に加熱する。固形プラスチックの中に塩化ビニール樹脂等が含まれているときは、塩素ガスが発生する。発生した塩素ガスはガス管溶解51の方へ上昇する。ガス溶解管51において散水ノズル53、53、…から水を塩素ガスに向けて噴霧する。そうすると、塩素ガスは水に溶けて塩酸となり容器55に受けられる。塩素ガスが除去されたガスは、排気管52から大気中に排出される。
【0017】有毒な塩素ガスを発生させる樹脂成分が除去された固形プラスチックを、供給管7によりガス化炉1の燃焼炉2内へ供給する。供給された固形プラスチックを従来周知のようにして燃焼する。このとき、プラスチックは400°C程度で気化するので、押込ファン5による燃焼用の空気の押し込み量を制御するなどして、燃焼温度を400°C以上500°C程度に維持する。これにより固形プラスチックは、ガス化され気体になる。気化した生成ガスは、サイクロン10のオーバフロー管13からガス燃焼炉20の空気室24に送られる。この空気室24から燃焼用空気と共に、空気分散板23を介して流動層22へ押し込まれ、燃焼する。この時の燃焼温度は900°C程度になるように制御する。燃焼排気ガス中の流動床構成材料Mは、サイクロン30で分離され流動層32中へ戻される。流動床構成材料Mが除去された燃焼排気ガスは、熱交換器34に導かれ、熱が回収され、そして大気中の放出される。回収された熱は、燃焼用空気の予熱等に利用する。
【0018】上記のようにして、ガス化炉1およびガス燃焼炉20で燃焼しているときに、ポンプ15によりタービン水をガス化炉1の冷却管14に圧送する。流動層12内で加熱されたタービン水は、スチームドラム42に圧送される。スチームドラム42からポンプ46によりタービン水が加熱管45に圧送され、加熱されたタービン水は、スチームドラム42に戻る。このようにして生じる蒸気は、スチームドラム42からガス燃焼炉20内の蒸気管41に送られ、さらに加熱され、そして蒸気タービン40を駆動する。この蒸気タービン40により例えば発電機を駆動する。復水は復水管49によりスチームドラム42に戻される。
【0019】本実施の形態によると、固形プラスチックを一旦ガス化して燃焼するので、従来のように酸化域と還元域とが混在することなく、完全燃焼する。したがって、廃棄プラスチックから効率的に熱エネルギを取り出すことができる。また、本実施の形態によると、流動層構成材料Mが酸化触媒作用をするので、少ない空気で燃焼する。したがって、ガス化炉1で生成される生成ガス中の不燃ガス量が少なくなる。また、ガス燃焼炉20の熱効率が高くなる。なお、上記実施の形態では、補助ガス化炉50で発生した塩素ガスを除去した残りの気体は大気中に放出されているが、ガス化炉1で生成される生成ガスと共に、ガス燃焼炉20に供給することもできる。また、ガス化炉1内の温度をガス燃焼炉20の熱で500°C程度に維持してプラスチックをガス化することができることは明らかである。さらには、廃棄プラスチックの中に塩化ビニール樹脂等の塩素ガスを発生する樹脂材料が含まれていないときは、サイロ60から直接ガス化炉1へ供給することもできる。
【0020】次に、第2の実施の形態の燃焼装置を、図2により石油精製プラントにおける原油やその他の中間精製油を予熱する予熱燃焼炉70を例に採って説明する。予熱燃焼炉70は、燃焼炉72を備えた流動床炉燃焼装置から構成されている。そしてこの燃焼炉72内の下方に従来周知のように空気分散板73が設けられている。空気分散板73の下方は空気室74となって、この空気室74に空気供給管76が接続され、押込ファン75により燃焼用の空気が押し込まれるようになっている。燃焼炉72内の空気分散板73の上方には燃料供給管77が設けられている。
【0021】本実施の形態による予熱燃焼炉70は、希薄流動床炉燃焼装置であるので、流動床構成材料mは、燃焼中に燃焼排気ガス中に混じって飛散する。そこで燃焼炉72の上方に連なっている管路78に、サイクロン80が接続されている。このサイクロン80は、燃焼排気ガス中から流動床構成材料mを分離回収するもので、そのアンダーフロー管81は空気分散板73の近くまで延びている。サイクロン80のオーバフロー管83は、図には示されていないが、熱交換器、バックフイルタ等を介して煙突に接続されている。
【0022】本実施の形態によると、流動床構成材料mは、ポーラスな例えば酸化アルミニウムの直径が0.2〜10mm程度の微細な粒子から構成されている。したがって、空塔速度を制御するなどして流動床構成材料mを、燃焼炉72内一杯に広げることができる。そこで、油管79は燃焼炉72内一杯を蛇行するようにして設けられている。
【0023】次に、第2の実施の形態の燃焼作用を説明する。押込ファン75により燃焼用空気を空気分散板73を介して流動床構成材料m中に押し込む。このとき、空塔速度を調節して流動層82が燃焼炉72内一杯に広がるようにする。これにより、流動床構成材料mが浮遊状態になった希薄流動層82が形成される。燃料供給管77から流体燃料例えば気体燃料を供給する。希薄流動床燃焼が続行する。燃焼排気ガスと共にサイクロン80に達した流動床構成材料mは、サイクロンで分離され、そしてアンダーフロー管81により流動層82へ戻される。燃焼排気ガスは、オーバフロー管83から煙突を介して大気中へ放出される。上記のように燃焼しているときに、原油等を油管79に供給する。原油等は、油管79を出ていく間に所定温度に予熱される。
【0024】第2の実施の形態によると、色々な効果が得られる。図3は、本実施の形態による燃焼温度と、図4に示されている従来の燃焼温度とを、縦軸に燃焼炉の高さを、そして横軸に温度を採って示すグラフであるが、同図に示されているように本実施の形態によると燃焼炉72内の燃焼温度Aは、燃焼炉72内の平均燃焼温度A’と大した差はなく、燃焼炉72の高さに関係なく略一定であることが判る。これに対し、従来の燃焼装置では燃焼温度Bは、平均燃焼温度B’は低くて、炉の高さの略中間点で△T°Cだけ突出的に高くなっている。このように、従来の燃焼装置では燃焼温度が突出的に高くなったヒートスポットが生じるので、窒素酸化物が発生するが、本実施の形態によると、ヒートスポットが生じないので、窒素酸化物の発生量は少ない。したがって、脱硝設備が不要でイニシアルおよびランニングコストの低減が達成される。また、ヒートスポットが生じないので、原油等が焼け付けを起こすようなこともない。さらには、従来の油管96を等温加熱するためには、ある程度の炉の大きさを必要としているが、本実施の形態によると、燃焼温度Aが燃焼炉72内全体に略均一であるので、燃焼炉72を小さく構成することができる。さらには、油管79は、希薄流動層82中に配置され、燃焼、流動床構成材料m等に直接接触して加熱されるので、従来の輻射加熱に比較して高い熱効率が得られる。
【0025】流動床構成材料mは、酸化触媒作用を奏するBaO6Al23、SrO6Al23、CaO6Al23、MgAl24+α、ZrO2+α、K211Al23、La2311Al23の中から少なくとも1種を適用することもできる。このときは、担持体として比重の小さいポーラスな例えば酸化アルミニウムの直径が0.2〜10mmの微細な粒子を使用する。これにより、希薄流動床炉による酸化触媒燃焼が可能となる。そうすると、燃焼用空気量が少なくて燃焼することができる。燃焼用空気量が少ないので、900°C以上の高温燃焼でも熱エネルギのロスは小さい。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明によると、固形プラスチックを燃焼するとき、固形プラスチックをガス化炉に導いて気化する1段処理と、該1段処理で気化したガスをガス燃焼炉に導き、そして燃焼用空気と混合して燃焼する2段処理とにより燃焼するので、従来の固形プラスチックを燃焼するときのように還元域と酸化域とが混在するようなことはない。したがって、本発明によると燃焼効率も熱回収効率も高くなるという、本発明特有の効果が得られる。また、他の発明によると、酸化触媒流動床炉を使用するので、燃焼用空気量が少なくて燃焼することができ、熱エネルギのロスの少ない燃焼が可能となる。さらに他の発明によると、塩素分をガス化して除去するので、塩素ガスによる環境の汚染が未然に防止できる。また、他の発明によると、流体燃料を燃焼するとき、流動床炉内に液体加熱用の被加熱管を配置すると共に、酸化アルミナ等のポーラスな流動床構成材料を浮遊状態にして燃焼するので、従来のようにヒートスポットは生じない。したがって、窒素酸化物の発生量は少なく、脱硝設備が不要でイニシアルおよびランニングコストの低減が達成される。被加熱管が原油等を予熱する油管である発明によると、原油等が焼け付けを起こすようなこともない。
【出願人】 【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
【出願日】 平成8年(1996)7月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭 (外1名)
【公開番号】 特開平10−38235
【公開日】 平成10年(1998)2月13日
【出願番号】 特願平8−207602