ノーベル平和賞:「天安門犠牲者にささぐ」劉氏、涙で

2010年10月12日 11時23分 更新:10月12日 12時9分

 【北京・成沢健一、ロンドン会川晴之】ノーベル平和賞受賞が決まった中国の民主活動家、劉暁波氏(54)が10日に妻の劉霞さん(49)と面会した際、「この賞は天安門事件で犠牲となったすべての人の魂にささげられるものだ」と涙ながらに語った。米国の人権団体「中国人権」が霞さんの話として明らかにした。8日に受賞決定が発表された後、劉氏の反応が伝えられたのは初めて。

 劉氏はまた、「事件の犠牲者は命を懸けて平和と民主、自由、非暴力の精神を示した」とも語った。霞さんは香港メディアに「彼の話、その責任感、じくじたる思いは私を感動させた」と語った。

 香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」も11日、霞さんと連絡を取り、劉氏が面会の際、12月の授賞式に代理出席するよう霞さんに頼んだと伝えた。同センターによると、面会は国家政権転覆扇動罪で懲役11年の刑が確定し服役中の刑務所(遼寧省錦州市)内で行われ、約1時間にわたった。劉氏は霞さんとの面会前に刑務所側から受賞決定を聞かされていた。

 また、劉氏は刑務所内の健康診断で重い胃かいようであるうえ、肝炎の疑いもあることが判明したと霞さんに告げたという。肝炎であることが確認されれば、病気治療のために仮釈放される可能性があると同センターは指摘している。

 霞さんは劉氏と面会後の10日夜、簡易型ブログ「ツイッター」で「私は戻ってきた。8日から軟禁されており、いつ皆さんに会えるかは分からない。携帯電話を壊された。どうか私を支えてほしい」と報告。複数の友人が本人の報告と確認した。

 一方、中国政府は11日、北京で13日に予定していたノルウェーのバルグハンセン漁業・沿岸問題相との会談中止を決めた。

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