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生活保護世帯の子に進学支援拡大 無料学習会や塾代補助(1/2ページ)

2010年10月12日5時29分

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 生活保護を受けている家庭の子を対象に、自治体が無料学習会を開いたり塾代を補助したりするなど進学支援に乗り出す例が増えている。低所得や家庭環境が原因で子どもが教育機会を失い、貧困が次世代に引き継がれる「連鎖」を防ごうとの狙いだ。学校が担ってきた学力指導に福祉行政が動き始めた。

 9月中旬、埼玉県内の母子家庭を県の教育支援員らが訪ねた時のことだ。母親は中学3年生の息子と並んで、ほっとした表情を見せた。

 「夏季講習は7万円かかると聞いたので、子どもを通わせることができなかった。学習教室は助かります」

 県は今月2日、生活保護家庭で育つ約650人の中3生を対象に無料の学習教室をスタートさせた。全県レベルでの展開は全国で初めて。参加者を掘り起こそうと、30人の教育支援員らが9月から、家庭訪問を続けている。年間予算は約1億1600万円。生活保護世帯の全日制高校進学率(今春68%)を5ポイント上げるのが目標だ。

 大阪府は昨年11月から、生活保護家庭の中3生を公民館に集めて週に2回、学習会を開いている。「夫婦間暴力、虐待など複雑な家庭事情を抱える子もいる」と府の担当者。精神的な支援もできるよう、カウンセラーの資格をもつ元教員を学習支援員に採用した。

 地域産業の地盤沈下で、市民19人に1人が生活保護を利用している北海道釧路市。中3生の勉強会に市はNPOと協力して取り組む。「参加する子は将来の街の担い手。学習支援は地域づくりの重要課題です」と担当者は言う。

 塾通いや進学時の経済支援に力を入れる自治体も現れた。東京都は2008年度から、生活保護家庭の子が塾に通う費用を補助する制度をスタートした。小学4〜6年は年額5万円、中1と中2は10万円、中3は15万円。昨年度は1億2700万円を都が独自に支出した。板橋区では今春、塾代補助を利用した子の全日制高校進学率は87%で、生活保護世帯全体の71%を上回った。

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