2010年10月7日5時48分
観光業界は歓迎するが、一枚岩でもない。徳島県の飯泉嘉門知事は「人気がある観光地は、休暇分散化でますますお客さんが集まる」との地元の見方を紹介した。休暇分散化で人気スポットに行きやすくなると、そこばかりが繁盛し、観光地の「優勝劣敗」が進むというわけだ。
■有給休暇取得、進まぬ日本
だが、会議で焦点が当たったのは、休暇分散化の是非というより「有給休暇の取得が進まない日本」という現状だった。
「日本人の不思議なところは有休を取らないことだ。有休を取れれば、休暇分散化はいらない」。17歳から世界で戦うF1ドライバーの小林可夢偉(かむい)さんは言い切った。
観光庁が休暇分散化の先行例に挙げるのは、フランスとドイツだ。フランスでは国を三つのゾーンに分け、学校の冬休みと春休みをずらしている。ドイツでは州ごとに夏休みの時期が異なる。
両国ともに有休の取得率はほぼ100%。子供の休みに合わせて親が休暇をとることが習慣化している。親子の休暇がずれることもないし、子供がいない人は、特定の時期に休みをとる必要もない。このため会社は営業を続けられ、本社と工場の休暇のずれによる問題も発生しにくい。
一方、日本の有休取得率は47%(08年)。国際労働機関(ILO)が「有給休暇を2週間連続で取る」と定めた条約についても日本は批准していない。休暇分散化をめぐる議論は、同時に「日本人の働き方と休み方」の根本的な見直しを問いかけてもいる。(澄川卓也)