2010年10月7日5時48分
地域ごとに時期をずらして5連休を作る「休暇分散化」の導入に向け、観光庁は6日、各界の著名人らを集めた「休暇改革国民会議」の初会合を開いた。成長戦略の柱のひとつに掲げ、来年の法案提出に向けて世論を盛り上げる狙いだが、各論では百家争鳴の状態だ。
都内の高級ホテルの大広間を借り切って開かれた会議には、新日鉄の三村明夫会長、宮崎県の東国原英夫知事、ファッションデザイナーのコシノジュンコさんら各界の著名人35人が顔をそろえた。
「この会議で国民的なコンセンサスを作りたい」。座長の三村氏はこう切り出し、約1時間半にわたる活発な意見表明が続いた。
休暇分散化は、観光を起爆剤に景気の底上げを狙う施策だ。休日を分散すれば、行楽地の混雑も和らぎ、旅行に出かけやすくなる。ゴールデンウイークや年末年始に旅行が集中することもなくなり、宿泊料金も安くなる――。観光庁は「経済効果は2.9兆円」との試算を示した。
政府は来年の通常国会に祝日法改正案を出し、2012年以降の実施を目指す。この日の会議は、国民の暮らしを大きく変える可能性を秘めた制度改正に向けた「議論のキックオフ」(溝畑宏・観光庁長官)との位置づけだ。
総論では、賛成意見が相次いだ。経済同友会の小林喜光幹事(三菱ケミカルホールディングス社長)は「(国際競争力の低下など)負け犬の日本経済を活性化するには、まずやってみることは大いに結構だ」と指摘。ビデオで意見表明した大阪府の橋下徹知事は「賛否両論あるなら、やってみる。ダメなら修正すればいい」とエールを送った。
だが、各論に入ると立場の違いが鮮明に。日本商工会議所は「地域ごとに休暇の時期が違うと、業務の効率が落ちる」と主張。本社と工場が違う地域にあり、休暇が異なれば、連携がとれなくなるとの心配だ。結局、休日出勤を強いられるのではないかとの懸念は強い。単身赴任者の場合も、親と子供の休暇がずれてしまう可能性がある。