2010年10月11日21時54分
コンピューターと対戦する清水市代女流王将(右)
コンピューター将棋ソフトが清水市代女流王将(41)に挑戦する特別対局が11日午後1時から東京都文京区の東京大学で行われ、コンピューターが86手で勝った。将棋のプロが公の対局でコンピューターに敗れたのは初めて。将棋ソフトの実力は年々向上しているが、ついにプロ集団の一角を崩すまでになった。
清水女流王将を破ったのは情報処理学会が作った「あから2010」。国内トップ4プログラムがそれぞれ挙げる候補手を多数決で選んで次の手を決定する。対局は持ち時間各3時間、なくなれば1手1分未満のルール。中盤までほぼ形勢互角だったが、秒読みに追われた清水女流王将にミスが出て、「あから」が押し切った。対局後、清水女流王将は「時間配分が思い通りいかなかった。終盤、しっかり形勢判断する時間がなかった」と話した。
日本将棋連盟は2005年に棋士・女流棋士が公の場で許可なくソフトと対局することを禁止。それ以降、プロとの対戦は一度だけ行われ、07年にトップ棋士の渡辺明竜王(26)が当時の最強ソフトの挑戦を退けている。実力はアマ六段程度だったが、現在は単独でもそれより二、三段ほど強くなり、トップアマを打ち負かすようになっている。今回は「トッププロ棋士に勝つためのコンピュータ将棋プロジェクト」を推し進める情報処理学会からの挑戦を将棋連盟が受けた形で実現した。