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【ゴルフ】

13年ぶりV 横田、妻と号泣!

2010年10月11日 紙面から

結婚後の初優勝を喜ぶ横田真一(左)と妻の穴井夕子さん=10日午後5時17分、神奈川・東戸塚CCで(寺西雅広撮影)

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◇キヤノンオープン<最終日>

 10日、神奈川・戸塚CC(7168ヤード、パー72)▽曇り、気温20・6度、風速1・0メートル▽賞金総額1億5000万円、優勝3000万円▽63選手▽観客13698人

 横田真一(38)=サクセスプロ=が涙の復活Vを遂げた。首位から出た横田は1イーグル、4バーディー、1ボギーの67で通算14アンダー。石川遼(19)=パナソニック=らの追撃を振り切り、97年9月の全日空オープン以来、史上2位タイのブランクとなる13年19日ぶりのツアー2勝目を飾った。一時はシード権を失ったが、タレントで妻の穴井夕子ら支えてくれた家族に結婚後初Vをプレゼント。遼は69で回り、通算12アンダー。単独2位となり、賞金ランク1位の座は守った。

 言葉にならなかった。18番。残り20センチのパーパットを慎重に決めた。グリーン横には妻・穴井夕子さん。「パパ頑張ったね」。駆け寄り、抱き締め、横田が男泣き。「もう何も言えなくて…。やっと女房に優勝を見せられた」。2000年6月に結婚。前回Vは、97年9月。13年19日ぶりの歓喜に肩を震わせた。

 首位タイの最終日。前夜は「雨で中止になれ」と3度も起きて天気予報をチェックし、雨がやむとため息ばかり。「どうせ勝てない」。実際に、1番はボギー発進。だが直後の3番。残り101ヤードからの第2打がカップイン。まさかのイーグルで首位タイに浮上すると、その後も着実にバーディーを奪取。気付けば遼を振り切っていた。

 思い入れのある大会だった。選手会長だった06年。男子ゴルフは人気低迷にあえいでいた。横田が奔走し、新大会のスポンサーとなってくれた企業の1つがキヤノンだった。「当時は忙しくて…。でも、これで報われた」。新大会を引っ張ってきた代わりに、06年はシード権を喪失。日本ゴルフツアー機構から、特例シード権を与える話もあったが断った。

 「ゴルフが素晴らしいのは自分が審判ということ。そう話してきた自分が特例を受けるわけにはいかない」。長男・知己君(7)らに生きざまを示した「究極の決断」。試合がないストレスに中耳炎にもなった。左手首を痛め手術も考えた。苦難を乗り越え、昨季は15万円差で何とかシード権を獲得。苦労のすべてがようやく実を結んだ。「次より、子どもは褒めてくれるかな。尊敬してもらえたらうれしい」。不器用だが、ゴルフに正直な男は、家族の誇りを背中に受け止め、ゆっくりと3勝目を目指す。 (寺西雅広)

 

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