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[18550] 【習作】遊戯王GX オリ主憑依モノ 改め 『俺とデュエルと鉄の騎士』  
Name: 剣◆89237c12 ID:b2871f3e
Date: 2010/10/10 02:10
はじめまして初めて投稿させていただきます剣と申します。


この作品を読むにあたって以下の注意事項があります。


・この作品は遊戯王GXのオリ主憑依モノです。よってネタばれがあったりします。

・カードの効果はOCG基準ですが初期やアニメ効果なんかはアニメの進行に沿って適用します。

・アニメ、原作オリジナルのカードは自重はしますがたまに使ったりするかもしれません。無論、壊れ効果でないものに限ります。

・この作品はロマンデッキを使用しています。実用性は皆無です。

・筆者は演出重視の表現をしたりします。例えば厨二病的な。

・キャラクターの中にはPSPソフト『タッグフォース』シリーズから引用したりする子もいます。

・筆者の執筆スピードは亀の如き鈍さですので更新に時間が掛ります。月一更新を目指していますがどの程度守れるかわかりません。

・初心者ですので表現に問題があったり誤字脱字やカードの効果処理等、目に付いたら感想掲示板にてお知らせください。早急に修正します。

・筆者は城之内克也をリスペクトしています。



以上、1つでも気にいらねぇと思われる方はブラウザバックで戻ることをお薦めします。





それからデュエルでのフェイズ進行ですが

まずはドローフェイズは「俺のターン」と自分のターンを宣言するセリフの下にそのターンをプレイするプレイヤー名とライフと手札、そして場の状況を書きます。
この時をドローフェイズとし、ドローフェイズ中にカードを発動する場合は「ドローフェイズに~を発動する。」と宣言させます。


次にスタンバイフェイズはドローフェイズ同様「スタンバイフェイズに~」という宣言がなければスキップしてメインフェイズ1になります。

バトルフェイズは「バトル!」もしくは「攻撃する!」等の宣言の後に移行します。

メインフェイズ2については発動するカードがなければ基本スキップで行きます。

最後にエンドフェイズはドローフェイズのようにエンド宣言のセリフの下にプレイヤー名、ライフ、手札、場の状況を書きます。

一応分かりにくそうなものにはフェイズ宣言をします。




長くなりましたが、この作品で皆様の暇を潰すことが出来れば幸いです。



追伸:題名募集しています。あとモンスターの攻撃名とか募集したりするかもしれません。





[18550] 第一話 始まった日~デュエルアカデミア実技試験~   ※5/6修正
Name: 剣◆89237c12 ID:b2871f3e
Date: 2010/05/06 12:40
一度目は大した知識もなくて、


けれどそれがとても厳しい状況であるのは何となく理解できて


それでも諦めないその人が眩しく見えて


だからその人が喚び出した騎士がとても格好良くて


その騎士は容易く絶望を打ち砕く様に心躍ったことを良く覚えてる



二度目は少し知識を持って


俺は前と同じ状況と自分の置かれた状況に戸惑っていて


そんなことをお構いなしにその人はただ前を向いて


再び喚び出された騎士は変わることなく格好良くて


気づけば俺は考えることも忘れてその騎士の活躍に目を奪われていた






そんな懐かしい夢を見た。

「・・・・・・。」

カチッカチッと時計の音が部屋に響く。

頭が重い。昨日デッキの調整に時間を掛け過ぎたせいだな。



……

………


目は開いているが一向に思考を開始しない。

そんな脳のために基本的な思考から初めて今からすべきことを考えよう。

俺こと佐伯 隆一(サエキ リュウイチ)は所謂憑依系のトリッパーだ。

数年前に遊戯王の世界の今の身体に憑依した。

その時はいきなり目の前で繰り広げられる本物のソリッドヴィジョンを使ったデュエルに驚くばかりで何もできなかった。

目を開けたら戦士族モンスターが化け物相手にバトってたらそんな反応も仕方ない、そうだろ?

しばらくして自分が遊戯王のバトルシティ編に来たという思考に至った。

トリップしたと理解した俺が始めたことはM&Wのカード集めだ。

遊戯王の世界に来たらやはりデュエリストになってみたいだろう?

後に知るのだが憑依した身体の元の人は無趣味で内気な子だったそうでデッキを組めるほどのカードを持っていなかったのだ。

その数枚がこれまた面白いカードだったりしたのだが、これはまた今度の機会にしておこう。

そしていきなりカード集めを始めた俺を見た両親は『内気な息子にいい影響になった』と息子の変化に特に訝しがることなく喜んだ。

どうやら元の人と俺とは内気か否かという違い以外性格に大きな違いはなかったようで自然に溶け込むことができた。

そして俺がトリップしてから数年の月日が過ぎついに俺はデュエルアカデミアの入学試験を…

と、そこまで思考してはたと気付いた。

自分が目覚めてからもう結構時間がたった気がするのだが?

目覚ましのベルで起きた感じではなかったので予定より早く起きたのか?

試験会場は海馬ランド、自宅はKC勤めの父のおかげでドミノ町に近い。

まだ時間に余裕があるだろうがさっさと支度w・・・・・











そして時は動き出す

「はあああぁっぁぁぁぁあっぁあぁぁあああ!!?!?!?」

愛用の目覚ましは予定を軽く過ぎてそろそろレッドラインに入ろうかというを指していた。

「なんで?どうして?!ほわぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?!?!」

もはや日本語に否、言語にすらならない叫びを上げつつも身体は着替えと支度を最短でこなしていく。

ジーザス!どうしてこうなった?!

そうさ!夜遅くにデッキ調整始めたりしたからだよ!!

準備を終えた俺は階段を三段飛ばしで駆け下り玄関へ

「まったく、母さんは起こしたわよ?」

呆れた調子でオカンが台所から顔を覗かせる。

文句を先に封じられた俺は無言でオカンに向かって口を開ける。

すぐにスバラシイコントロールを以って俺の口にトーストがセットされる。

「受験用紙持った?デュエルディスクは?デッキは?」

トーストを咀嚼しながら靴ひもを結びオカンに聞かれたモノを掲げて確認する。

すべて確認を終わるとオカンはため息1つ

「はぁ、明るくなったのはいいけど今度はデュエルのこととなると周りの見えないように・・・。」

「ひっへひはーふ!!」

オカンの説教から逃げるように、得られたエネルギーを即消費して全速で最寄駅までダッシュを開始した。

「……まったく、がんばってね~」

門を出るときに聞こえたオカンの声援で少しだけ身体を軽くなるのを感じた。




~海馬ランド・デュエルアカデミア実技試験会場~


「受験番号92番の佐伯 隆一君ですね?」

「よろしくお願いします!」

挨拶は元気よく、これ常識。

朝はドタバタしたが受付にはギリギリで間に合った。

どっちかつーとインドア派の俺にしては頑張った方だろう。

しばらく呼吸困難のように喘ぐ羽目になったがね。

しかしアレだね、深呼吸している間に思ったんだが、『デュエリストは髪型で分かる』法則は主要キャラだけでなくモブのみなさんにも当てはまるんだね。

誰一人として奇抜じゃない髪型がいねぇ(汗

例えば、さっきから不安そうにうろうろしている青い髪のメガネのチビッ子とか席の後ろの方でふんぞり返った目つきの悪いサンダー+腰巾着´sとか・・・

俺?俺は黒髪を前髪ごと後ろでポニーテールしてるよ。

龍亜の前髪オールバックバージョン?

前の人がそうしてたっぽいのでそのまま。

つーかサンダーの髪型ってアレどうなってんの?

ワックス?ワックス使って自分でセットしてんの?

そしてその髪の毛の多さに嫉妬、禿げてしまえ!

まぁ、その個性的なメンツから今がGXの時代であるということも確認。

さすがにGXが遊戯王の何年後かまでは覚えてなかったし。

「佐伯君だったね。周りのことは気にせず君の全力をぶつけてきたまえ。」

「え?あ、はい!お願いします!」

どうやら、周りをキョロキョロ見ていたのを緊張してると思われたらしい。

まぁ、事実しているだろう。

胸の鼓動は早いし武者震いも止まらない

気分はこれ以上ないほど高揚している

そうだ、ワクワクしてる!

異世界に、ましてや遊戯王の世界なんてトリップして

本場のデュエルや本物のソリッドヴィジョンを体験して

それでもまだ始まっていない

本当の始まりは今この時

ここから自分の人生が、物語が動き出す

「それでは実技試験を開始します。」

「はい!」

腕に付けたデュエルディスクを起動する。

デッキはすでにセットされていて後は引くだけ。

深呼吸を1つ

前を向いて相手を見据える

さぁ、俺の物語を始めよう!

「「デュエル!!」」

「俺の先行!ドロー!」
隆一:LP4000 手札6 場0

ルールはアニメでおなじみライフ4000の先攻後攻早い者勝ち。

手札をさっと見て即判断!

今回はやりたい事があるので先攻奪取!

試験だからか試験官も本気で先攻取りに来ていなかったから楽に頂けた。

「モンスターをセットし、リバースカードを一枚伏せてターンエンド!」
隆一 :LP4000 手札4  場セットモンスター1 伏せ1

「どうした?そんな消極的なデュエルでは試験を突破することはできないぞ!私のターン、ドロー!!」
試験官:LP4000 手札6  場0

なんか試験官のテンションが高いな。

この人元々熱血な人なのか?

「私は【ヂェミナイ・エルフ】(ATK1900)を攻撃表示で召喚!」

ソリッドヴィジョンによって現れるエルフの双子姉妹。

通常モンスターだが攻撃力はレベル4では十分高い1900、さらに魔法使い族であるため使い道は多い。

相手は魔法使い族中心のデッキの可能性が出てきた。

「バトル!【ヂェミナイ・エルフ】でセットモンスターを攻撃!」

試験官の宣言と同時に【ヂェミナイ・エルフ】が魔力弾を放ち俺のセットモンスターに魔力弾が迫る

だが、

「なに!?」

魔力弾はかき消え俺の場には【名工 虎鉄】(DFE500)が裏守備から表守備に変わり破壊されずに残っていた。

「俺は攻撃を受けた瞬間、このカード【和睦の使者】を発動さてもらいましたよ。」

『和睦の使者』は発動したターンのエンドフェイズまで自分フィールド上のモンスターは戦闘によっては破壊されず、戦闘ダメージも0になる優秀なカードだ。

「よって虎鉄は破壊されなかったというわけか…。」

試験官が納得したようにうなずく。

ただ、デッキに入っているのは一枚きり。

いきなり手札にきたのは幸運だった。

「虎鉄のリバース効果発動!デッキから装備魔法を一枚手札に加えます!俺は『閃光の双剣‐トライス』を手札に加えます!」

「これでこのターン君が受けるダメージは0。次の自分のターンに生贄とできるモンスターが残る…か。なるほど、なかなかの強かさだ。」

そう試験官が俺をほめるが、

「だが甘い!手札から速攻魔法『ディメンション・マジック』発動!!」

試験官の場に【ディメンション・マジック】のカードに描かれた棺のようなものが現れる。

「このカードは魔法使い族が場にいる時に発動可能!場のモンスター一体を生贄にささげ、手札の魔法使い族を特殊召喚する!場の【ヂェミナイ・エルフ】生贄に・・・」

開かれた棺に【ヂェミナイ・エルフ】がマジックショーを見せるような優雅さで入り込み

「手札の【コスモクイーン】(ATK2900)を特殊召喚する!」

再び開かれた棺の中から魔法使い族通常モンスターではブルーアイズに次ぐ攻撃力を持つ魔法使いが現れる。

【ディメンション・マジック】の特殊召喚にはレベルの制限がないため、こうして場に魔法使い族モンスターがいればいきなり上級・最上級モンスターを呼び出せる。

そして、このカードの効果はそれだけじゃない。

【コスモクイーン】の出てきて開いたままの棺から鎖が飛び出し俺の場の虎鉄を棺に引きずり込み

「【ディメンション・マジック】の効果!相手フィールド上のモンスター一体を破壊する!」

棺ごと爆破された

「くっ!!」

しかし、このソリッドヴィジョンの衝撃とか爆風とか一体どんなトリック使ってんだよ!?

爆煙に交じる破片が痛い!コッチに来てから十数年、この謎だけは解けることはなさそうだな、まったく・・・

「たとえ戦闘で破壊できなくても効果破壊ならば通用する!リバースカードを一枚伏せて私はターンを終了する」
試験官:LP4000 手札4 場【コスモクイーン】 伏せ1

「さぁ、私の場には攻撃力2900の【コスモクイーン】がおり、君の場にはモンスターもない。この状況を打破することができるかね?」

試験官が余裕の笑みを浮かべている。

だが、コッチの用意も十分だ!

「して見せる!俺のターン!ドロー!」
隆一 :LP4000 手札6 場0

「俺は手札から魔法カードを発動!【おとり人形】!!」

俺の前に藁人形が現れ試験官に向かって飛んでいく。

それを遮るように試験官の場に伏せられたカードが立ち上がる。

「何だ?!カードが勝手に・・・!」


「このカードは相手フィールド上の魔法、罠ゾーンにセットされたカードを確認し、それがトラップだった時、強制的に発動することができる!」

伏せられていたカードは・・・

「伏せていたカードは【ジャスティブレイク】だ・・・。」

藁人形が【コスモクイーン】を中心に発生した落雷に吹き飛ばされる

「発動した【おとり人形】は墓地に行かず、デッキに戻しシャッフルする。これであなたの【コスモクイーン】を守るものは何もない!」

「クッ!だが!【コスモクイーン】は未だ私の場に健在している!このモンスターを倒さぬ限り私に勝つことは・・・!」

「ならソイツを倒してアンタに勝つ!俺は手札からコイツを召喚するぜ!!」

デュエルディスクにセットするのは俺の始まりになったカード

さあ!派手に決めようぜ!!

「現れろ!【鉄の騎士‐ギア・フリード】!」

現れるのは黒き鉄の鎧を纏った戦士。

城之内克也が愛用したアタッカー。

俺が遊戯王にのめり込むキッカケとなったカード

そして、このカードでギア・フリードに秘められた力を解き放つ!

「さらに魔法カード発動!【拘束解除】!!」

【拘束解除】の発動ともにギア・フリードの鉄の鎧が光と共に剥がれ落ち、

「場の【鉄の騎士‐ギア・フリード】をリリースすることで、デッキまたは手札から【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】(ATK2600)を特殊召喚するぜ!!」

光がおさまるとそこには長髪の戦士、デュエルモンスターズ界で最強と謳われたソードマスター

俺のデッキのエース、【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】が姿を現した!

「1ターンでレベル7のモンスターを召喚か・・・。だがそのモンスターの攻撃力では私の【コスモクイーン】は……!」

「たしかに、『戦闘破壊は』できない。」

「何?!」

「だがソードマスターは剣を手にして初めてその真価を発揮する!手札1枚を捨て、装備魔法【閃光の双剣‐トライス】をネイキッド・ギア・フリードに装備!」

無手のネイキッド・ギアフリードに小振りの双剣が握られる

【閃光の双剣‐トライス】の効果で攻撃力が500ポイント下がり2600から2100に下がるが

「攻撃力を下げた?!…そうかそのモンスターの効果は!」

「『たとえ戦闘で破壊できなくても効果破壊ならば通用する』、ネイキッド・ギア・フリードの効果発動!このモンスターが装備カードを装備した時、相手フィールド上のモンスター一体を破壊!」

ネイキッド・ギア・フリードが手にした双剣を振るい、発生した剣圧が【コスモクイーン】を両断し爆発が起きる

「くぁっ!!」

「【コスモクイーン】撃破!!」

そして、爆煙が晴れた場には阻むモノは何もない!

「バトル!ネイキッド・ギア・フリードでダイレクトアタック!」

「ぐわぁっ!!」
試験官:LP4000→LP1900

ネイキッド・ギア・フリードの一閃が試験官に決まり、

「まだだ!装備した【閃光の双剣‐トライス】の効果でネイキッド・ギア・フリードは1ターンに2回攻撃が可能だ!」

「な・・・に・・・」!

ネイキッド・ギア・フリードの返す刀で試験官に止めを刺した。
試験官:LP1900→LP0

「ふぅ・・・。」

デュエルが終わり一息つく。

どうにもデュエル中に熱くなるクセは治らんな、

試験官相手に結構挑発的なこと言ってたし(汗

初手にいきなりギア・フリードと【拘束解除】が揃っていたのも幸運としか言えないな

だが、幸先の良いスタートに俺の気分は上々だ

「……試験終了。おめでとう、キミの勝利だ。」

「ありがとうございます!」

試験官に挨拶して上の観客席に戻る。

「……ん?」

周りの視線が気になり見渡せば何人かがこちらを窺っていたり、隣の奴と小声で何か囁き合っている。

なんやかんやでワンキルだったわけだがLP4000のコッチの世界なら十分できることだし何より今回はモンスターの効果と運が良かっただけだ。

ましてや試験官も本気ではなかったはずだ。

表側守備ができそちらが主流のこの世界でわざわざモンスターを裏守備表示で出すということはリバース効果モンスターか攻撃をどんなモンスターか分かると攻撃をためらわれるようなモンスターくらいのもの。

わざわざ何かあると分かっているモンスターにバカ正直に攻撃た後にモンスターを破壊できる【ディメンション・マジック】を使うなんてことはないだろう。

だから「フン、雑魚が粋がりやがって」とか「ほう、中々面白そうだ」的な視線やめて!

めっちゃ居心地悪いから!

自分、結構シャイボーイなの!

俺の精神(ライフ)はもうゼロよ!!

そんな居心地の悪い視線は、試験の終了間際に滑り込んできた十代とクロノスがデュエルが始まるまで続いたのであった、ジーザス!





~あとがき?~
<今日の最強カード>
鉄の騎士‐ギア・フリード
効果モンスター
レベル4/地属性/戦士族/ATK1800/DEF1600
このカードに装備されたカードが装備された時、そのカードを破壊する。


さて始まりました。今日の最強カードのコーナー!

言わずと知れた初代遊戯王の遊戯の生涯の友、凡骨こと城之内のアタッカーとして活躍したモンスターですね。

まさしく作者を遊戯王にのめり込ませた張本人(?)です。

本作の主人公のギア・フリード好きになった理由はそのまま作者に当てはまります。

あのシーンはカッコよかった!

さて効果の方ですが装備魔法を破壊するだけと一見メリットのなさそうな効果ですが、破壊される事で効果を発揮する【鎖付き爆弾】や【盗人の煙玉】を使うことで疑似【サンダー・ブレイク】やコスト無しの【押収】の効果にする事ができます。

また戦士族ということでいろいろな補助カードの恩恵を受けられたりもします。(例:【増援】【連合軍】

そして【拘束解除】が揃っていれば1ターン目からレベル7の戦士【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】を呼び出せたり。

今なお変わらぬ剣のマイフェイバリットカードですね!

処女作になるような作品で遊戯王なんて文才&プレイングセンスの問われるようなものを選んでしまったわけですが出来る限り頑張っていきたいと思います。

至らぬ所もありますが、皆様どうか暖かい目で見てやってください。

それではこのような駄文に目を通していただきありがとうございます。また次の更新でお会いしましょう。

剣でした。







[18550] 第二話 宣言した日~オベリスクブルーの洗礼~   ※5/7修正
Name: 剣◆89237c12 ID:b2871f3e
Date: 2010/05/07 19:41
ヘリが飛ぶ

向かう先は新たな舞台

ヘリが飛ぶ

向かう先はデュエルアカデミア

ヘリが飛ぶ

希望を胸に抱く者たちを乗せて

ヘリが飛ぶ

「大丈夫だ!大丈夫だって!大丈夫かな?大丈夫なんだよな?!大丈夫なの!?大丈夫さ!三沢っちも乗ってるんだメインキャラ補正ってモンがあんだろ?けど三沢っちって二期ぐらいから空気…?じゃあもしかして、もしかしちゃう?いやいやいやいや希望を持つんだ佐伯隆一!大丈夫だ大丈夫!もしもはそんな簡単には起こんないって!ああ、けど……」


………めっちゃビビりまくっているヘリ初体験の俺を乗せて










「ぜぇ…ぜぇ…やっと着いた…。」

着陸と同時に機外に転がり出てへたり込む俺

自慢じゃないがヘリなんて乗るのは前回も含みで初めてだし何より俺は超がつくほどの高所恐怖症!

むしろよく頑張った俺!超頑張った!

…言ってて情けねぇ。

とにかく先日の試験をパスした俺は入学式の行われる念願のデュエルアカデミアへとやって来たのだ。

「おい、大丈夫か?」

「あぁ、ありがとう…え~っと…。」

蹲っている俺に親切にも声を掛けてくれた人に感謝しようとして言葉に詰まる。

「三沢だ。…ホントに大丈夫か?顔色が良くないようだが…。」

言葉に詰まったのを知らない相手だから戸惑っていると思ったのか自己紹介する三沢クン。

そう、僕らのエアーマンこと三沢大地クンだ!(大事なことなのでry

GXの時代なんだしヘリで一緒だったのも知っていたから会ってもおかしくないんだがまさか向こうから声を掛けられるのは予想外デス。

「いや、ホントに大丈夫よ。」

「そうか?ならいいんだが。」

「ああ、まさか今年の編入試験一位の三沢君に声を掛けられた事に驚ろいただけっすよ。」

「…ほぉ、1ターンキルをやって見せた佐伯隆一君にそう言ってもらえると光栄だね。」

とっさに返したセリフが良くなかったのか挑発的な笑みを浮かべる三沢。

そして自己紹介前に名前を知られていたことにビックリな俺。

いきなりの原作キャラの来襲にこの態度、極めつけは三沢のプレイングスタイル…。

…まさか

「…言っとくが俺は手の内を易々と晒すような迂闊なまねはしないと言っとくゾ。」

「っ!…ははっ、ちょっと会話しただけでそこまで見抜かれるとはな。その通り、1ターンキルなんてやらかすタクティクスを持つキミの情報がほとんど無くってね。ヘタっているところを見て軽く探りを入れてみようかと思ったんだが…。」

「純粋に称賛したら返って来たのが好戦的な態度じゃバレるって。」

楽しそうに笑う三沢に苦笑で返す。

おいおい、ホントにそうだったのかよ!

言ってる最中に「コレって間違ってたら失礼&イタイ奴認定じゃね?」と不安になった俺の心配を返せ!

大体、前にも言ったが1ターンキルは手札が良すぎたおかげなのだから、いきなり目をつけられても困る。

何よりロマンデッキよりの構成だから対策デッキなんて使われたらひとたまりもねぇゼ。

「お前の方こそあの言い方だと挑発しているように取られるぞ。気をつけた方が良い、何せ…。」

「オベリスクブルーのエリート様は気難しくあらせられるらしいからね~。」

「…分かっているなら良いんだが。しかし、キミの察しの良さは油断できないレベルのようだ。」

そう言ってまたもニヤリと笑う三沢君。

そうでもないだろう。

三沢の近づいてきた理由もオベリスクブルーのことも原作知識があってこそ

おそらく、何も知らなかったら今の会話はほぼ無いと言っていいだろう。

実際、普段からも軽いぽかミスやらかしてるし、

「まあいいさ。これから同じラーイエローとしてよろしく頼む。」

そう言ってこちらに手を差し出す。

「こちらこそ、同じ寮で有意義な三年間にしよう。」

それに応じ握手を交わす。

こうして俺はラーイエローで三沢と共にデュエルアカデミアで起こる事件に立ち向かって行くのであった……

「…って言えたらよかったんだけど。」

「どうした?」

訝しげに俺に尋ねる三沢に苦笑しながら



「俺オシリスレッドだから…。」



「……は?」

一瞬凍りついた空気(三沢の事じゃないよ!)を三沢が疑問符で何とか動かす。

「今のヘリはイエローの送迎ヘリだったハズだが?」

「寝坊してレッドの船に乗り遅れちゃってサ…。」

「キミの受験番号は92番だったな…ギリギリだがイエローを狙える位置じゃないか?何よりあのデュエル内容なら十分…。」

「テストのミスが問題になったらしくてね…。」

「…ミス?」

そう、俺が今回した最大のミス。それは…

「回答欄……一教科丸々ずれて記入してたみたいで…。」

受付のお姉さんの「残念ながら『デュエリストとして集中力が欠けている』と判断されまして…」と説明された時の憐れみをこめた顔が忘れられない…。

「……。」

「……テヘッ☆」

気まずい空気に可愛らしく笑ってごまかす。

「……その、なんだ。よくあるミスだ。」

……励まされてしまった。





「ん~っ!終わった~!」

入学式の終わった校舎から出て、大きく伸びをする

入学式の校長のスピーチは長くはないが長時間立ちっぱなしっていうのは疲れるもんだ。

周りも俺のように伸びをしてたり友人と固まって話してたりと各々自由に行動している。

まだそんな友人のいない俺はさっさと寮にでも行って荷物でも開けるようと校舎を後にしようとしたんだが

「ご、ごめんなさい!」

「ん?」

見ればブルーの生徒とレッドの生徒がいた。

周りにはカードが散らばっていてレッドの方の生徒が拾い集めている。

おそらくはレッドの彼がぶつかってしまった拍子にカードをばらまいてしまったのだろう。

ん?散らばってるカードは【薄幸の美少女】【踊る妖精】【精霊術師 ドリアード】【救急救命】【ピケルの読心術】…

悉くアイドルカードと呼ばれる類のカード群。

そうか、彼がTF3で『アイドルカードの宝物庫』として称えられた愛怒瑠夫氏か……拝んどこ。

「なんだ?オイ見ろよ!コイツこんなカード使ってるぜ!」

「うわぁ、きっめぇ!」

ぶつかったブルーの生徒がなんか騒ぎだした。

しかも周りのブルー生徒まで便乗してる。

まぁ、あのデッキはロマンの充ち溢れすぎているからソッチ系の人じゃないと受け入れられないだろうが…。

(つーか、教員連中は何してんだ?公衆の面前でイジメですゼ?)

そんなイミの視線を目に付いた教師に送る。

(そうだよ!アンタ!そこの顔色悪い趣味悪いコートのデュエルアカデミアの実技担当最高責任者!!)

最初は何を指しているか分かっていなかったようだが騒ぎの中心に目を向け事態を把握すると、

(!?野郎っ!)

知らんぷり決め込みやがった!

レッドのことなんざ興味無いってか!

そうこうしているウチにブルー生徒の蛮行もエスカレートしていっている。

「ハッ!さすがオシリスレッドのドロップアウトだな!能力がクズならカードもクズってか?!」

もはや下手な演説並みに声を張り上げながら愛怒留夫を貶す。

いやぁ、【精霊術師 ドリアード】は前の世界じゃ絶版で手に入れるのも難しいレアカードだし、【薄幸の美少女】の効果も馬鹿に出来ないぞ?

その理屈で言うなら彼、結構凄いやつになるんだが…

そんな中愛怒留夫はほとんど涙目で、「もうやめてくれ!」と叫んでいる。

そんな彼の様子にさらに調子に乗ったブルー生徒は、


「こんなクズカードが大切なのか?ならこんなモン…。」

地面に散らばったカードに向かって足を上げる。

何をされるか一瞬理解できなかった怒瑠夫氏は行動が遅れ

振り上げられた足はそのまま勢いよく



「こうしてやr「せ~の…。」は?」

「そぉい!」

踏みつける前に走り込んだ俺に思いっきり脛を蹴り飛ばされた。

「~~~っいってぇぇぇぇ!!!」

所謂『弁慶の泣き所』。彼の豪傑すら泣いてしまうほどの急所にこんなヘタレが耐えきれるハズもなく地面にのたうち回る。

そんな無様なブルー生徒に近づき声を掛ける。

「…オイ、」

「な、なんだ貴様!?」

ブルー生徒は地面に転げ回ったせいであちこち泥だらけになってうつ伏せでいる非常に情けない恰好でそれでも高圧的な態度で問い返す。

だが俺はそんな相手に構うことなく言い放つ。

ああ、カードをクズ呼ばわりする奴に掛ける言葉にこれ以上のものはない。

「デュエルしろよ。」





「デュエルだと!?」

俺の言葉に多少回復したらしいブルー生徒が問い返す。

無言でデュエルディスクを腕に装着してそれに答える。

からかう程度ならまだしも、カードを踏みつけるなんて蛮行をやられちゃさすがの俺も黙っちゃいられない。

「ハッ!さすがはドロップアウト!自分と相手の実力差も分からんらしいな!」

ブルーの生徒はコチラを見下したように笑いだした。

周りのブルーの連中も釣られて笑いだす。

他の寮の生徒は笑いこそしないが二つもランクの違う相手に勝てるはずがないという意思が伝わってくる。

だが、そんなことも今の俺には気にもならない。

「ああ、分からんな。」

その一言にブルー生徒がさらに機嫌よさげに嗤おうとして

「格下に『コイツなら余裕で勝てる』と思われてそんなに愉快そうにできるお前の思考回路は俺にはどうやっても理解できそうにない。」

続いた言葉に表情を凍らせた。

さっきまで馬鹿笑いしていた周りのブルーの生徒も一斉に殺気立つ。

「良いだろう。そんなに恥を晒したいならやってやろうじゃないか。」

そういうと近くにいる奴からデュエルディスクを受け取って腕に装着する。

俺も用意しようと移動しようとして、

「あ、あの…。」

不安そうな怒瑠夫氏に声を掛けられた。

「その…なんて言ったらいいか…」

すまなそうな顔をしている辺りどうやら今回の一件に無用な責任を感じているのか。

そんな彼を見ていてふと妙案を思い付いた。

「…なあ、ちょいと頼みたいことがあんだけど。」



「フン!貴様から挑戦しておいてオレを待たせるとは良い御身分だな!」

周りには騒ぎで集まったギャラリーで即席のデュエルリングのようになっている。

ブルー生徒はすでに位置について挑戦者を迎え討つチャンピオン気取りでふんぞり返っている。

何度も言うけど、その格好は泥まみれで格好ついてないんだがな。

「どうした?さっきから大人しいがいまさら自分のしでかしたことに後悔しているのか?」

尊大な態度で挑発的なことを喚いている。

「俺が…」

先ほどからうるさいブルー男子のセリフを遮るように俺が語り出す。

「デュエルモンスターズを始めた切っ掛けは一枚のカードだった。」

手に取るカードは【鉄の騎士‐ギア・フリード】のカード

それは『今』の俺ではなく『前』の俺の話

当時はネイキッドがなかったから、エースを張れるほどの性能はなかった。

それでもこのカードをデッキから外すことはなかった。

フェイバリットだったから、理由なんてそんな単純ものだったけど。

少しでもギア・フリードの力を、可能性を引き出す方法を模索した。

「そうやって、デッキを作るうちに俺は思った。どんな強い効果を持つ一枚のカードでも、その一枚だけじゃ勝てない。足りないものがあって、それを補うモノがどこかに必ずあるんだって。」

ガキみたいな『カッコよさ』を求めたデッキであっても、初心者丸出しの未熟なデッキでも、それはカード達が互いを補い合い必要とする関係を持つ。

「どんなカードにも必要とする奴が居て、そしてそいつが自分の事を見つけてくれるのを待っている。デュエリストってぇのはカードとカードを繋ぐ懸け橋になれる存在だと思えたのさ。」

テキストに書かれた能力だけでなく、その内に秘められた無限の可能性を引き出す。

それこそ、デュエリストとしての本懐!

そう、だからこそ―――

「だから俺は貴様のようなカードをクズ呼ばわりする奴が、カードを傷つけようとする奴が気にいらねぇ。」

他人のデッキを貶す事はすなわちそいつがそのデッキに込めた想いを踏みにじる行為だ。

ましてやカードを踏みつけるなんざ、デュエリストの風上にも置けねぇ!

「俺はテメェが許せねぇ!ゆえに―――」

相手を見据え、俺は宣言する。

「―――テメェを、ぶっ倒す…!」

「クッ…いいだろう!貴様がどれほど無謀かその身に刻んでやろう!」



「「デュエル!!」」

「オレの先攻!ドロー!」
ブルー男子:LP4000 手札6 場0

怒り心頭といった様子でドローし手札を見てニヤリと笑う。

ポーカーフェイスって知ってっか?

「オレは【共鳴虫】(DEF1300)を守備表示で召喚!」

場に現れたのは青い鈴虫のような昆虫族モンスター

「昆虫族専用のリクルーターか。」

「ほぅ、ドロップアウトにしては知識だけはあるらしいな!さらにカードを三枚伏せてターンエンド!」
ブルー男子:LP4000 手札2 場 共鳴虫 伏せ×3

「俺のターン、ドロー。」
隆一:LP4000 手札6 場0

リクルーターで厄介なモンスターを呼ばせないために効果破壊で除去してしまいたいが今除去出来るカードはない。

伏せカードは三枚あるが、ここは

「手札から【鉄の騎士‐ギア・フリード】(ATK1800)攻撃表示で召喚!」

臆せず攻める!まずは相手の思惑に乗ってやるとしよう。

「ギア・フリードで【共鳴虫】を攻撃!『アイアン・スラッシュ』!」

ギア・フリードの一閃で【共鳴虫】が破壊され

「【共鳴虫】の効果発動!デッキからレベルが4、攻撃力が1500以下の昆虫族モンスターを特殊召喚!オレが喚ぶのは…【代打バッター】(ATK1000)!」

新たに現れたは遊戯王3作品でデュエル皆勤賞のバッタ型モンスター。

墓地に送られた時、手札の昆虫族モンスターを無条件で召喚できる効果を持つ。

となるとすでに手札にエースモンスターかキ―カードがあると見て間違いないだろう。

「カードを2枚セットしてターンを…。」

「おっとその前に罠カード【サンダー・ブレイク】を発動!手札1枚をコストに【代打バッター】を破壊!」

場の【代打バッター】が空から降って来た雷に打たれ黒こげになる。

だがその黒こげになった身体に罅が走り脱皮するかの様に青い芋虫のようなモンスターが現れる。

「そして【代打バッター】の効果で手札の【アルティメット・インセクト LV3】(ATK1400)を特殊召喚!さらに速攻魔法【地獄の暴走召喚】発動!デッキから【アルティメット・インセクト LV3】を可能な限り場に特殊召喚する!」

なるほど、【共鳴虫】で【アルティメット・インセクト】を喚ばなかった理由はこれか

【共鳴虫】のようなリクルーターの特殊召喚ではダメージステップ時であるため【地獄の暴走召喚】の発動タイミングを逃す

だからひと手間かけて【代打バッター】を使って特殊召喚したのか。

「さぁ、【地獄の暴走召喚】の効果だ。貴様も『鉄の騎士‐ギア・フリード』を可能な限り特殊召喚するがいい。」

「…ギア・フリードを二体、守備表示で召喚し、ターン終了。」
隆一:LP4000 手札3 場 【鉄の騎士‐ギア・フリード】3 伏せ2

「俺のターン!ドローカード!」
ブルー男子:LP4000 場 【アルティメット・インセクト LV3】3 伏せ1

「そして、スタンバイフェイズ!オレのフィールド上の【アルティメット・インセクトLV3】がLV5へと成長する。」

その言葉と共に先ほどまで気持ち悪くうねっていた芋虫達の背中が割れて中から新たなモンスターとなる。

芋虫の頃とは違い固い甲殻に覆われた身体に異様に長い手足は見る者に威圧感を与える。

「そしてレベルアップした【アルティメット・インセクトLV5】は相手の場のモンスターの攻撃力500ポイント下げる効果を得る!オレの場には【アルティメット・インセクトLV5】が三体、よって1500ポイントの…」

ズドォォォォォン!!!

ブルー生徒の説明をいきなり響き渡った爆発音と立ち込めた爆煙が途切れさせた。

勝ち誇ったアホ顔のまま爆煙の晴れたフィールドを見渡す。

自分のフィールドに【アルティメット・インセクトLV5】が『二体』。

俺のフィールドには【アルティメット・インセクト】の効果で『1000』ポイントの攻撃力を下げられたギア・フリードが三体。

そして、『破壊された』【鎖付き爆弾】を墓地に送っている俺の姿。

「エリート様に必要かは分からないが、罠カード【鎖付き爆弾】は発動すると装備カードとなって自分フィ-ルドのモンスターに装備。カードの効果で破壊された時フィールド上のカードを一枚破壊する。俺の場には【鉄の騎士‐ギア・フリード】が三体、そしてギア・フリードは装備されたカードを破壊する効果を持つ。」

ギア・フリードの最も一般的なコンボと言っていいだろう。

そして、アホ顔のまま固まったブルー生徒に

「『二体』になってしまったが、説明の続きをどうぞ。」

「貴様ぁ!!」

軽口を叩いてやる。

随分とご立腹の様子、どうやら【アルティメット・インセクト】が奴にとってのフェイバリットだったようだ。

「【電動刃虫】(ATK2400)召喚!貴様の貧弱な戦士を蹴散らしてくれる!」

顎がチェーンソーのようになったクワガタモンスターが現れ攻撃表示のギア・フリード(ATK1800→800)を両断する。

「ぐっ…!!…【電動刃虫】の効果でドローさせてもらうぜ。」
隆一:LP4000→LP2400 手札3→4

【アルティメット・インセクト】が場に出た時点で覚悟してはいたが一発でライフを半分も持って行かれた。

一体潰したとはいえ二体合計で1000の攻撃力のダウンで食らうダメージはデカイ。

このまま野放しにしていたら次のターンからもどんどん不利になっていくだけだろう。

「ハッ!ドロップアウトが粋がるからだ!【アルティメット・インセクトLV5】二体で残りの雑魚を殲滅しろ!」

そう、だからこそ―――

「リバースカード、オープン!!」

「何!?」

―――多少の犠牲を払ってもこのターンの内に二体共葬る!

「【マジックアーム・シールド】!自分のフィールド上にいるモンスターが攻撃対象になった時、発動可能!相手のモンスターを身代わりにする!」

ギア・フリードの盾からマジックアームが【アルティメット・インセクト】に向かって伸びる。

これで奪った【アルティメット・インセクト】で効果を相殺して二体共倒せる!

社長風に言うならば【アルティメット・インセクト】同志でじゃれ合うがいい!ってな

マジックアームが獲物を捕らえ俺のフィールドに引き寄せる。

だが、引き寄せられたモンスターは【アルティメット・インセクト】ではなく、

「【電動刃虫】だと…?!」

驚愕する俺にブルー生徒が余裕の笑みで言い放つ。

「【シフト・チェンジ】を発動した!これでマジックアームの対象を【アルティメット・インセクト】から【電動刃虫】に変更したんだよ!」

不味い。【電動刃虫】ではこちらのフィールドに移った時点で【アルティメット・インセクト】の効果で…

「【アルティメット・インセクト】よ!【電動刃虫】(ATK2400→1400)を蹴散らせ!」

「うっぐぅ…!」
隆一:LP2400→LP1500

くそっ!二体同時と欲を掻いたのが不味かったか!

予定より更にライフを削られた上に肝心の【アルティメット・インセクト】は無傷…!

更に―――

「【電動刃虫】の効果でドローだ。」

ブルー生徒がまたもニヤリと笑う。

「2体目の【アルティメット・インセクト】で今度こそ守備表示のギア・フリードを破壊!」

ギア・フリードが【アルティメット・インセクト】の吐き出す酸に溶かされ消える。

「そして【電動刃虫】の効果で引いた【火あぶり刑】で600ポイントのダメージだ!

「っ・・・!」
隆一:LP1500→LP900

「俺はこれでターンエンドだ!」
ブルー男子:LP4000 手札0 場【アルティメット・インセクトLV5】×2 

「どうしたドロップアウト!随分とおとなしくなったな?サレンダ―でもしたらどうだ?」

「…俺のターン、ドロー。」
隆一:LP900 手札5 場 ギア・フリード

相手の場には【アルティメット・インセクト】が進化を残して二体にライフポイントはついに1000を切った。

状況は厳しくなる一方だが、【電動刃虫】で引いたカードは悪くない。

今ドローしたカードもまさにビンゴだ。

「マジックカード【タイムカプセル】発動!」

二ターン待たないといけないが魔法、罠、モンスターどのカードでもサーチできるこのカード。

これでキ―カードは後一枚!

「伏せカードを二枚出し、【ハイエナ】(DEF100)を守備表示で召喚!俺はターンを終了する。」
隆一:LP900 手札2 場 【ギア・フリード】【ハイエナ】 【タイムカプセル】伏せ2

「ハハッ!この状況でそんな雑魚しか出せないとは、俺のターン、ドロー!」
ブルー男子:LP4000 手札1 場【アルティメット・インセクトLV5】×2

「そしてついに【アルティメット・インセクトLV5】は最終進化を遂げる!」

【アルティメット・インセクトLV5】が光に包まれ形を変え、

「現れろ!【アルティメット・インセクトLV7】(ATK2600)!!」

LV5にさらに角が生えたLV7が姿を現す!

最終形態となった【アルティメット・インセクト】は一体で相手のモンスターの攻撃力を700ポイント下げる。

そしてそれが二体もいる事で実質攻撃力4000、もはや神や幻魔の領域。

戦闘破壊は絶望的な数値だ。

「【アルティメット・インセクトLV7】で攻撃!雑魚を蹴散らせ!」

破壊される最後のギア・フリードと【ハイエナ】。

「…【ハイエナ】の効果発動。デッキから【ハイエナ】を二体、守備表示で特殊召喚。」

「フン、そんな雑魚をいくら出そうがオレの【アルティメット・インセクト】の前では無力だ!さらに手札から二枚目の【火あぶり刑】を発動する!」

「うっぐぅ…!」
隆一:LP900→LP300

「これでもう貴様はエースモンスターを呼び出すこともできずライフは風前の灯!勝負は決まったようなものだな!」
ブルー男子:LP4000 手札0 場【アルティメット・インセクトLV7】×2

「クッ…!俺のターン!」
隆一:LP300 手札3 場 【ハイエナ】×2 【タイムカプセル】伏せ2

ドローカードを確認する。

よし、キ―カードじゃないがほんの少し時間を稼げる!

「【アースクエイク】発動!フィールド上のすべてのモンスターを守備表示にする!」

「ハッ!守備表示にしたところで貴様の雑魚では【アルティメット・インセクト】の守備力にも及ばない!次のターンで攻撃表示に戻せば……!」

「さらに装備魔法【重力の斧‐グラール】をハイエナに装備!」

【ハイエナ】の前に一本の斧が現れ【ハイエナ】がそれを咥える。

そして咥えた瞬間、空気が震えるほどの重圧がブルー生徒の場を支配した。

「【重力の斧‐グラール】がある時、相手はモンスターの表示形式を変更できない!ターンエンドだ。」
隆一:LP300 手札2 場【ハイエナ】×2 【重力の斧‐グラール】伏せ2

守備表示ではどんなに強力なモンスターでも攻撃することはできない!

一瞬【絶対防御将軍】という言葉が頭をよぎったがさすがに入れてないだろう。

どの道モンスターを新たに召喚された時点で崩れるようなロックだ。

後は野となれ山となれだ!

「チィ!小賢しい真似を……俺のターン!」
ブルー男子:LP4000 手札1 場【アルティメット・インセクト LV7】

「クッ……クハハハハハハ!!ドロップアウト!貴様の陳腐な策はもはや意味がなくなった!俺の引いたカードは【砂塵の大竜巻】!これでその眼ざわりな斧を破壊すれば貴様を守るものはない!さらに悪い知らせだ!俺のデッキには貫通効果を持つ【セイバー・ビートル】がいる。そいつを引けば貴様はひとたまりもない!」

ブルー生徒が場に【砂塵の大竜巻】を伏せる。

「せいぜい怯えろ!泣いて許しを乞え!所詮貴様らレッドはエリートの俺達に敵う道理などない!」
ブル―男子:LP4000 手札0 場【アルティメット・インセクト LV7】×2 伏せ1(砂塵の大竜巻)

ブルー生徒はもはや自分が負ける事がないと信じきっているのかこれ以上は無意味だと喚く。

周りに目を向けてもギャラリーは状況の悪さに勝負は決したとばかりに一人、また一人とこの場を離れていく。

たしかに今ある手札のカードではこの状況は打開できない。

だが、

「貴様…何がおかしい?」

俺の顔には絶望の色はなく、笑っていた。

まったく、自分の性分ながら呆れ果てる。

相手に怒りを覚えてデュエルを挑んだってのに、いつの間にか楽しんでるのだから

「こういう絶対絶命のピンチってぇのはどうにも心が躍っちまってな。ここから、どうやって逆転するか考えるだけでワクワクしちまうのさ!」

「逆転だと…?この状況でなにを世迷言!」

ブルー生徒が言い返す。




「ドロップアウトがいくら吠えようがこの状況は覆ることはない!」

「確かに、俺がなにを言っても覆らないだろうな。」

視線を落としてデュエルディスクに目を落とす。

そうだ、デュエルをひっくり返すのはいつだって、

「覆すのはコイツだ。」

デッキに眠るカード達。

想いを込めたからこそ、デッキは答えてくれる!

デッキに指を掛ける。

理論的でも現実的でもない。それでも―――

「俺の・・・!」

―――それこそが俺の信じる、デュエルだ!

「ターンっ!!」
隆一:LP300 手札2 場【ハイエナ】×2 【重力の斧‐グラール】【タイムカプセル】伏せ2

シンと場が鎮まる。

ドローしたカードは…。

「……来たか!」

まさに今この場に相応しいカード!

「スタンバイフェイズに【砂塵の大竜巻】を発動!【重力の斧‐グラール】を破壊!」

ブルー生徒がグラールを破壊したことで重圧が消える。

だが代わりに【タイムカプセル】で送られてきたカードが手札に加わる。

これで役者は揃った!

「俺は儀式魔法【ドリアードの祈り】を発動!場のハイエナをリリースし、手札の【精霊術師 ドリアード】(ATK1200→0)を儀式召喚する!」

「ど、ドリアードだと?!」

そう、これはデュエル開始前に怒瑠夫氏に借り受けた、ヤツがクズだと罵っていたカード!

【精霊術師 ドリアード】、エレメントマスターの名の通り元々の属性である「光」のほかでも「風」「水」「炎」「地」の属性としても扱うことができるのだ。

「…ハッ!何を出すかと思えば所詮は雑魚!現に【アルティメット・インセクト】の能力で攻撃力は0!そんなモンスターで何をしようと言うんだ?」

「確かにこのカードだけじゃ何もできねぇ…。だが言ったはずだ『どんなカードでも必要とする奴がいる』と!そしてコイツがドリアードを求めたのさ
!」

そう、このモンスター効果があってこそ発動できるカード。

「罠カード【風林火山】発動!」

【風林火山】は自分フィールド上に「風」「水」「炎」「地」の四つの属性のモンスターが居る時にしか発動できないが、厳しい発動条件に見合うほどの強力な四つの効果を選択できる!

【精霊術師 ドリアード】は一体でその厳しい発動条件をクリアできる。

「相手フィールド上のモンスターをすべて破壊!」

ソリッドヴィジョンで場に出たカードから炎が噴き出し相手のフィールドの【アルティメット・インセクト】を飲み込み焼き尽くす!

【風林火山】の四つの効果は、詰まる所【サンダーボルト】【ハーピィの羽箒】【いたずら好きの双子悪魔】【強欲な壷】といった前の世界だと軒並み禁止カードになっているようなチート性能が備わっているのだ。

「これでてめぇの場はガラ空き、このターンでケリをつけるぜ!【ハイエナ】(ATK1000)を攻撃表に示変更してバトル!」

「ぐわぁ!」
ブルー男子:LP4000→LP3000

【ハイエナ】がブルー生徒に襲いかかり

「さらに【精霊術師 ドリアード】で攻撃!『エレメント・シュート』!」

ドリアードの放つ五つの魔力弾が追い打ちをかける。

「ちぃ!だがまだオレのライフは残っている!次のターン俺がモンスターを引けば貴様は…!」
ブルー男子:LP3000→LP1800

たしかに、俺のライフでは次のターンを凌ぐのは難しいだろう。

だが言ったはずだ『このターンでケリをつける』と!

「……何勘違いしているんだ?」

「何?!何を勘違いしていると言うんだ!?」

「俺のバトルフェイズはまだ終了してないぜ!」

「なっ…?!だが、貴様の場のモンスターはすべてバトルを…。」

中々ノリの良いヤツだ。良い具合にATMと蟲野郎との一連の会話が成立しちまったぜ。

あ、何気にコイツも蟲野郎なのな。

「確かに『今』俺の場にいるモンスターのバトルは終了した。だから新たに喚び出すのさ!リバースカード、オープン【地霊術‐「鉄」】!このカードは自分フィールド上の地属性モンスター一体をリリースすることで墓地からレベル4以下の地属性モンスター一体を特殊召喚する!」

「墓地の地属性……まさか!?」

それじゃ、そんな蟲野郎にはコイツで止めと逝きますか

「場の地属性の【ハイエナ】をリリースして、レベル4の地属性モンスター、【鉄の騎士‐ギア・フリード】を墓地より特殊召喚!!」

地面に現れた魔法陣に【ハイエナ】が光の粒子となって吸い込まれ代わりにギア・フリードが現れる。

「バトルフェイズ中の特殊召喚だ。当然コイツはバトル可能だぜ?」

「う、うぁぁ…。」

目の前に迫る敗北の瞬間に臆したのか顔面蒼白のブルー生徒が後ずさる。

傍から見れば哀れになるほどのおびえようだ。

だが俺はそんなことを気にも留めずに

「宣言したからな、」

手を振り上げながらつぶやく、

「『テメェをぶっ倒す』ってよ。」

その手を断頭台の如く振りおろし、それを合図にギア・フリードは相手へと飛び出す。

「ギア・フリードの攻撃!『アイアン・スラッシュ』!」

「う、ウソだ…オレが……オベリスクブルーであるこのオレがレッドのドロップアウトなんぞにぃぃぃぃぃ!!」
ブルー生徒:LP1800→LP0





デュエルディスクを待機モードにしてこの場を後にする。

さてと、そんじゃ怒瑠夫氏に借りた三枚返すとするか。

そう思ってギャラリーの中にいる怒瑠夫氏の方へ足を向けたのだが。

『うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

うをぉ!?なんだいきなり?!

一瞬で赤い集団に取り囲まれたと思ったらあっという間に担ぎ上げられ胴上げを始められた。

それだけならともかく、

「ちょ!?ッ高い高い高い!!!下ろしてぇえぇぇ!!!」

ただの胴上げのハズなのに飛ぶ高さが半端ない!

なんだコレ?軽く15、6m逝ってそうな勢い?!(実際は5、6メートルだったらしい。それでも十分すげぇ

高所恐怖症があああぁぁぁぁ!!!!

『お前すっげぇな!』

『感動したっ!!』

『カッコいいッス!』

『スカッとしたぜ!』

そんな称賛と共に胴上げされるのは悪い気分じゃないが高さが!高さがああぁぁぁぁ!!

上下する視界の中レッドの輪の外でニヤニヤ笑う三沢と視線だけで人を殺せそうなサンダーが俺のその日の最後の記憶と相成ったのである。

ちなみに、この一件で十代とも仲良くなったりクロノス教諭に目を付けられたりと俺に取って重要なイベントとなったのだが…

しばらくの間、俺は高い所から落ちる夢に悩まされるのであった。ジーザス!






~あとがきっぽい~
<今日の最強カード>
【地霊術‐『鉄』】
通常罠
自分フィールド上に存在する地属性モンスター1体を生贄に捧げる。
自分の墓地から、生贄に捧げたモンスター以外で
レベル4以下の地属性モンスター1体を特殊召喚する。

剣「今日のカードはコチラ!その道の人には有名な『霊術』のカードですね。」

隆一(以下:隆)「俺のアイドルカードになります。え?怒瑠夫氏に借りたものじゃないですよ?」

剣「地属性ということでギア・フリードの蘇生に使えますし今回のように戦闘を終了したカードをリリースして新たに召喚したモンスターで追撃。さらに対象を取る効果をかわしたりと汎用性に富んだカードだと思います。」

隆「さすが俺の嫁!」

剣「さて、それでは次に謝罪の方に移らせてもらいます。」

隆「一話から見てくださって戦士族デッキを期待してくださった方々。申し訳ありませんが見ての通りの地属性種族不統一の一般的に見てザコと呼ばれるようなデッキを使用しております。すいませんっした!」

剣「ホントにスンマセンッした!!いや、けどちゃんと理由はあるんですよ(汗)?
  まず本作はよくある受験前にデッキをもって転移した話じゃなくて遊戯王の世界で1からカードを集めた話になります。
  ソコで問題になるのは遊戯王の世界でのカードの値段です。子供にも広く浸透していることから価格は当然お手頃な現実世界と同じと仮定します。
  ですがダイナソー竜崎はバニラで攻撃力2400の【真紅眼の黒竜】に数十万掛けたと言っています。
  それでは先の仮定に矛盾するので筆者は『パックの中にある上級カードが現実世界より封入率が極めて低く、個別でカードを買うと非常に値が張る』という結論に至りました。
  これならそんなに金はないけどクジ運のいい城之内さんがパックで買って封入率の少ない最上級の【ギルフォード・ザ・ライトニング】を持ってたことも説明できそうだし。」

隆「それと俺のデッキに【ハイエナ】が混ざる理由とどう関係が?」

剣「まず【鉄の騎士‐ギア・フリード】は言わずと知れた城之内さんのアタッカー。
  そして、城之内さんはバトルシティでベスト4に食い込むほどの奮闘を見せ、気を失わなければギア・フリードはマリクに止めを刺すフィニッシャーになっていたハズ。無論、人気も出る事でしょう。」

隆「ああ、実際集めるのに苦労したからな。」

剣「ウイ、値が張るであろうギア・フリード三枚と【拘束解除】にネイキッド、さらにミラフォだの有名どころのカード等、なまじ元の世界での知識があるため個別に買い求めた隆一の財布を大寒波が襲ったのは明白です。
  今時の子がいくらのお小遣いをもらっているか知りませんが筆者の場合中学に上がるまで一貫して500円でした。そんな小遣いでこんな出費をすれば赤字は確実。」

隆「年単位で小遣いの前借したっけな……(遠い目)」

剣「その名残で未だしっかりした戦士族デッキを組めていないため、今は地属性でまとめたデッキを使用しています。
  まぁ、デュエルアカデミアならカードも学生割とかきいて集めやすくもなる事でしょうから。セブンスターズの頃にはもう少しマシになって十代とタッグも「本心は?」戦士族で組もうとしたんですがどうしてもオリジナリティもなく面白くないデッキしか組めなくて挫折しました。……ハッ!」

隆「その事については舞台裏で折檻するとして、まぁ俺の性格上新しいカードを揃えるより持っているカードの可能性を探求する性質だし、初めに書きました通り筆者共々城之内さんをリスペクトしていますので下手に最初からしっかりした戦士族デッキより泥臭くても普通は目も向けられないようなカードでも捨てたモンじゃないという考えで組んだ今のデッキは気に入ってます。」

剣「なら折檻とかしないでh「ああぁん?!」イイエ、ナンデモアリマセンヨ。(ガクブル)」

隆「そういう訳でしばらくは実用性は皆無のこのデッキを使っていきます。
  一応戦士族デッキの出来が満足できる域になったら少しずつスイッチしていくつもりでいます。
  もう少ししたらデッキレシピも公開しますので『こういうカード入れたらどうか?』みたいなご意見は感想掲示板でドシドシ受け付けます。
  ぶっちゃけ筆者が遊戯王にそんな強くないんでこの作品を通してデュエリストとしてもレベルアップを目指していますのでよろしくお願いします!」

剣「最後に今回もこのような駄文にお付き合いいただきありがとうございます。それでは次の更新でお会いしましょう。」

隆「アディオ~ス!」





[18550] 第三話 笑った夜~迫りくる蛇と光の龍~  ※6/13修正
Name: 剣◆89237c12 ID:b2871f3e
Date: 2010/06/13 18:41
「トラップ発動【鎖付きブーメラン】!攻撃してきたモンスターを守備表示にして【ギガンテス】(ATK1900→ATK2400)に装備!装備されたモンスターの攻撃力500ポイントアップさせるぜ!」


どうも、佐伯隆一です。気軽にリュウとでも呼んじゃってください。


「アッチャ~、またかわされちまったか…。オレはカードを二枚伏せてターンを終了するぜ。」


前回、オベリスクブルーにある種の宣戦布告をしたとしてレッド寮の皆さんに英雄扱いされてます。

強いて言うなら野郎に持て囃されるよりカワイ子ちゃんに騒がれたいっス。


「俺のターン、ドロー!」


そんな俺ですが、


「【重力の斧‐グラール】を【ギガンテス】(ATK2400→ATK2900)に装備!さらに伏せカードを一枚場に出す!」


早速デュエルしているわけであります。


「さらに!場に【重力の斧‐グラール】があり、手札がこのカードしかない時コイツは特殊召喚できる!現れろ、【ガーディアン・グラール】(ATK2500)!」


え?相手は誰だって?


「バトルだ!【ギガンテス】でフレイム・ウィングマンを攻撃!」

「うわっ!だけどトラップ発動【ヒーロー・シグナル】!デッキからレベル4以下の【E-HERO】一体を特殊召喚する!オレが呼び出すのは【E-HERO クレイマン】!」

「グラール!追撃の『英断の斬撃』!」

「そっちは通さないぜ!【ヒーロー・バリア】だ!」

「うげぇ~!行けると思ったのに…。俺はターンを終了だ。」


まぁ、このやり取りでGXを知る皆様はおわかりだろうが―――


「オレのターン、ドロー!よぉっし!【融合回収】を発動!墓地の【E-HERO バーストレディ】と【融合】を手札に加える!そして【融合】を発動!バーストレディとクレイマンを融合して【E-HERO ランパートガンナー】(DEF2500)を融合召喚!」


そう!我らが主人公遊城十代だね!

こやつの鬼引きはもはやイジメだって。

ここぞという時に【融合】とその時必要な融合モンスターの素材が揃うんだからおっかねぇ。


「ランパートガンナーは守備表示で相手プレイヤーに直接攻撃できる!『ランパートショット』!」


そんな訳で今日もまた大逆転をして見せられてしまった、ジーザス!








「だぁ~!また負けたぁ~~!」


大逆転をされたコッチは不貞腐れるようの大の字で寝転ぶ。

10戦1勝8敗1引き分け、そして唯一の1勝もネイキッドとトライスの1キルでの早期決着だけだし。


「アハハ、ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」


DAに来て数週間、俺はレッド寮の十代の隣の部屋に入った。

同室は怒瑠夫氏と亀をこよなく愛す漢・瓶田武司の二人。

TFでの究極のネタデッキ使い手とも言える二人、レッドじゃなかったと思うのだがどうやら今後出世していくみたいだな…。

そんな同室の二人はデッキの構築の仕方からかよく気が合い暇になるとお題『デュエリストとはどうあるべきか』で語り合っている。

詰まる所、テンションあがって説教デュエルやった俺をからかっているんだがな!ジーザス、いつか覚えてやがれ!

説教デュエルと言えば、あの胴上げを扇動したのが十代だったらしく気絶から目を覚ました俺に謝りに来た事が切っ掛けで親しくなった。

以来、部屋が隣であることを理由にこうして十代のところへとちょくちょく遊びに来ている訳だ。

これから先に起こるであろう幻魔を巡るセブンスターズとの戦いや光の結社、ダークネスと俺に何ができるというわけではないだろう

それでも彼らの冒険の少しでも手伝えればとは思っている。

ただ原作キャラ達の性格が物語後半のイメージが強かったため隼人にフレンドリーに挨拶したら鬱陶しそうにされたり、翔が頼もしくなかったりとしばらく違和感というか居心地が悪かったりもしたんだが・・・。


「くっそ~!ココでバーストレディを破壊しとけばまだわかんなかったのにぃ~!!あ~、サンダージャイアントを警戒したのが裏目に出たか~。俺のデッキの天敵って言っても良いからな~アイツ。」

「けどあのドラゴンいるじゃん。逆にアイツはサンダ―ジャイアントの天敵だぜ?」

「しかし一枚しかないから一度のデュエルで引ける確立が極めて低いと…。やっぱ、場所を取るけど【タイムカプセル】も入れといた方がいいか…。」


そして、十代と暇潰しデュエルの後は反省会兼デッキ調整をするのだが―――


「そういえば、さっきの装備魔法良いな!【スパークガン】とコンボで使えそうだぜ!なぁ~ソレくれよ~!」


―――コイツはホントに【E-HERO】シリーズとそれ関係以外のカード知識が乏しい。

肝心の【E-HERO】も手持ちやパックで手に入ったモノの事ばかりで持っていないカードに関してはサッパリなのだ。

そんなだからデュエルするたびに自分のデッキに組み込めそうなカードを強請ってきたりするのだ。


「だ~か~ら~、ガーディアンに対応した装備魔法はダメだっての!俺のデッキの最古参のカードなんだから!」


そう、先ほどの【重力の斧‐グラール】を始めとした、【流星の弓‐シール】【閃光の双剣‐トライス】【蝶の短剣‐エルマ】【破邪の大剣‐バオウ】の5枚の装備魔法と【ガーディアン】のグラールとシールの計7枚は前の俺が持っていた数少ないカード達だ。

何故彼がこんな中途半端にカードを持っていた理由は分からないが、俺の作るデッキタイプがギア・フリードを使うこともあり装備魔法を多用しがちなため今でもありがたく使わせてもらっている。

昔、【蝶の短剣‐エルマ】とギア・フリードで悪さをしたのは良い思い出だ。


「ちぇ~、まぁいっか!もう一回やろうぜ!」

「オイオイ…。」


さっきも言ったが今夜はもうこれで10戦目、このデュエルバカの相手もさすがに疲れるのだが…


「…チョイとデッキ弄るから待ってくれ。」

「そうこなっくっちゃ!」


それでもやられっぱなしは趣味じゃねぇ!ってな。

こうして応じてしまう時点で俺も大概デュエルバカなんだろう。




――――――えーっとさっきはコイツ使ったから今度は…  


PiPiPiPiPi


――――――コレと、コレと…コイツも入れとくか?
 

「ん?メールか?」


――――――コレ…は、どうしよ。


『丸藤翔ヲ預カッテイル。返シテホシクバ女子寮マデ来ラレタシ。』


――――――ん~、やっぱコッチはずしてコレを入れて


「え?!コレって…まさか、」


「誘拐!?」「できた!」



……へ?






どうやら今日は『丸藤翔偽ラブレター事件』の日だったらしい。

と言っても、『翔がクロノス教諭に弄られた』『十代がそんなクロノス教諭を皮肉った』くらいしか関連事項を覚えてない。

前者に至ってはクロノス教諭の授業はほぼそんな感じだから分かる訳もないのだが…。


「…来たわね。」


ボートを漕いでやって来た女子寮の桟橋にはやはり天上院とその側近二人に、


「アニキ~!リュウく~ん!」


涙目で両手を縛られた翔の姿。


「翔!これはどういうことなんだよ?」

「それが…「コイツが女子寮のお風呂を覗いたのよ!」だから違うって!」

「学校にばれたらきっと退学ですわね。」


ここまでの一連の流れは知っていたのだが疑問もあったので待ったを掛ける。


「…ちょっと良いか?」

「何かしら?」

「いくつか質問あるんだけど。まずさっき『学校にばれたら』って言ってたけど、下手人が捕まってるってことは…「だからやってないってば!!」翔ちょっちシャラップ!とにかく捕まえたんだから先生や警備に引き渡すもんじゃない?なんでそうせずにわざわざ十代を呼び出したりしたんだ?」


途中うるさい翔を黙らせる。

なんか地面にノの字を書いているが無視。


「…そうね、遠回しに言っても意味がないから言うけど。私はただ結城十代に興味があったの。良い機会だからこうして呼んだのだけど、アナタも付いてきてくれたのはうれしい誤算だったわ。」


うん、俺のことは置いといて十代についてのことは原作知識で知っていたのだが、


「じゃあなんでわざわざあんなメールで呼び出したりしたんだ?」


DAでは生徒に学生証の代わりにもなる端末が配られる。

これはメールやその日の授業の日程表を見れたりする学生生活を支えてくれる優れものだ。

しかし、学生が使うものなので設定をいじったりできないようにカスタムされている。

にも関わらず天上院から送られてきたメールは音声だけのメールなら『sound only』の文字が出るはずの画面が砂嵐になって音声も変えられていた。

つまり端末を普通ではない状態にしたということだ。

わざわざこのために端末を弄ったりするもんなのかが謎だったのだ。

そもそも『男性キャラより凛々しい』と言われる天上院がこんな誘拐の真似事みたいなまどろっこしい事をするとも思えない。

となると残る可能性は…。


「ああ…少し前から調子が悪いのよ、この端末。」


やっぱりか。

中等部から上がって来た生徒は高等部に上がる時新しい端末は欲しい人が個人でアカデミアに自己申告する。

要は言わなければ古いままなのだ。


「ちょっと見せてくれないか?」

「良いけど……どうするの?」

「なに、直せそうなら直そうとおもってさ。」


簡潔に答えた俺を呆気にとられた様子の天上院。

まぁ、突然学校の支給品を直すなんて言ったらそうなるわな。


「リュウくんのお父さん、KCで技術者やっててリュウくんもKC製の機械なら直せるんス。」

「こないだもデュエルディスク直してたもんな!」


これぞ俺のスキル、メ蟹ック…間違えたメカニックスキルBの力!

ランクBならばパーツさえあるなら大抵の機械をイジることができるこのスキル、某蟹さんに影響されて父上の仕事場にちょくちょく顔を出して身に付けたのだ。

それと十代。デュエルディスクが壊れたのはお前がフリスビーにして遊んでたのが原因だからね?

ちょくちょく壊して持ってくるけど学校の支給品なんだから大切にしろよ。

さて、それじゃチョチョイと直してしまいますか。

って、中の部品古!

――――――もしかして最初支給されてからずっと使ってんのか!?物持ち良いなオイ。


「……彼、いつもドライバーとか持ち歩いてるの?」


――――――カメラは完全にイカれてんな、新しいのに付け替えとくか。


「いろんなパーツもどっかから調達してるぜ?手品みてぇで面白いけどさ。」


――――――マイクの所、接触も悪くなってるな。音声の悪さはコッチのせいか。


「リュウくんの制服ボク達のより重いんス。同じ制服のハズなのに……。」


後ろで十代達が話してる間に応急処置完了。


「とりあえずちゃんと直ったか診たいから、俺んトコにメールしてみてくんない?アドレスは入れといたから。」

「え、ええ……。」


送られたメールは音声も画像も異常ナシ。ついでに天上院のメルアドゲット!

いつかサンダーに自慢したろ。


「まぁ、応急処置だから後日先生に新しいの用意してもらった方がいいかも。」

「ありがとう。助かったわ。」

「いや、大したことじゃないさ。んじゃおやすみ~。」

「ええ、お休みなさ……じゃない!アナタ達!私達とデュエルしなさい!」


ナイスノリツッコミ&やっと本題。

いや、俺が話を脱線させたんだけどサ!


「なんだよ、デュエルしたかったんなら早く言ってくれよ。」

「んじゃ、3対3二本先取のチーム戦ってことで。」

「…って!ボクも入ってるんスか!?」

「こっちから言いだしといてなんだけど、随分ノリがいいわね…。」


まぁ、コッチにはデュエルバカが二名居ますから?断るわけがないね。


「俺達が負けたら翔を煮るなり焼くなり好きにしろ!だが俺達が勝ったら翔を処刑してやるぜ!」

「それってどの道ボクに救いがないッスよぉ!!」

「女子の風呂覗いてお咎め無しとか…。」

「さすがにオレもどうかと思うぞ?」

「だーかーらー!」

「へぇ~、余裕じゃない。」

「せいぜい楽しませていただきますわ。」


会話に入って来れなかった二人も良い具合に戦意高揚のご様子。

さて、楽しんでいこうか。






そして、舞台は湖の上へ移る。


「それじゃあ、まずは先鋒は俺―――」


ボートの上で俺が一歩前に出る。

向こうの先鋒は


「コッチはアタシが最初よ!」


側近Aこと枕田ジュンコが前に出る。

それを見た俺はニヤリと笑い


「―――は、翔を選ぶぜ!」


全員がズッコケた。

ドリフも真っ青なチームワークだぜ!


「ちょっ、ちょっと!リュウくん!」

「ア・ン・タ・ねぇ~!」


枕田はともかく、翔は何が問題だというのだ?


「ムリっス!ボクがオベリスクブルーの彼女に相手になる訳無いッス!」

「いや、そもそも事の発端はお前なんだし…。」

「それでも無理っス~!!」


まったく、子供みたいに駄々捏ねやがって…

そんな翔の肩に手をかけて諭す。


「翔、よく聞け。先鋒というのはチーム戦において最も重要な役割だ。この一戦でチームの勝敗が左右する。この大役はお前でしか担えないんだ!」

「け、けどボクにはそんな…。」

「もっと自信を持て!お前は俺達のなかで最も潜在能力を秘めている。このデュエルでそれを引き出すんだ!」

「ボクの…潜在能力……。」

「そうだ!お前なら…イヤ、お前だからこそできるんだ!」

「ボクだからこそ……。」

「……やってくれるな?」


まっすぐ翔の目を見て尋ねる。

しばらく悩んだ様子の翔だが最後には決意を込めた目で…。

~十数分後~


「ざまぁ見なさい!」


結果は酷いものだった。

翔の先攻で破壊耐性のある【ジャイロイド】を召喚とまずまずの立ち上がりだったが相手の手札が鬼だった。

TFとアニメでは使うデッキのまったく違う枕田なのだが、初手に【海】と【海】がある時二回攻撃可能な【マーメイドナイト】に貫通効果を付与する【ビックバン・シュート】。

流れを完全に持ってかれた形の翔は為す術もなく敗退した。


「……リュウくん。」


ボロボロになった翔がコチラを恨めしそうに見ている。

最初の士気が高かった反動で精神的にも打ちのめされたご様子。

俺はそんな翔の肩に手を置き出来得る限りの慈しみの目で


「予想通りだ!」

「…え~。」


リアクションに覇気がない。

よっぽど打ちのめされたんだろう。

それでも残った力を振り絞り


「…ボクに秘められた力は?」

「んなモン簡単に引き出せりゃ世話ねぇよ。」


即答、反応速度コンマ1秒。


「けど先鋒はボクにしかできない大役だって…。」

「3対3なんだから先鋒が勝っちまうと一人デュエル出来なくなっちまうだろ?」

「つまりボクは当て馬だって事じゃないか~~!!」


今度こそ完全にいじけた翔はボートの端で体育座りになってしまった。

いや、けど潜在能力云々は事実だよ?

いずれは兄であるカイザー亮を超えるほどの実力を秘めているのは確かだ。

しかしそれは翔がこのデュエルアカデミアで学んだことや感じたことが翔自身を変えていった結果として開花するものなのだからこの場はしょうがないだろ?

まぁ、それを言って聞かせる訳にもいかないんだけどさ…

とにかく翔のことは今の所は置いといて、


「それじゃ、今度こそコッチは俺が出るぜ。」


次鋒戦頑張りましょうかね?

ボートの舳先に出てデュエルディスクを構える。

天上院は十代とやりたがるだろうから当然残るのは側近のもう片方。


「では、次はワタクシがでますわ。」


お嬢様口調が印象的な浜口ももえ嬢が前に出る。




「「デュエル!」」

「レディファースト、先攻は譲るよ。」

「あら、余裕ですのね?まぁ、その紳士的な態度は好印象ですわ。」



「…リュウくん、負けても被害出るのボクだけだからって……。」

「いや、アイツはガンガン戦闘したがる性格だしそういう訳じゃないだろ……たぶん。」


その通り、今回は相手のデッキを見極めたいだけだよ?ホントだよ?


「ワタクシのターン、ドロー!」
ももえ:LP4000 手札6 場0

「ワタクシは手札から【巨大ネズミ】(DEF1450) ちゃんを守備表示で召喚。伏せカードを1枚伏せてターンを終了しますわ。」
ももえ:LP4000 手札4 場【巨大ネズミ】 伏せ1


TF知識しかないが彼女が使うカードの内確かに使われるカードには【レスキューキャット】があるはず。

そしてアニメでの印象からイラストの可愛さもしくは猫を中心といった感じのデッキだろうことが予想できる。


「俺のターン、ドロー!」
隆一:LP4000 手札6 場0


まあ、そんな風に考察してみたところで―――


「マジックカード【増援】発動!デッキからレベル4以下の戦士族を手札に加える!俺が手札に加えるのは【鉄の騎士‐ギア・フリード】!」


―――やる事に変わりはないがな!


「ギア・フリードを召喚してバトル!【巨大ネズミ】を攻撃、『アイアンスラッシュ』!」

「【巨大ネズミ】ちゃんの効果を発動しますわ。デッキから2体目の【巨大ネズミ】(ATK1400)ちゃんを攻撃表示で召喚しますわ。」


まぁ、リクルーターを殴ればもう一体が来るか。


「カードを2枚伏せてターンエンドだ。」
隆一:LP4000 手札3 場【鉄の騎士‐ギア・フリード】 伏せ2

「ワタクシのターン、ドロー!」
ももえ:LP4000 手札5 場【巨大ネズミ】 伏せ1

「【巨大ネズミ】ちゃんを守備表示に変更。カードを1枚セットしてターンを終了しますわ。」
ももえ:LP4000 手札4 場【巨大ネズミ】 伏せ2


攻めてこないな~


まぁ彼女がガンガン攻めてくるイメージはないけど


「俺のターン、ドロー!」
隆一:LP4000 手札4 場【鉄の騎士‐ギア・フリード】 伏せ2


来ないならコッチはガンガン攻めさせてもらうだけだ!


「魔法カード【簡易融合】発動!ライフを1000払い、エクストラデッキからレベル5以下の融合モンスターを特殊召喚する。俺は【魔導騎士ギルティア】(ATK1850)を召喚する。」
隆一:LP4000→LP3000


だが【簡易融合】の効果で呼び出された融合モンスターはバトル出来ない。

ゆえに、


「さらに【融合】!場のギア・フリードとギルティアを融合して、【鋼鉄の魔導騎士‐ギィルティギア・フリード】(ATK2700)を融合召喚!」


空間が歪みギア・フリードとギルティギアの二体が混ざり合い新たな騎士が召喚される。

アニメにも出てなかった遊戯王Rで一回出ただけのカードだったんだがカード屋で売っていたのを衝動買いしてしまったのだ。

後悔はしていない!


「さらに、手札から【D.D.アサイラント】(ATK1700)を通常召喚してバトル!【D.D.アサイラント】で【巨大ネズミ】を攻撃!!」

「【巨大ネズミ】ちゃんの効果、【レスキューキャット】(ATK300)ちゃんを攻撃表示で特殊召喚。」


現れたな可愛い子猫ちゃん!

獣族に詳しくないからよくわからんがシンクロ召喚のないこの時代ならば使い道はグッと減る。

だが油断はできない。こうしてデッキに入っているからには何かしらの役割を担っているハズ。

ましてや追加攻撃の残っているこの状況で出されたなら何かのトラップか?

とにかく動かねば始まらない!

悪いが何かされる前に早々に御退場願うとしよう!


「ギルティギア・フリードので【レスキューキャット】を攻撃!『ソウルブレード』!!」

相手の場には攻撃力300の【レスキューキャット】が攻撃表示。


「これが決まれば大ダメージッス!」


―――そう、決まればな。


「リバースカード、オープン。永続トラップ【グラヴィティ・バインド‐超重力の網‐】ですわ!」


お約束な翔の失敗フラグの後だ。

そうなるよね……

ギルティギア・フリードとアサイラントの周りが歪んで見えるほどの重力が発生し2体の自由を奪う。


「・・・カードを伏せてターンエンド。」
隆一:LP3000 手札0 場【鋼鉄の魔導騎士‐ギルティギア・フリード】【D.D.アサイラント】 伏せ3


しかし、【グラヴィティ・バインド‐超重力の網‐】ということはロックデッキ。

TFで使っていた【黒蛇病】の線が強くなったな。

未だ発動していないということは手札にないか、コンボのための【デス・ウォンバット】待ちか…。

効果ダメージを無効にできる【デス・ウォンバット】と互いにダメージを受けるが高いダメージの期待が出来る【黒蛇病】は相性がいい。

だが【デス・ウォンバット】を【レスキューキャット】の効果では呼びはしないハズ。

【レスキューキャット】では召喚したターンのエンドフェイズに破壊されるため1ターンしか場に出せない。

呼び出すなら【百獣王 ベヒーモス】でサルベージするのだろうが、肝心のベヒーモスがグラヴィティ・バインドで攻撃することはできない。

まだしばらくは向こうから攻勢に打っては来ない…かな?

…フラグ立てたか?


「ワタクシのターン!」
ももえ:LP4000 手札5 場【レスキューキャット】 【グラヴィティ・バインド‐超重力の網‐】伏せ1

「ワタクシはカードを1枚伏せてターンエンドですわ。」
ももえ:LP4000 手札4 場【レスキューキャット】 【グラヴィティ・バインド‐超重力の網‐】伏せ2

「俺のターン!」
隆一:LP3000 手札1 場【鋼鉄の魔導騎士‐ギィルティギア・フリード】【D.D.アサイラント】 伏せ3


コンボカードが来ないのか未だ浜口が動く気配はない。

コッチも【融合】で手札使いすぎたし…

手札が増えるまで付き合うか。


「カードを伏せてターンエンド」
隆一:LP3000 手札0 場【鋼鉄の魔導騎士‐ギィルティギア・フリード】【D.D.アサイラント】 伏せ4

「ワタクシのターン、ドロー!」
ももえ:LP4000 手札5 場【レスキューキャット】 【グラヴィティ・バインド‐超重力の網‐】伏せ2

「ワタクシは永続魔法【黒蛇病】を発動!さらに【マジック・ガードナー】発動し【黒蛇病】にカウンターを乗せますわ!」


動いた!

やはり【黒蛇病】。しかも破壊耐性も付けてきやがったな。


「カードを伏せて、ワタクシはこれでターンエンドですわ。」
ももえ:LP4000 手札2 場【レスキューキャット】 【グラヴィティ・バインド‐超重力の網‐】【黒蛇病】伏せ3

「俺のターン、ドロー!」
隆一:LP3000 手札1 場【鋼鉄の魔導騎士‐ギィルティギア・フリード】【D.D.アサイラント】 伏せ4


【デス・ウォンバット】抜きで発動してきたのは意外だったがこれでタイムリミットが決められたようなもの。

コチラも動くとしようか。


「俺は場に伏せていた【ゴブリンのやりくり上手】を2枚発動!さらにチェーンして【妖精の風】を発動!全ての表側表示のマジック、トラップカードをすべて破壊し互いのプレイヤーは破壊したカード1枚に付き300ポイントのダメージを受ける!」

「ですが【黒蛇病】カウンターを取り除くことで破壊を無効にしますわ!」


だが俺の狙いはグラヴィティ・バインドの方だ!

風がフィールドを吹きぬけ【グラヴィティ・バインド‐超重力の網‐】と発動した【ゴブリンのやりくり上手】を消し飛ばす。


「ぐぅ……!」         「きゃあ!」  
隆一:LP3000→LP2100     ももえ:LP4000→LP3100

「そしてチェーン処理でまず一枚目の【ゴブリンのやりくり上手】の効果で墓地のこのカードと同名カードの枚数プラス一枚をドローし、その後手札から一枚をデッキの一番下に戻す!俺は三枚ドローして手札を一枚デッキの一番下に戻し続いて二枚目の【ゴブリンのやりくり上手】の効果を同様に処理する!」


「あれ?【ゴブリンのやりくり上手】でドローできる枚数って発動した時に墓地にある【ゴブリンのやりくり上手】の枚数に1枚なんだよね?だったらなんで三枚ドローできちゃうの?」

「アンタねぇ、そんなこともわからないの?」

「ジュンコ!……彼は【ゴブリンのやりくり上手】にチェーンしてマジック、トラップを破壊する【妖精の風】を発動したわ。これによりチェーンの逆順処理でまず【妖精の風】の効果によりフィールド上の発動して表側表示になった【ゴブリンのやりくり上手】が破壊され墓地に行く。次に【ゴブリンのやりくり上手】の効果処理だけどカード効果はカードが破壊されてもリセットされないから“墓地に【ゴブリンのやりくり上手】が存在する”状態で効果を処理するのよ。」

「………アニキ分かったッスか?」

「イヤ全然。」



十代のヤロウ言い切りやがった!?

まぁ、今の説明でわかんなかったらWikiで【やりくりブースト】検索すればいい。

俺のデッキの場合、ギア・フリード以外での【鎖付き爆弾】の起爆剤にもなるので【非常食】の代わりに【妖精の風】を採用したのだ。

コレで手札は5枚。


「いくぜ!ギルティギア・フリードとアサイラントで攻撃……。」

「トラップカード【威嚇する咆哮】ですわ!」

『ガアアアァァァァァァァ!!!』


【レスキューキャット】が愛らしい姿とは真逆の雄々しい雄たけびを上げギルティギア・フリードとアサイラントが再び動きを止める。

ってイヤイヤ、ちょっと待ってよ!

今一瞬あの【レスキューキャット】の顔がライオンか何かみたいな顔になってたぞ!?

いや、顔戻ってから「何?」ってかわいく首かしげても騙されないからな!?俺確かに見たからな!


「このカードの効果でアナタはこのターン攻撃宣言できませんわ」


浜口はお構いなしに効果説明を続ける。

後ろの女性陣が顔を引き攣らせているところを見ると知らないのは浜口だけか・・・。

……知らぬが仏か。

とにかくまたも攻撃を阻まれてしまった。

しかも今回はグラヴィティバインドを破壊してしまったから次のターンに最上級のモンスターでも攻撃できる環境にしてしまった。

こりゃ、ギャグやってる程余裕はねぇな。


「モンスターとリバースカードをセット。ターンエンドだ。」
隆一:LP2100 手札3 場セットモンスター 伏せ2

「ワタクシのターン。ドローですわ。」
ももえ:LP3100 手札4 場【レスキューキャット】 伏せ3

「スタンバイフェイズに【黒蛇病】の効果発動!200ポイントのダメージを互いのプレイヤーに与えますわ!」


その宣言とともに足元から影のように黒い蛇が数匹現れ俺の身体に巻き付き腕に噛みつく。


「ぐぅ・・・!」
隆一:LP2100→LP1900    ももえ:LP3100→LP2900

「【黒蛇病】の効果は次のターンには今受けた200ポイントの倍の400ポイントが。そしてその次のターンにはそのさらに倍……。あなたのライフが尽きるまで増え続けますわ。」


結構いやな効果だよなぁ。長く場にあればそれだけダメージが増えて大けがは間違いない。

その分共倒れの可能性もあるハイリスクなカードだ。

TF3で藤原が相打ちになって狂喜乱舞してたのは印象的だったよ。


「そして、ワタクシは【レスキューキャット】ちゃんの効果を発動。【レスキューキャット】ちゃんを生贄に捧げることでデッキから星3以下の獣族モンスターを2体特殊召喚しますわ。」


【レスキューキャット】が首に下げた笛を勢いよく吹き二つの光のサークルを出現させる。


「【デス・ウォンバット】(ATK1600)ちゃんと【不幸を告げる黒猫】(ATK500)ちゃんを攻撃表示で特殊召喚しますわ!」

「なにっ?!」


【レスキューキャット】の効果で【デス・ウォンバット】を呼んできた?!

リバースモンスターも呼んだって事はやはり【百獣王 ベヒーモス】でのサルベージ狙いか?


「さらに【不幸を告げる黒猫】ちゃんを生贄にし、罠カード【死のデッキ破壊ウィルス】を発動しますわ!」


って、ソッチかあぁぁぁ!?

ギルティギア・フリードとアサイラントが腐敗するようにボロボロになっていき崩れ落ちる。


「【死のデッキ破壊ウィルス】の効果で相手の手札と場に存在する攻撃力1500以上のモンスターを破壊しますわ。そして発動から3ターンの間ドローしたカードが攻撃力1500以上のモンスターだった場合も同様に破壊されますわ。では、セットモンスターと手札の確認を。」

「……セットモンスターは【ハイエナ】(ATK1000)、手札は【名工‐虎鉄】(ATK500)【ガーディアン・シール】(ATK1700)だ。」


手札の【ガーディアン・シール】もギア・フリード達と同様にカードが崩れて消えていく。

……突っ込まないぞ、海馬コーポレーション製ソリッドヴィジョンシステム。


「バトルしますわ!【デス・ウォンバット】ちゃんで裏守備表示モンスターへ攻撃!」


突進してきた【デス・ウォンバット】がセットされた【ハイエナ】にボディプレスを食らわせる。


「ちぃ!【ハイエナ】の効果発動!デッキから【ハイエナ】2体を守備表示で特殊召喚!」


不味いな、【ハイエナ】でしばらく防げるだろうがあと3ターンの間アタッカーとなるカードが墓地行きはイタイ。


「さらに罠カード【キャトルミューティレーション】!」


あ、まっず……!!


「場の獣族モンスターを手札に戻し、その後手札から戻したモンスターと同じレベルの獣族モンスターを特殊召喚しますわ!【デス・ウォンバット】ちゃんを戻し、再び【デス・ウォンバット】ちゃんを特殊召喚!」


これで【レスキューキャット】の自壊効果もリセットされた上に、バトルフェイズの特殊召喚だから…!


「【デス・ウォンバット】ちゃんで再び攻撃ですわ!」

「くっそ…!」


【ハイエナ】が再び【デス・ウォンバット】に押しつぶされる。


「さらに永続魔法【平和の使者】を発動してターンを終了しますわ。」
ももえ:LP2900 手札2 場【デス・ウォンバット】 【平和の使者】伏せ1


オイオイ、本気で不味くなってきたぞ?!

唯一の救いはさっきの【ゴブリンのやりくり上手】で【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】をデッキの一番下に戻せたことか。

これでウィルス効果を受けて墓地行きになる事もない。

しかし俺のデッキに墓地のカードを手札に加えられるカードはないから根本的な解決にはならない。

墓地回収系のカードは【貪欲な壷】くらいで一旦デッキに戻してからドローの必要があるし。

【死者蘇生】を運良く引ければいいが3ターン攻撃力1500以上のモンスターが続くとせっかく補充した手札もパァだ。


「俺のターンドロー!」
隆一:LP1900 手札2 場【ハイエナ】 伏せ2


引いたカードは……よしっ!


「ウィルスの効果ですわ。手札を確認させていただきます。」

「引いたのは魔法カード【タイムカプセル】!そしてコイツを発動する!」


俺の場にエジプトのミイラが入っていそうな棺が現れる。


「デッキからカードを一枚選択して2ターン後の未来に送る!」


棺がカードを収め光を放ち消える。

後はこのカードを使える状況を残しておくだけだ!


「モンスターをセットしてターンエンド」
隆一:LP1900 手札0 場【ハイエナ】セットモンスター(名工‐虎鉄) 【タイムカプセル】伏せ2

「ワタクシのターン!」
ももえ:LP2900 手札3 場【デス・ウォンバット】 【黒蛇病】【平和の使者】伏せ1

「スタンバイフェイズ、【黒蛇病】の効果ですわ!」


先ほど同様黒い蛇が体に巻き付き噛みついてくる。

たださっきと違って『俺』だけに。
隆一:LP1900→LP1500


「ええ?!なんでリュウくんだけダメージを受けてるんスか!?」

「【デス・ウォンバット】ちゃんの効果ですわ。この子はワタクシの受ける効果ダメージを0にしてくれますの。」

「そ、それじゃ!」

「リュウに残されているのは後3ターンしかないってことか……!」

「そういうことになりますわね。さらに【平和の使者】の維持コスト100を払いますわ。」
ももえ:LP2900→LP2800

「カードを伏せてターンを終了ですわ。」
ももえ:LP2800 手札2 場【デス・ウォンバット】 【黒蛇病】【平和の使者】伏せ2

「俺のターン。」
隆一:LP1500 手札1 場【ハイエナ】セットモンスター(名工‐虎鉄) 【タイムカプセル】伏せ2


ドローしたのは…速攻魔法【サイクロン】。


「やったッス!これで【黒蛇病】を破壊出来るッス!」


確かにこれなら破壊は出来る。だが―――


「……このまま、何もせずにターンエンド!」
隆一:LP1500 手札1 場【ハイエナ】セットモンスター(名工‐虎鉄) 【タイムカプセル】伏せ2

「ええぇ?!なんで破壊しないんスか!?」


後ろで翔が驚きの声を上げる。

確かに今【黒蛇病】で破壊しておけば状況はよくはなるだろう。

それでも、『今』はコレを使うべきじゃない!


「ワタクシのターン!」
ももえ:LP2800 手札3 場【デス・ウォンバット】 【黒蛇病】【平和の使者】伏せ2

「【黒蛇病】の効果ですわ。」

「いっつぅ…!!」
隆一:LP1500→LP700


またも蛇が巻きついてくるが数がどんどん増えてトラウマ化しそうな量になってきやがった。

しかも噛みつきながらうねるもんだから更に気持ち悪い!

腕がもの○け姫のアシ○カみたいになってやがる!

皆引き気味だし(汗


「そして、ワタクシは【平和の使者】の維持コストを払わず破壊しますわ!」


わざわざ戦闘してくるのか?!


「三体目の【巨大ネズミ】ちゃんを攻撃表示で召喚してバトルを行いますわ!まずは【巨大ネズミ】ちゃんで裏守備モンスターを攻撃しますわ!」

「【名工‐虎鉄】のリバース効果でデッキから【流星の弓‐シール】を手札に加える!」

「まだ行きますわ!【デス・ウォンバット】ちゃんで【ハイエナ】を攻撃ですわ!」


【デス・ウォンバット】の巨体がまたも【ハイエナ】に迫る。

だが今回はそうはさせねぇ!


「リバース発動【地霊術‐「鉄」】!【ハイエナ】をリリース、蘇れ【鉄の騎士‐ギア・フリード】(DEF1600)!」


ギア・フリードが盾を構えて現れる。

ギア・フリードの守備力は【デス・ウォンバット】の攻撃力と互角。【デス・ウォンバット】が攻撃を止める。


「…ふふっ。」

「どうかしたか?」

「アナタの狙いがわかりましたわ。アナタが先ほど【タイムカプセル】で選択したカードは【拘束解除】。そして今手札には【サイクロン】と装備魔法の【流星の弓‐シール】がある。大方、【拘束解除】で【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】を呼び装備カードを装備することで【デス・ウォンバット】を破壊。そして【サイクロン】で【黒蛇病】を破壊して逆転を狙っていたのでしょう?」

「…そうだとしたら?」

「こうしますわ!【地割れ】を発動!」


地面がひび割れギア・フリードが飲み込まれて破壊される。


「クソッ!」

「ああ!ギア・フリードが破壊されちゃったッス……!」

「これでアナタのエースは出せませんわ。そして未だウィルス効果で次のターンに運良く引いたカードがギア・フリードであっても破壊される。さらに二枚目の【平和の使者】を発動!」

「そんな!?これじゃギア・フリードを蘇生できても攻撃が出来ないッスよ!」

「(そう次のターン運良く【死者蘇生】を引いたとしてもこれで攻撃出来ない。ワタクシの伏せカードは【聖なるバリア‐ミラーフォース‐】と【アヌビスの裁き】。サイクロンで【黒蛇病】の破壊を狙ったところで無効に出来ますわ。万一攻撃してきても返り討ち。)万事休すですわね?ワタクシのターンは終了ですわ!」
ももえ:LP2800 手札1 場【デス・ウォンバット】 【黒蛇病】【平和の使者】伏せ2


あら~スバラシイまでのピンチだなオイ。

自信満々な表情からよっぽどなカードを伏せたなありゃ。

しかし今のターンでギア・フリードを残せなかったのはかなりイタイ。

次の相手のターン【黒蛇病】のダメージは1600。残りライフは700しかない俺では耐えることは不可能。

こうなるとホントに次のドローに勝敗が掛ってきやがる。

まぁ、負けても被害は翔にしか―――


「……なんか不穏な気配を感じるッス。」


―――オトモダチのためにも頑張らないといけないネ!!

とはいってもこのターンで決めに行かないと次の相手のターンでTHE・END。

しかし、【死者蘇生】くらいしかこの状況は打開できなさそうなんだよなぁ。


「ええい!悩んでても仕方ねぇ……ドロー!」
隆一:LP700 手札3 場 【タイムカプセル】伏せ1


引いたカードは―――


「最後のウイルス効果ですわ。ドローしたカードを見させていただきます。」


―――そうか、お前が居たっけな!


「引いたカードは【ジェスター・コンフィ】、攻撃力は0だ!」

「攻撃力が0のモンスターをそのように高々に宣言されましても…。」

「確かに攻撃力は0。だがコイツは逆転への布石になる!スタンバイフェイズ、【タイムカプセル】発動から2ターン経過したことで送られてきたカードを手札に加える。そして【ジェスター・コンフィ】を特殊召喚!」


俺の場に現れる小太りのピエロ。


「コイツは手札から特殊召喚できるカードなのさ!」

「ですが、あなたの残りの手札は【サイクロン】と【流星の弓‐シール】、そして今手札に加えた【拘束解除】。それでどうしようと……。」


確かにその手札だったら何もできずに終わるだろう。

だが、


「残念だがキミは読み違いをしてるぜ?」

「なっ…?」

「手札に加えたのはコイツだ!【ジェスター・コンフィ】をリリースして【マテリアルドラゴン】(ATK2400) をアドバンス召喚!」


現れるのは6枚羽のドラゴン、俺のデッキでネイキッドに並ぶ信頼を置くアタッカー。

コイツが状況を覆すぜ!


「装備魔法【流星の弓‐シール】を装備!」


【流星の弓‐シール】のカードがマテリアルの中に取り込まれていく。


「装備モンスターの攻撃力は1000ポイント下がるが代わりに相手プレイヤーに直接攻撃ができるようになる!これで【平和の使者】のロックを抜けられるぜ!」
【マテリアルドラゴン】(ATK2400→ATK1400)


マテリアルの口に光が集まりレーザーのように細い相手を射抜くことに主眼を置いたような光線が放たれる。

それは場のモンスターを無視して一直線に浜口に迫る。

それでも浜口はあわてる様子もない。


「甘いですわ!トラップカード【聖なるバリア‐ミラーフォース‐】!」


浜口を七色に輝く覆い【マテリアルドラゴン】の攻撃を阻もうと展開される。

だが、マテリアルの効果はその上を行く!


「【マテリアルドラゴン】の効果発動!手札を1枚墓地に送ることでモンスターの破壊する効果を無効にして破壊する、『ヴィクテムサンクチュアリ』!」


効果名にツッコミは受け付けない!

マテリアルからあふれ出た光がバリアに当たるとバリアの色が七色から白く劣化していく。

その白くなった部分をマテリアルの撃ちだした光線が打ち抜いた!


「くぅ…!」
ももえ:LP2800→LP1400

「ターンエンドだ!」
隆一:LP700 手札0 場【マテリアルドラゴン】 【流星の弓‐シール】伏せ1

「…手痛いダメージを受けましたが、次のワタクシのターンに【黒蛇病】で貴方のライフが0になる。ワタクシの勝利に代わりはありませんわ。」

「そいつはわかんねぇぜ?デュエルは最後までなにがあるかわかんねぇ。」


それこそライフが0になるまで。

だから最後まであきらめない。それが俺がリスペクトするデュエリストの言葉だから!


「強がりですわね。ワタクシのターン!」
ももえ:LP1400 手札2 場【デス・ウォンバット】【巨大ネズミ】 【黒蛇病】【平和の使者】伏せ1

「これで終わりです!【黒蛇病】の効果で1600のダメージですわ!」


地面から水が湧きだすような勢いで蛇が現れ俺に這い寄ってくる。

迫りくる蛇を見ながらコレが一斉に自分に巻きついてきたらホントにトラウマになるだろうなぁと他人事のように思う。

まぁ喰らわないんだけどサ。
隆一:LP700→LP2300


「なっ……?!」


マテリアルが光を放つと迫ってきていた蛇が光の粒子に変わり俺の身体にしみ込むように吸い込まれる。


「マテリアルのもう一つの効果『ダメージフューラケイション』!コイツが場にいる限り全ての効果ダメージはライフ回復に変換されるのさ!」

「つまり、そのモンスターは……。」

「そ、バーンデッキにとっちゃ相性最悪の天敵ってことさ!」


この破壊無効とダメージ吸収。

除去系のカードの乏しい俺のデッキでは必然的に戦闘がメインになる。

しかしそうなると攻撃がトリガーとなるモンスター破壊トラップの餌食となってしまう。

それを防ぐために苦労して手に入れたカードだ。


「くっ、ですが【平和の使者】を抜けるためとはいえ攻撃力を下げたのは失敗でしたわね!【平和の使者】の維持コストを支払わず破壊し、【巨大ネズミ】ちゃんで【マテリアルドラゴン】に攻撃しますわ!」


同じ攻撃力同士で相打ちになるだろうが【巨大ネズミ】はリクルーター。

戦闘破壊された後にモンスターを召喚して追加攻撃という腹積もりだろう。

しかし【黒蛇病】で決められなかったのが相当堪えたのだろうか?

伏せカードに警戒しないとは


「迂闊だぜ!速攻魔法【移り気な仕立て屋】発動!フィールド上の装備魔法の装備対象を別の対象に移し替える!」

「なんですって!?」

「フィールドの装備魔法は【流星の弓‐シール】のみ!そして移し替える対象は当然、【巨大ネズミ】!」

マテリアルの身体から【流星の弓‐シール】のカードが現れ【巨大ネズミ】に吸い込まれていく。


「これで攻撃力が逆転したぜ!マテリアル、迎撃だ!」
【マテリアルドラゴン】(ATK1400→ATK2400)   【巨大ネズミ】(ATK1400→ATK400)

「きゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ももえ:LP1400→0


体当たりしてきた【巨大ネズミ】にさきほどとは比べ物にならない威力のマテリアルの光弾がカウンターとなって打ちこまれた。






「やったぜリュウ!」

「リュウく~ん!ボクは信じてたよぉ~~!!」

勝利と共に飛びついてくる十代と翔。

ええい!ひっつくな暑苦しい!

それと翔!テメェそんな信じちゃいなかっただろ!ネタは上がってんだぞ!

まぁ、翔への制裁は後にしてデュエルディスクを外して十代にパスする。


「ったく、そら十代!大将戦だきっちり決めてこい!」

「おうっ!まかしとけ!」


その間に俺は翔にきっちり調教を施しておくから!








「サンダージャイアントで明日香にダイレクトアタック!『ヴェイパースパーク』!」

「きゃあああぁぁぁぁぁ!!」


とりあえず、「十代VS明日香(一戦目)」は原作通りの展開で十代の勝利で幕を閉じた。

しかし、明日香のアニメオリジナルカード【ドゥーブルパッセ】、いいな~。

【スピリットバリア】や【カイトロイド】みたいなカードでデメリット消せるし―――

アカン、これじゃ十代とかわんねぇ…orz


「約束通り翔は連れて帰るぜ。」

「ええ、構わないわ。」

「フンっ!マグレで勝ったからっていい気にならないことね!」


人知れず打ちのめされている俺をよそに話が進んでいたらしい。

悔しそうな女子チームで唯一の白星である枕田。


「ちょっとジュンコ!」

「……いや、ソイツの言うとおりかもしれないぜ?」

「そうだな、結果としては勝ってはいるがドチラも辛勝……。」

「ああ、アンタ達は強いよ。」

「「「!」」」

「じゃあな。」


そういって十代はボートを漕ぎだす。

いやいやカッコイイね!さっすが色男!(具体的には二年後くらい)


「すぐそこだけど帰る時に暗いから気をつけて。翔みたいのが他にいないともかぎらないしな。」


例えば湖の中とかな。

サンダージャイアントの電撃が放たれた時謎の断末魔を確かに聞こえたぞ。


「ちょっ!だ~か~ら~!!」

「フフッ、気をつけるわ。次はアナタともデュエルしたいわね。」

「……そう遠くない未来にね。」


確かしばらくしたら廃寮の一件があるハズ。

この件で彼女はタイタン(非覚醒)に囚われる。

原作ではタイタンが闇に呑まれて終わる。

しかしそもそもタイタンはイカサマをやるがただの一般人だ、出来る事なら助けたい。

そのためにやる事は簡単、十代達を廃寮に近づかせなければいい。

だが彼女にとっては行方不明の兄・吹雪さんの足跡を辿るための数少ない機会。

彼女の性格からして止めるとしたらデュエルになるだろうからな。


「そう、楽しみだわ。」

「……それじゃ。」


いやだなぁ、せっかくの楽しいデュエルだったのに先のことを考えると気が重くなる。

こんな調子でホントに十代たちの手助けなんt『カット』

やめだやめ。考えたってどうこうできねぇんだから行き当たりばったりでもその時の最善を尽くせばいい。

彼らを手伝う道を選んだ、それが俺の道なのだから。

せいぜい楽しめる『今』を楽しもう。









〈おまけ〉
「そういえばリュウくん。なんで【サイクロン】引いたとき使わなかったんスか?」


帰りの船の中、思い出したように翔が俺に尋ねてくる。

デュエルの後に聞いたんだがあの時浜口は伏せていたカードに【アヌビスの裁き】があったらしい。

もしあのタイミングで【サイクロン】を使っていたら俺の負けが確定していたそうだ。マジで危なかった。


「そう意味では翔、お前に感謝してるぜ。」

「え?どうしてッスか?」

「だってお前言ったじゃん。『これで【黒蛇病】を破壊できる』って。」


そう、その言葉がきっかけになった。

その言葉はまぎれもなく―――


「翔が言うんだからこれは間違いなく『失敗フラグ』であることは明白だったぜ!」

「ひっど~~~~~!!」


いや、マテリアルの破壊無効コストの事もあったんだけどその前にも失敗フラグを立ててくれた翔の意見だ。

信用ができると判断した。無論、悪い意味で!


「アハハ!リュウ、ヒデ~!」

「いやいや、しかし実際に助かったんだ。これからも頼りにしてるぜ、翔。無論、悪い意味で!」

「「アハハハハ!!」」

「リュウくんっ!アニキまで~!」


月の光の反射する湖の中、ツボに入ったらしい十代と俺の笑い声と翔の叫びはいつまでも響いてた。






~あとがきという名の~
<今日の最強カード>
【マテリアルドラゴン】
効果モンスター レベル6/光属性/ドラゴン族/ATK2400/DEF2000
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在するかぎり、
ライフポイントにダメージを与える効果は、ライフポイントを回復する効果になる。
また「フィールド上のモンスターを破壊する効果」を持つ
魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、
手札を1枚墓地へ送る事でその発動を無効にし破壊する。




隆「はい、3回目の今回は俺のデッキの守護者と言ってもいいこのカードの紹介です。」


隆「手札1枚を【わが身を盾に】に変え、バーンに対するメタカードとなる効果を持っています。
攻撃力2400の守備力2000とレベル6では十分な数値であり、さらに装備カードで補えば攻撃力3000を超えていけるので戦闘において十分な性能を誇っていますね。
特殊召喚を封じられた場合での通常召喚できる数少ないアタッカーです。」


隆「以前にも話した通りこのデッキは昔使っていたものですがこのカードだけはこの作品を書くにあたって入れたカードです。
やっぱりデッキに一枚はドラゴン入れたいですよね?ちなみにこの子の前任者は【デス・ヴォルストガロフ】でした。」


隆「さて、そろそろ効果名についての言い訳を始めますが、そうです星屑の効果名からパクりました。
筆者のセンスじゃ大した名前も付けられなさそうだし……。
もうひとつの効果名の『ダメージフューラケイション』ですが直訳『ダメージ浄化』……。」


隆「………」


隆「そして今回のリスペクトカードは【魔導騎士ギルティア】!
  バトルシティ編では生贄なしで召喚されてなにもせぬ間に退場したりパラサイトされたり、挙句OCGでは意味不明な融合モンスター化。
  城之内のモンスターの中でも一二を争う不遇っぷりです。
  573、コイツの事嫌いなのか?」


隆「そして遊戯王Rにて登場したギア・フリードの唯一の融合体【鋼鉄の魔導騎士‐ギィルティギア・フリード】。
  GXは融合の全盛期とも言われる程に融合が使われますから気が向いたらもしれません。
  ただ周りが融合使ってるから使いたかった。ぐらいな理由ですのでサイドデッキへの記載はしません。
  効果の方は色んな掲示板で効果破壊への耐性やら場のギア・フリードとギルティギアを除外して特殊召喚とXYZシリーズのような融合いらずとかありましたが結局無難にただの効果なしの融合モンスターにしました。
  デッキに入れる場合と【拘束解除】とネイキッドの三枚を外し【簡易融合】【融合】を入れます。
  ただでさえ事故るクセにこんなの入れたら更に事故ります。
  ご都合主義でなければ使いこなせない仕様なのでご了承ください。」





筆者の英語の成績は赤点ですので細かくツッコまないでください。

さしあたってマテリアルの回復効果の効果名は仮ですので『こんなのどうか?』みたいなのあったら感想掲示板にて受け付けます。

一緒に攻撃名も考えてくれたらうれしいです。

それでは今回も目を通していただきありがとうございます。

次の更新で逢いましょう。




[18550] 第四話  ツキのない日~吼えろビッグマグナム!~
Name: 剣◆89237c12 ID:b2871f3e
Date: 2010/06/13 18:36
――――――ガバッ

レッド寮の自室、三段ベットの一番下。それが俺の寝床だ。(※二話目参照のこと。

目覚めは最悪。

傍らの目覚まし時計に目を向ければ六時半前。

普段の朝食が七時半からと考えると丸一時間も早い目覚めになる。

別に不眠症じゃない。寝入りはいつも通り問題なかったし、何もなければしっかりと寝つけていたことだろう。

なら何故こんな時間に起きたか?

俺は顔も洗わず寝巻替わりのジャージも着替えず部屋から出る。

出来る限り手すり側を見ないようにしながら目的地へ(※二話目参照n(ry

そして目的地の扉に手を掛け


「うっせええぇぇぇぇぇぇ!!!」


レッド寮の朝が始まる。









「うわぁ!だ、誰ッスか?!」


部屋の中にはやはり机を祭壇のように飾って【死者蘇生】のカードを祭る翔。

今日は初めての月一試験。

十代VS万丈目(2戦目)なのだが原作通り翔が怪しげな儀式を夜中にはじめたのだ。

言わずと知れたレッド寮のボロさは隣の話声が筒抜けになるほど。

そんな壁に向かって一晩中ブツブツ話しかければどうなるか?

そんな壁の向こう側ではどんな悲劇が起こるか?

もう言うまでもなかろう。


「夜中の二時からずぅ~~~っとカベから謎の声が聞こえたら安眠なんてできるかああぁぁぁ!!テメェが赤点になる分にゃ問題ねぇがコッチにまで迷惑かけんじゃねぇよ!!」

「だっ…だからっ…誰ッスっ…かぁぁぁぁぁ!!?!」


目覚め最悪な俺は翔を力の限り揺さぶりながら文句を言うわけだから翔の顔が乗り物酔いをしたかのようにみるみる青くなる。

つーか、コイツさっきから何言ってんだ?


「誰って…俺以外誰がいんだよ。」

「だから!キミが誰さんか分からないからっ……アレ?その声どっかで聞いたような?」


…まさかコイツ。

ふと思いついて『前髪』を掻き上げる。


「ああぁ~~!!?リュウくん?!」

「おいこらテメェ!たかだか髪縛ってないぐらいでダチの顔を見忘れんじゃねぇよ?!デコか?!テメェ俺の事デコで判断してやがったのか?!!!」

「ムリッスよそんな長い前髪じゃ顔も分かんな……揺らすのや~め~て~!!」


前に少し言ったが俺はオールバックを後ろでちょんまげ状に括っている。

今朝は起きてすぐココにまっすぐ来たから髪を括っていなかったので肩口の辺りまである髪がそのままだったのだ。

そしてオールバックにして後ろのゴム紐に一緒に括れる俺の前髪は垂らすと貞○のモノマネが出来るくらいに長い。

だが、それでも本人が前見て歩けるくらいには顔が見えてんだ。

ということはアレか?やっぱりアレなのか?!


「テメェもやっぱり俺のデコ見てハゲとか広いとか思ってやがんだな!?チクショ――――!!!」

「ひ、被害妄想ッス~~!!」


デコが広いの悩みなんだよ!親父殿がまばゆい光放ってんだよ!遺伝子的にチェックメイトなんだよおおおぉぉぉぉ!!


「……うるさいんだな!」


ハッ!今俺は何を……?


「静かにしてくれ。眠れないんだな。」

「おう!隼人じゃないか、バットモーニング!」


そう言って軽快な挨拶をするのだがチラリと一瞥するとすぐに布団にもぐりこんでしまった。

ちぇ~。隼人は未だに俺達に心を開いてくれない。

一体どうやって仲良しになってたっけ、十代達?


「ア~ニキ!ア~ニ~キ~!朝ッスよ~!」

「うぅん~~俺のターン、ドロー!!」

「うぎゃっ!!」


とりあえず、友の顔を覚えてくれない薄情者には正義の味方(ヒーロー)による鉄拳を受けてもらった。







「あ~うぅ~~~~。」

「どうした佐伯。顔色が良くないぞ。」


試験の終わった机に突っ伏す俺とそれを心配してくれる良い人三沢。

なんで君はそんなに良いヤツなのに空気なんて言われてしまったんだろう……。

とりあえず、あの後の進行は原作通り。

十代を置き去りに自分だけ助かる翔。

遅刻して困ってるトメさんを助けてさらに遅れて試験を受けに来て十分後には大いびきな十代。

危なげなく問題を解いていく三沢。

そして、寝不足と闘いながら入学試験の失敗を繰り返さないようミスがないか重箱の隅を突くようなしつこさで答案用紙を確認する俺。

その甲斐あって今回のテストはかなり自信がある。

え?置き去りにしたのはお前も一緒じゃないかって?

遅刻五分前まで根気よく起こそうとは努力したぜ?

それでも起きないんじゃ仕方あるめぇよ。

コッチだって入学試験のミスがあるから月一試験で巻き返しを図らねばならなかったんだよ。


「教授ぅ~聞いてくれよぉ~。ウチの隣の奴が夜中に隣人の安眠妨害を……。」

「…リュウくんって、結構根に持つタイプっすよね。」

「そんなにうるさかったか?オレいつもと変んなかったぜ?」

「いや、お前は起きろよ!あんだけ揺すってまだ寝れるって……一種の病気じゃね?!」

「ははは。見てて飽きないなお前ら。」


ちなみに『教授』というのは俺がつけた三沢につけたあだ名だ。

最初は『三沢っち』と呼んでいたんだがどうにもタニヤっち以外に呼ばれるのは不愉快だったらしい。

よって彼の理論重視のプレイングスタイルからこう呼び始めたわけだ。

さて、翔をいじっていても仕方ないし話を進めるか。


「そういや皆試験終わってすぐどっか行っちまったけど、ありゃなんだ?」

「ん?ああ、今日購買に新しいパックが入荷するらしい。」

「ええ?!ホントッスか!?」

「新しいカードか!よし、翔!リュウ!見に行こうぜ!」

「あ、待ってよアニキ~!」


一目散に購買へ走る十代。

まったく、子供か奴は……子供だったな奴は。


「やれやれ、教授お前はどうする?」

「俺は今のデッキを信頼してる。いまさら新しいカードはいらないさ。」


おお、カッコイイねぇ。

俺もそう言いたいところだが、いつまでも戦士族が揃わないとギア・フリードに不自由な思いさせるからな。

新しいパックはクロノス教諭に買い占められちまってるだろうが

新しくなくても戦士モンスターが増えれば戦力になってくれるだろう。


「俺は十代と見るだけ見てくるよ。」

「わかった。それじゃまた試験で会おう。」








それからの十代とトメさんとの一連の会話は割愛。

問題は俺の方になる。

ちなみにデュエルアカデミアではデュエルポイント制(以下:DP制)と言うTFのようなシステムが導入されている。

このポイントは普段の授業での成績や先生の立ち会いの実技授業などで貰えるものだ。

もちろん、ゲームのようにポイントを消費してカードをタダで購入というわけではなく一定のポイントを消費すれば何パーセントか割引されるというもの。

そして初日でオベリスク相手に大見得切った俺は実技担当最高責任者様によくオベリスクブルー相手に実技授業をさせていただけるので一年生の中ではかなりDPをため込んでいるのだ。

若かりし頃の借金で万年金欠な俺にうれしいシステムだ。

というわけで定価よりはるかに安くなった古い売れ残りのパックをいくつか購入して開けてみる。

とりあえず一つ目をぺりぺりっと、


「……十代、コレやるよ。」

「すげぇ!見たことねぇヒーローだ!いいのか?」

「ああ、俺よりオマエのがそいつをうまく使ってやれるだろ?」

「ありがとよ!大事にさせてもらうぜ!」


子供のように喜ぶ十代。

良い事をした後は気分がいいね。

さて、二つ目と行こうか。ぺりぺりっと、


「………翔、プレゼントフォーユー。」

「え?良いんスか?」

「ああ、俺のデッキに【ロイド】はないからな。使うことのできる奴の手にある方がコイツも幸せだろ?」

「ありがとうッス!」


うんうん、これで翔も実技試験大丈夫だろう。

だからそろそろ良いだろ?三つ目ぺりぺりっと、


「…………翔、十代。」

「あ、あのリュウくん?」

「リュウ……お前…」

「言うな十代!」


何故だか知らんが漫画版E・HEROやロイドばかり出る。

この間も【コールド・エンチャンター】とか【ドラゴニック・タクティス】等の漫画版GXのカードが出てるし。

まぁ、こうして十代達の力になってくれてるからいいのだが……

はぁ、気を取り直して最後のパック……

ここは陽気に歌でも歌って逝ってみよ~!

な~にかな♪な~にかなっ♪

今回はコレ!

【赤き剣のラインドム】【アサシン】【美しき魔物使い】【くいぐるみ】【ランドスターの剣士】

orz

どないせいっちゅうねん。


「あ、そうだ!リュウくんコレあげるッス!」


そう言って翔が差し出したカードを受け取る。

これは……


「良いのか翔?」

「うん、ボクには【ドリルロイド】がいるし。それにリュウくんにはこの間のお礼もしてなかったから…。」


ニッコリと笑ってそう返す翔。

お前ってヤツぁ……


「翔~!好きじゃぁぁぁぁ!!!」

「ちょ!ぐ、ぐるじい!!」


感激のあまり翔を抱きしめる!


「お前がそんな良いヤツだなんて知らなかったぜ!お詫びに今朝の暴言への制裁の回数を五回から三回に減らしてやるっ!」

「け、結局やる事に変わらないんスか?!」

「まずは愛のサバ折りだぁ!!!!」

「うげぁぁぁあああ!!!!サバ折りの何処に愛があるんスかあぁぁぁぁ!!?」

「ん~~。ココらへん?」


ゴキンッ!!


「っ……!?!」


クタッ……


「アレ、翔?しょぉぉぉぉう!!!」










そして実技試験会場。

試験の順番は下の寮からアイウエオ順なので十代達より先に下に降りてスタンバイする。

どのデュエルリングでも白熱したデュエルが展開されている。

勝利に歓喜する者、敗北の悔しさを胸に次の勝利を望む者……。

こういう空気は良い。

昔からネガ入ってもこういう楽しい雰囲気に浸るだけで心が躍ってイヤな事なんて忘れてしまえる。

さっきやり過ぎて保健室送りになった子の事とかもう思いだせもしない!


「フフッ、楽しそうね?」

「ム?」


突然声を掛けられ振り向けば天上院がいた。


「どうした天上院?十代のデュエルならまだ先らしいが?」

「そうらしいわね。でも今日はアナタの方に用があったのよ。」


?俺に用とな。

また機械的なものが壊れたのか?

しかしそれは試験の後でも良いし……ハッ?!

―――『月一試験』

―――『原作での十代と万丈目のデュエル』

―――『俺に用のある天上院』

その時、俺の灰色の脳細胞が1つの答えを導き出す!

謎は全て……まるっと解けたぜ!


「へぇ、俺の相手は天上院ってわけか。楽しくなりそうだぜ。」

「え?……なんの事かしら?」


………

………………

………………………

好戦的な笑みで佇むバカ(俺)

心底不思議そうな天上院。

気まずい空気。

あるぇ~~?


「……クロノス教諭から俺を『デュエルでケチョンケチョンにしてくるノ~ネ』みたいなこと言われて来たんじゃありませン~ノ?」


入学式の日の一件でクロノス教諭がイジメを無視したと職員会議で問題になったらしい。

さらに自分の寮の生徒が今期最初の敗北者になったと泣きっ面に蜂。

あの日から十代同様目の敵にされて来たものだから俺にも刺客が差し向けられたのかと……。


「え、えっと……アナタに伝えておきたいことがあって来たんだけど………。」




…………




ノオオオオオォォォォォオォォォォォォオ!!!!

以前の教授とのやり取りがあったから自分の推理力に過信してたぁぁぁぁ!!!

ちくせう!今日はツキに見放されてるらしいな!

見るな!そんな可哀そうなものを見る目で俺を見るなあぁぁぁ!!


「で、でもまったくの外れってわけでもないのよ?」


頭を抱えてのたうつ俺に慌てたように続ける。


「どこで聞いたのか、ももえとアナタがデュエルした事でももえに話を聞きたいって人が彼女を訪ねてきたのよ。そして、その彼がさっきクロノス教諭と話していたわ。」


『彼』ってこたぁ、相手はブルー男子か?寮が違う生徒に話を聞きに行くなんてよっぽどだな。

まぁ、俺は授業でも突っかかって来たブルー男子を軒並み返り討ちにしてきたからな。

少しは評価されてるってか?

かなりギリギリで勝って来たってのにも関わらず評価が高くてうれしいですよぉ、ジーザス!

しかし一体誰だ?

クロノス教諭がわざわざ頼るくらいだ、相当の手練れなのだろうが。


「それで相手はどんなヤツなんだ?」

「それは――――――」


天上院が言った名前を聞いた瞬間、


「天上院、俺の試合は見るな。」


反射的にそう言ってしまった俺は悪くないと断言したい。











「まったくもって。オベリスクブルーの俺様が進級のためとはいえお前みたいなドロップアウトのために時間を使わなきゃならんと思うと萎えちまうってもんだ。そう思うだろ?そうだよなぁ?」


対峙するのは金髪の人相の悪い男。

ガタイは良く姿勢も良いのだがその顔色の悪さでイメージが一気に悪くなっている。

そのせいで浜口にも門前払いをされたらしい。

てかアレだよね?

キミのその進級云々、絶対普段の素行とかが問題になってるんだよね?


「さて、俺様としてはオマエなんぞより可愛いネェちゃんにブチ込みたかったんだが教師に頼まれちまったんだからしかたねぇ。」


そう言って尊大な態度でデュエルディスクを構える。

早速際どいセリフ連発しやがって、ココはXXX板じゃねぇんだぞ?


「さっさとフッ飛ばして終わらせようじゃないか!俺様の暴れん坊でよぉ!!」


あぁ、お前は作品が違うだろ?

何故居る………ビックマグナム、立浪ジョージよ……




「デュエル!」       「デュエルだぁ!」
       隆一 VS 立浪
LP4000               LP4000


「俺様の先攻、ドローだ!」
立浪:LP4000   手札6  場0  

「手札から【マジック・リアクター・AID】を守備表示で召喚!」


【リアクター】だとっ!?

バカな!マグナムのくせに『機械龍(マシンドラゴン)』じゃないなんて!


「コイツは相手がマジックカードをプレイした瞬間、そのカードを破壊し800ポイントのダメージを与える!ようは雑魚に装備魔法を使って強化するオマエのデッキには天敵って訳だ!さすが先生、太っ腹だよこんな良いカードをくれるなんてなぁ!」


あ、そういうこと。

つまり、万丈目に【打ち出の小槌】を与えられたようにコイツに【リアクター】をくれてやったってことか。


「カードを二枚伏せてターンエンドだ!」
立浪:LP4000   手札3  場【マジック・リアクター・AID】 伏せ2

「俺のターン!」
隆一:LP 4000   手札6  場0


ウホッ、良い手札!

これなら装備魔法を使うまでもなく圧倒できる!


「カードを伏せて、手札からマジックカード【増援】発動!デッキからレベル4以下の戦士族、【鉄の騎士‐ギア・フリード】手札に加える!」


後はコイツを召喚して……


「させるかよぉ!トラップ発動【ピンポイント・シュート】!俺様はカード名を1つ宣言し、そのカードが相手の手札にあった場合ソイツを墓地に送らせる!」


ヤバイ!今俺の手札にはヤツに確実に当てられるカードが……!


「今加えたばかりの『鉄の騎士‐ギア・フリード』を宣言!イッちまいなぁぁぁ!」

「っ!ギア・フリード!」


銃声と共に手札のギア・フリードが打ち抜かれる。

ジーザス!確かに俺のデッキは相手に公開してから手札に加えるサーチカードも多用している。

ギャグ要因かと思えば、流石はクロノス教諭からの刺客ってことかよ!


「あるのは分かっちゃいるが手札確認だ!さぁ、手札を晒しな!」


俺の手札がソリッドヴィジョンで頭上に拡大されて写される。

【拘束解除】【D.D.アサイラント】【重力の斧‐グラール】【ジェスター・コンフィ】


「ヒュ~、あぶねぇな。危うく一ターン目からエースモンスターを召喚されるところだったが、【拘束解除】はギア・フリードがなければ死に札。残念だったなぁ!」

「悪いんだが、デュエルはエースだけでやるモンじゃないんでな。手札から【D.D.アサイラント】(ATK1700)を召喚!」


久しぶりにネイキッドを喚んでやれそうな勢いだったのだが、仕方ない。

コイツで押し通る!


「バトル!【D.D.アサイラント】で【マジック・リアクター・AID】を攻撃!『月牙一閃』!」


【リアクター】はその攻撃的な能力と裏腹に攻撃力守備力のステータスは低い。

【ジャイアント・ボマー・エアレイド】の三体の【リアクター】を揃えるという条件の厳しさに拍車を掛けている形になっている。

そりゃ、その弱点を補える補助カードはあるけ…ど………あ゛!!


「せっかちはいけないねぇ、早いと女にモテねぇぜ?トラップカード【フェイク・エクスプロージョン・ペンタ】発動!」


しまったあぁぁぁぁ!!

コイツの事すっかり忘れてたぁぁぁ!!


「このターン、モンスターの破壊を無効にしてダメージステップ終了時に手札、または墓地から【サモン・リアクター・AI】(ATK2000)を特殊召喚する!」


マズイマズイマズイ!

コレでもしヤツの手札に【トラップ・リアクター・RR】でもあろうものならすぐさま【ジャイアント・ボマー・エアレイド】が飛んでくる。

そうなったらまさにフィールドは『制圧』される!

とはいってもすでに手の内を晒された俺に出来ることもなく……


「ターン……エンドだ。」
隆一:LP4000  手札3 場【D.D.アサイラント】 伏せ1

「ハッハァ!ザマァないなぁ、オイ!俺様のターン!」
立浪:LP4000   手札3  場【サモン・リアクター・AI】【マジック・リアクター・AID】


ヤツの手札に【トラップ・リアクター・RR】があった時かなりマズイ。

非常にマズイ!

だから頼む神様!ヤツの手札にどうか揃ってませんよ~に!!!


「手札から【トラップ・リアクター・RR】(ATK800)を召喚!」


カミサマ……アンタ俺のこと嫌いだろ?

俺もだよコンチクショー!


「【サモン・リアクター・AI】の効果発動!フィールドの三体の【リアクター】を墓地に送る事で、デッキ・手札・墓地より【ジャイアント・ボマー・エアレイド】(ATK3000)を特殊召喚する。今回はデッキからだ!」


立浪の場に爆発が起こり、煙の中から大型爆撃機が飛び立った。

そして、【ジャイアント・ボマー・エアレイド】のエンジンが唸りを上げ俺の場の上空へ移動する。


「【ジャイアント・ボマー・エアレイド】の効果発動!手札一枚を墓地に送りオマエの場のカードを一枚破壊させてもらう!『デス・ドロップ』!」


腹部に収納された爆弾が俺の場に降り注ぎ【D.D.アサイラント】が爆炎に飲まれる。


「その女戦士の効果は厄介だからなぁ、さっさと退場してもらったぜ。さらに!【ジャイアント・ボマー・エアレイド】でダイレクトアタック!『デス・エアレイド』!!」


今度は腰からミサイルが放たれる。

まったく、マジで全身武器庫見てぇなヤツだなオイ!

俺の場にモンスターはなく、ヤツの攻撃力は3000。

喰らえば大ダメージは必至。

だが!


「トラップ発動!【鎖付きブーメラン】!相手が攻撃してきた時、攻撃モンスターを守備表示にする!!」


カードから飛び出したブーメランがミサイルを切り落とし、ブーメランに付けられた鎖が【ジャイアント・ボマー・エアレイド】の巨体に絡みついてその動きを阻害する!


「チィ!うまくかわしやがったな……。ターンエンドだ!」
立浪:LP4000   手札1  場【ジャイアント・ボマー・エアレイド】 


あっぶねぇ!

さっきのターンでネイキッドを出した時のために伏せた【鎖付きブーメラン】がなければやられてたぜ……。

しかし、今のはただこのターンを凌いだだけだ。

以前、蟲野郎にやったグラールを使ったロックもヤツのターンで効果を使われればそこまで。

何とかしてこのドローで流れを変えることが出来れば……!


「俺の…ターン!」
隆一:LP4000   手札4  場0


っ!?このカードは!

よし、コイツならこの状況を打破できる!

だがそのためには……


「手札から【ジェスター・コンフィ】を特殊召喚!」


コイツを生贄にしなくちゃならねぇ……!


「!(コイツァ、クロノスが言ってたマテリアルドラゴンの召喚パターンか…)させるかよぉ!【ジャイアント・ボマー・エアレイド】の効果発動!相手ターンに相手が召喚、特殊召喚したモンスターを破壊する!『シャープ・シューティング』!」


場に出ると同時に【ジャイアント・ボマー・エアレイド】の胴体にある機銃が一斉に小太りのピエロへ照準を合わせ火を吹く!

雨のように降り注ぐ銃弾に晒された【ジェスター・コンフィ】は一瞬で吹き飛び光の粒子となって消えていった。


「さら~に!この効果で相手モンスターを破壊したときぃ、相手に800ポイントのダメージを与える!喰らいなぁ!!」


【ジェスター・コンフィ】を破壊した銃弾の雨は今度は俺へ照準を変え俺のライフを削る。
隆一:LP4000→LP3200

そう、この効果は知っていた。

だがこの効果を使えるのは一ターンに一度。

その一度を【ジェスター・コンフィ】が自身を『生贄にして』ヤツに使わせてくれた!


「俺は手札から、【忍者マスター SASUKE】(ATK1800)を通常召喚する!」


【ジェスター・コンフィ】が開いてくれた血路は翔から譲り受けたコイツが切り開く!


「マテリアルじゃねぇだとっ?!……だが攻撃力が足りねぇなぁ!」


確かに、【ジャイアント・ボマー・エアレイド】の守備力2500には届いてはいない。

だがコイツの能力ならっ!


「バトルだ!【忍者マスター SASUKE】で【ジャイアント・ボマー・エアレイド】を攻撃!」


機銃が迎撃のため火を吹くがSASUKEはその火線を掻い潜りながら【ジャイアント・ボマー・エアレイド】の巨体に絡みついた【鎖付きブーメラン】の鎖を足場に駆けあがる。


「SASUKEの効果発動!コイツが守備表示モンスターを攻撃した時、ダメージステップ前に守備モンスターを破壊できる!」

「なにぃ?!!」


そして、その巨体に取り付き翼のエンジンの1つにクナイを叩き込む。

内部に異物が侵入したエンジンは黒煙を吐きだしながら小さな爆発を繰り返す。

その爆発は全体に広がりその巨体を地に墜とした!


「【ジャイアント・ボマー・エアレイド】、撃破!ってな。ターンエンド。」
隆一:LP3200   手札2  場【忍者マスター SASUKE】 


よぉし!被害が最小限のうちにヤツを倒せた!

後はヤツが態勢を立て直す前に攻めきる!


「クソがぁ!俺様のターン、ドロー!」
立浪:LP4000   手札2  場0


勢いよくドローをするが最初にあれだけの事をやったんだ、


「チィッ!モンスターをセットしてターンエンドだ!」
立浪:LP4000   手札1  場セット1


ヤツは今消耗している!今が好機!


「俺のターン!」
隆一:LP4000   手札3  場【忍者マスター SASUKE】

「俺は【ゴブリン突撃部隊】(ATK2300)攻撃表示で召喚!そしてバトル!」


と、ココで少し考える。

SASUKEの効果は『表側守備表示』限定。裏守備表示モンスターには効果はない。

ダメージを優先するならSASUKEから殴りに行くのがベストだが【ジャイアント・ボマー・エアレイド】まで入れている以上、【リアクター】も複数枚は入っている。

ならば守備モンスターが2枚目の【トラップ・リアクター・RR】(DEF1800)であった場合、攻守の相打ちで1回分攻撃を損してダメージも与えられない。

確実にダメージを狙うなら!


「【ゴブリン突撃部隊】でセットモンスターを攻撃!」


棍棒を持ったゴブリン達がセットモンスターを囲んでタコ殴りにする。

ゴブリン達の隙間から見えるス○ーウォーズで見たようなアレは……


「【ダッカー】(DEF500)のリバース効果発動!墓地からレベル4以下のモンスター、【マジック・リアクター・AID】を手札に加える!」


チィッ!

あくまで俺に装備魔法を使わせたくないってかよ!

しかも守備力500ならSASUKE で殴った方が良かった。

考え過ぎて裏目かチクショウ!


「考えててもしゃーない……忍者マスター SASUKE】でダイレクトアタック!」

「ぐうぉ!?」
立浪:LP4000→LP2200

「【ゴブリン突撃部隊】は戦闘したバトルフェイズ終了時に守備表示になる。ターンエンド!」
隆一:LP3200   手札2  場【忍者マスター SASUKE】【ゴブリン突撃部隊】 


とりあえずはライフを半分削ったんだ、今は良しとしよう。


「俺様のターン、ドローだ!」
立浪:LP2200  手札3 場0

「手札から【闇の誘惑】発動!デッキから二枚ドローしてその後手札から闇属性モンスターを除外する。【マジック・リアクター・AID】を除外する!」


ココに来て手札増強、逆転の一手を引かれていなければ良いが……


「……モンスターをセットし、カードを伏せてターンエンド。」
立浪:LP2200   手札1  場セット1 伏せ1


「俺のターン!」
隆一:LP3200   手札3  場【忍者マスター SASUKE】【ゴブリン突撃部隊】 


伏せが怖いが流れはまだコチラにある。

今のうちに削れるだけ削ってやる!


「【重力の斧‐グラール】を【忍者マスター SASUKE】(に装備しバトル!セットモンスターを攻撃だ!」
【忍者マスター SASUKE】(ATK1800→ATK2300)


グラールは温存しておきたかったがここまできたら出し惜しみは無しだ!

SASUKEのグラールによる一撃がセットモンスターを打ち伏せようとした瞬間、


「そう好き勝手はさせねぇぜ!2枚目の【フェイク・エクスプロージョン・ペンタ】発動!」

「っ!?」


ココに来てそれかよ!


「セットモンスターの【融合呪印生物‐闇】は破壊されず、墓地の【サモン・リアクター・AI】を蘇生するぜぇ!」


だがSASUKEの攻撃力は【サモン・リアクター・AI】のソレを上回っている。

次のバトルで十分倒せる……!


「ターンを終了する!」
隆一:LP3200   手札2  場【忍者マスター SASUKE】【ゴブリン突撃部隊】 魔法・罠【重力の斧‐グラール】


「俺様のタァーン、ドロォー!!」
立浪:LP2200   手札2  場【融合呪印生物‐闇】【サモン・リアクター・AI】

「フ、フハハハハハハ!!来たぞぉ!ついに来た!!」


な、何だ?!

急にやっこさん笑いだしたんだが!?


「やはり、俺様にはコイツでなければ!この雄々しさの体現でなければ!!」


……ヤツの場の2体に2体のモンスター。

そして、俺は最初ヤツがどんなカードを使うと思った?

ってことは、アレか?やっぱりアレなのか?!


「場の2体のモンスターを生贄にぃ!!」


ヤツの場のモンスターが光の粒子に変わる。

粒子はやがて1つに集まり、形を為す。


「太いんだよぉ!」


まず目につくのは巨大で長大な銃身。


「硬いんだよぉぉぉ!!」


色は鉄を思わせるような鈍く輝く漆黒。


「暴れっぱなしなんだよおおぉぉぉぉ!!!」


シルエットはドラゴンと言うよりも恐竜に近い、それでもその身から溢れ出る威圧感はまさに龍と呼ぶにふさわしい。


「とくとその目に焼き付けなぁ!これぞ俺様の象徴【リボルバー・ドラゴン】(ATK2600)だあぁぁぁ!!」


くっそぉ!やっぱり入っていやがったな!


「そいじゃあ、挨拶代わりに一発イッてみようか!」


【リボルバー・ドラゴン】の頭部と両腕のシリンダーが回転しやがてルーレットのようにゆっくりと止まる。

立浪は大きく息を吸い、


「『バレット・ショット』!!」


試験会場に響くような宣言とそれすらかき消す程の轟音が辺りに響く。

轟音の音源である【リボルバー・ドラゴン】は両腕の銃身が火を吹き砲弾が【ゴブリン突撃部隊】達に着弾。

更なる爆音と爆風が俺の場を支配した!


「【リボルバー・ドラゴン】の効果!コイツは3回コイントスをしてうち2回表が出た時相手モンスターを一体破壊できる!今回はコイツのシリンダーに入ってる弾丸が確立2分の1のロシアンルーレットになってるってわけだ!」


ニクイ演出だが俺には絶望の効果だよ?!

コイツの破壊効果はマテリアルでも止められない。

なぜならマテリアルの破壊無効化は『フィールド上のモンスターを破壊する効果の発動と効果を無効にする』もの。

発動した時点では必ずしも破壊効果が発動すると決まっていない『機械龍(マシン・ドラゴン)』系列のソレは無効化の対象にはならない。


「さぁて、本番イッてみようか!【リボルバー・ドラゴン】の攻撃!『ビィィィッグ・マグナアアァァァム』!!!」

「ぐわあぁぁぁ!!」
隆一:LP3200→LP2900


頭部の銃身から放たれた砲弾がSASUKEを打ち抜く。

って、コラ待て!ソイツの攻撃名は『ガン・キャノン・ショット』だろ?!

いや、本来攻撃名は決まってないからデュエリストが各々好きな技名決めていいんだけどさ……


「フハハハハハ!もうビンビンだよ!たまんねぇなぁ、オイ!!」


オマエが言うとそのテント張ってるヤツしか連想されない!

つーか隠せ!!


「ターンエンドだぁ!!」
立浪:LP2200   手札1  場【リボルバー・ドラゴン】 

「俺のターン、ドロー!」
隆一:LP2900   手札3  場0



手札は……まだ何とかできるかな?

諦めるにはまだ早い!


「モンスターをセットし、リバースカードを一枚場に出してターンエンド!」
隆一:LP2900   手札1  場 伏せ1

「俺様のターンだ!」
立浪:LP2200   手札2  場【リボルバー・ドラゴン】 

「手札から、永続魔法【セカンド・チャンス】を発動するぜぇ!」


っ!!ギャンブルの成功率を上げるカード!


「そしてぇ!【リボルバー・ドラゴン】の効果発動!」


【リボルバー・ドラゴン】のシリンダーが再び回転を始め、やがてゆっくりと回転を止め……。


――――ガチンッ!



「……ケッ、不発か。しかぁし!【セカンド・チャンス】の効果でもう一度死のロシアンルーレットだ!!」


本来、『外れる可能性もあるから』強力な効果を持つギャンブルデッキではこういった『もう一回』と言った効果は厄介極まりない。

こうなるとよほどの事がなければ効果が外れる事はない!

再び回転を始めたシリンダーは今度は回転を止めると轟音を生みだしセットモンスターを吹き飛ばした!

だがしかし、駄菓子菓子!!こちらもやられっ放しじゃねぇんだよ!


「今破壊された【クリッター】の効果発動!フィールドのこのカードが墓地に送られた時、デッキから攻撃力1500以下のモンスターを手札に加える!俺が手札に加えるのは【ハイエナ】だ!」

「ハッ!そんな犬ッコロ手札に加えてどうする気だ?!【リボルバー・ドラゴン】の攻撃、『ビィィィィッグ・・・・』!」

「速攻魔法【スケープ・ゴート】!!」

『メェ~!』『メェ~!』『メェ~!』『メェ~!』


俺の場に綿毛の如く漂う四体の羊トークン達が現れる。

城之内さんのピンチを幾度となく救った優れた防御性能を持つコイツら。


「コイツで貴様の【リボルバー・ドラゴン】の攻撃を阻ませてもらう!」


放たれた砲弾を羊トークンが身を呈して防いでくれた!


「ケッ、セコイ真似を……!ターンエンドだ!」
立浪:LP2200   手札1  場【リボルバー・ドラゴン】 魔法・罠【セカンド・チャンス】

「俺のターン!!」
隆一:LP2900   手札3  場【羊トークン】×3

「【強欲な壷】を発動!デッキからさらに二枚ドロー!」


ココ一番の手札増強カード!

引いたカードを見て思わずガッツポーズをする。


「っしゃ!【ハイエナ】を攻撃表示で召喚!」

「アァン?トチ狂ってんのか?さっきも言ったがそんな犬ッコロじゃ俺のマグナムの足元にも…「それと1つ言っておきたい事がある。」ハァ?」

「コイツは……【ハイエナ】は犬ッコロなんかじゃない!」


そうだ、コイツは……!


「ハイエナは………猫の親戚だ!!」


…………

……






~デュエルアカデミア実技試験会場・観客席~


「……イヤイヤイヤ!!そこを今指摘するんスか?!!」

「へぇ~そうだったんだ!」

「確かにハイエナはネコ目ハイエナ科、見た目はイヌのようだがジャコウネコ科の近縁だ。」

「アレ?三沢君いたの?」

「……お前等が会場に入って来た時から居た!!」




「…フ、フハハハハハ!!!そうかい!そいつぁ悪かったなぁ。それで?その可愛い子猫ちゃんは何をやってくれるんだ?」

「こうしてやるのさ!手札から装備魔法発動、【進化する人類】!!」

「アン?オイオイ、ソイツはテメェのライフが俺様のライフを下回ってるときに攻撃力を2400にするカードだろ?そんなんで……。」

「博識だな。だったら知ってるよな?俺のライフが上回っていた場合の効果もさ!【進化する人類】を【リボルバー・ドラゴン】に装備!」


装備された瞬間【リボルバー・ドラゴン】が徐々に小さくなっていく。


「【進化する人類】は俺のライフが相手のソレを上回っている時、装備モンスターの元々の攻撃力を1000にすることが出来る!」
【リボルバー・ドラゴン】(ATK2600→ATK1000)


コレで俺の【ハイエナ】とヤツのマグナムの攻撃力は互角!


「『足元にも及ばない』って?だったら貴様を俺の居る場所まで引き摺り下ろしてやるよ!【ハイエナ】で【リボルバー・ドラゴン】を攻撃!」


【ハイエナ】が【リボルバー・ドラゴン】に体当たりし爆発する。

だがまだだ!まだ終わらんよ!


「さらに【ハイエナ】の効果発動!コイツが戦闘で破壊されたことでデッキから【ハイエナ】を二体特殊召喚!追加攻撃!」

「ッ………!!」
LP2200→LP200


コレでヤツのライフは残りわずか!

あと一撃でも加えられれば!


「カードを一枚伏せてターンエンドだ!」
隆一:LP2900   手札1  場【羊トークン】×3 【ハイエナ】×2  伏せ1

「…………」


俺がエンド宣言をしても立浪が反応を返さない。

ただ【リボルバー・ドラゴン】のいたフィールドを茫然と眺めている。

戦意喪失か?


「………まの………。」


「ハ?」

「よくも俺様のマグナムをおおぉぉぉぉ!!俺様のタァーン!!!」
立浪:LP200   手札2  場0

「【強欲な壷】発動!デッキからカードを二枚ドロ―し、手札からマジックカード【オーバーロード・フュージョン】発動!コイツはフィールドと墓地から】融合素材モンスターを除外することで闇属性・機械族融合モンスターを特殊召喚する!!」


立浪の背後に先ほど破壊され所々に破壊痕の残る【リボルバー・ドラゴン】と【融合呪印生物‐闇】が現れる!

【融合呪印生物‐闇】は闇属性融合モンスターの融合素材の代わりとする事が出来るモンスター。

そして【リボルバー・ドラゴン】を融合素材にするモンスターは一つしかない!

【融合呪印生物‐闇】が触手を伸ばして【リボルバー・ドラゴン】の破壊痕に張り付く。

そして触手が血管のように脈動し、【リボルバー・ドラゴン】は徐々にその姿を変えていく。


「太さと硬さが自慢の俺様のマグナムに、激しさと持久力をプラスしてぇ!!!」


銃身はリング状に六つ円筒形の形をとり、それぞれに帯状の弾薬がベルトのように砲に繋げられる。

「これぞ俺様のとっておき!!不屈不絆の絶倫ヤロウ、アルティメット・マグナム!【ガトリング・ドラゴン】(ATK2600)だあぁぁ!!!!」


咆哮

空気を震わすソレは【リボルバー・ドラゴン】の最終形態に相応しい程の姿をもって俺の前に立ちはだかる!


「さっきの礼だ!『バースト・ショット』!!!」


連続した発砲音と弾丸のスコールが俺の場を一瞬に粉塵を巻き上げる。

モーターが唸りを上げ【リボルバー・ドラゴン】とは比べられない程の弾と空薬莢を吐き出しながら俺の場の二体の【羊トークン】と【ハイエナ】を吹き飛ばしていった。


【ガトリング・ドラゴン】は一ターンに一度、三回のコイントスをして出た表の数だけモンスターを破壊する効果を持つ。

場合によっては自爆もあり得る効果だが今の状況ではこれ以上ない威力を発揮する。


「さてさて、『俺のいる場所まで引き摺り下ろす』とか何とかほざいていたな?なら俺様は更なる高みから貴様らドロップアウトを踏みつぶすとしよう!!【ガトリング・ドラゴン】の攻撃!『フルバレル・シュート』!!!」

「ぐわあぁぁぁ!!!」
隆一:LP2900→LP1300


【ハイエナ】ごと【ガトリング・ドラゴン】の弾幕に飲まれる。

ライフアドバンテージこそまだコチラにあるがボードアドバンテージは完璧に持って行かれた…!


「カードを伏せてターンエンドだ。」
立浪:LP200   手札1  場【ガトリング・ドラゴン】 伏せ1

「アァ!スバラシイ!まさに貴様のモンスターは木端のように吹き飛び俺様のマグナムはその雄姿をこの場に知らしめている。」


陶酔したように演説をする立浪だが同時にその表情には不満の色が濃い。


「……と言うのに俺様の機嫌は最悪だ。これだけ貴様の小細工を打ち伏せ、圧倒的な戦力差を見せつけた。なのに!なのにだ、なんでテメェはヘラヘラしてんだ!?」


そうだ、鏡がないので見ることは出来ないが自身の顔が緩んでいる自覚はある。

しかし『なんで』とは頓狂なことを聞くもんだなぁ?


「お前さ、いろんなヤツに俺の事聞いて回ったそうだな?」

「……チィッ、そうだよ。俺様の進級に関わるんでな。ヤロウの事なんざ調べたかぁないが、念には念を入れたってわけだ。それがなんだよ?」

「だったら、聞かなかったのか?」


このアカデミアに来てデュエルしたのは何も初日のブルー生徒と浜口だけじゃない。

幾人ものデュエリストとデュエルした。

そしてそいつら全員が口を揃えたであろう俺の特徴。

どんなピンチでも夢想するのはどう逆転するか!

そう!こちとら生粋の――――!


「デュエルバカなんだよ!俺のターン!!」
隆一:LP1300   手札2  場【羊トークン】×1

「マジックカード【貪欲な壷】!墓地のモンスター5体を選択し、デッキに戻してシャッフルした後二枚ドローできる!」


戻すカードは【ハイエナ】三体に【クリッター】、【D.D.アサイラント】。

さぁて、引いたカードは……ナイスの一言!


「【鉄の騎士‐ギア・フリード】を召喚!そして、手札から【拘束解除】を発動だ!!」


ギア・フリードが閃光と共に鎧を脱ぎ捨てネイキッドが姿を現す!

久しぶりに大暴れと行こうぜ!


「ハッ!ソイツの効果で俺様のマグナムをヤろうったってそうはいかねぇぞ!トラップ発動【闇次元の解放】!コイツで除外された闇属性モンスターを俺様のフィールドに特殊召喚する!【マジック・リアクター・AID】を守備表示で特殊召喚!!」


立浪の場に再び舞い戻る【リアクター】。


「これで貴様が装備魔法を使おうが装備される前に破壊してやる!!」


なんつーモン最後の最後に伏せてやがる!

オイオイ、コレじゃ……


「MEの勝ちじゃないか!!トラップ発動!」

「何ィ!?このタイミングで……まさかテメェ!!」

「装備カードは魔法カードにしかないわけじゃねぇだろ?二枚目の【鎖付きブーメラン】を【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】に装備!!効果で【マジック・リアクター・AID】を破壊!」
【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】(ATK2600→ATK3100)


ネイキッドが【鎖付きブーメラン】を鞭のように操り【マジック・リアクター・AID】を葬ると次の獲物へと向き直る。


「バトルだ!ネイキッドで【ガトリング・ドラゴン】を攻撃!!」


ネイキッドが一気に間合いを詰めると同時に【ガトリング・ドラゴン】が迎撃のため全ての火力を解放する。

だが、ネイキッドに向かって放たれた弾丸は全て鎖を使ってどこかのクルタ族の生き残りの彼の如く華麗に叩き落としていく。

よぉし!技名も閃いた!!


「『ダンシング・チェーン』!!」

「あ、アリエネェ!ひ、ひははぁははぁははぁぁああああ!!!!」
立浪:LP200→LP0


懐に潜り込むと舞の如く鎖を操ってネイキッドは【ガトリング・ドラゴン】に必殺の一撃を叩き込んだ!!





……ふぅ

まさに紙一重だった。

特に最後の【闇次元の解放】、アレをバトルフェイズに使われていたらヤツにもう1ターンの猶予を与えてしまうところだった。

確かに【リアクター】の効果は場にいなければ使用出来ない。

だがヤツのデッキが『機械龍(マシンドラゴン)』軸なら【ツインバレル・ドラゴン】も居ただろう。

【セカンド・チャンス】で成功率の上がった状態なら本当にどんでん返しもあり得た。

ヤツの失態は最後まで俺の装備『魔法』にこだわり過ぎたことだろう。


「さてと、考察も済んだし十代の応援でもしてくっか。」










十代と万丈目のデュエルも原作通り。

流石に俺と言うイレギュラーもこんな初期じゃそんなに影響を与えないか……

十代にやったカードもそんなにデッキを様変わりさせるものじゃなかったし、


「なっ!教授!」

「何が『なっ』なのかは分からんが……今お前かなり失礼なこと考えなかったか?」

「…………ソンナコトナイノーネ。」


べ、別に巷でネタにされてるから話をフッた訳じゃないんだからねっ!!(ツンデレ風

とにかく、十代はオベリスクブルーである万丈目に勝った。


「見せてもらいましたよ、遊城十代君。」


鮫島校長のアナウンスが会場に響く。

いよいよあのイベントか……。


「キミのデッキへの信頼感、モンスターとの熱い友情、そしてなにより勝負を捨てないデュエル魂、それは此処にいる全てのものが認めることでしょう。よって勝者・遊城十代君、キミはラーイエローへの昇格です!」


一瞬、静まり返った後歓声が木霊する。

本来寮の昇格はそう簡単にいくものではない。

まして新学期最初の月一試験ですぐさま昇格など稀。

それを成し遂げた十代への称賛は盛大なものだ。

隣にいる翔と教授も微笑みながら拍手を送っている。

かく言う俺も笑顔で十代昇格を祝う。

まぁ、俺の笑顔はも1つ意味があるのだけどね!!


「それから……佐伯隆一君」


キタ―――――――(◦∀◦)――――――――!!!!


来たよ、来ました、来ましたよ!!

GXトリップ名物『十代と一緒に昇格』が!!

今回の筆記は本気で自信があったしブルー生徒を相手に勝利を収めたのだ!

十代は最終的にレッドに戻るが俺はイエローにそのまま入るつもりでいる。

教授が空気化したのってやっぱり一人だけイエロー寮だったのが大きいと思うからな。

俺も一緒の寮になって十代と関わる機会を作って『三沢っち空気化回避計画』を遂行して見せるぜ!

あとは俺まで空気にならないよう十分配慮して………


「え~……大変申し上げにくいのですが……。」


……なんだろこの不穏な空気(注:教授のことじゃry

なんだろこの今日幾度目になるかわからない予想と期待が裏切られそうな空気!(注:教授ry


「キミの解答用紙がその……紛失してしまいまして。」









「……クッ、ふはっはっはっは!校長スイマセン、自分ちょっと耳が遠くなったようで!もう一回言ってもらえないッスか!」

「ええ、コチラ不手際でキミの解答用紙が無くなってしまったんです。」




「……クッ、ふはっはっはっは!校長スイマセン、自分ちょっと耳が遠くなったようで!もう一回言ってry」

「数行前のやりとりを丸々なかったことにした?!リュウくんしっかり現実を直視するッス!!」

「ウソだよぉぉぉ!アレにどんだけ精神消耗したと思ってんだよぉぉぉ!!睡眠不足とか後がないという焦燥とか十代起こすのに結構ギリギリで始まる前の確認が不十分だったという不安とか隣人による安眠妨害etc.どんだけ消耗したとおもってんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「落ち着いて!!それと地味に2回遠回しにボクの所為みたい言うのヤメてって!!まだ根に持ってんスか?!」

「いや、しかしテストの解答用紙が紛失なんてそうある事じゃ……。」


そ、そうだ!!教授の言うとおり解答用紙って結構厳重に保管されるモンじゃないのか?!

なんで俺のだけピンポイントで紛失なんか……


「解答用紙を運んでいた大徳寺先生が購買部に向かう生徒の波に飲まれたそうで、その時に……。」


ちなみに大徳寺先生は現在保健室で治療中ですと続ける校長を尻目に会場を見渡す。

少し前の十代の昇格の話題でアナウンスに注目が行っていたため生徒のほとんどは今のやりとりを聞いている訳だが

俺の視線が行くとかなりの数の生徒が目を逸らしやがった。

その数ざっと7割強


「……つかぬ事をお聞きしますが、この場合自分の処置はどうなるんでショウ?」

「申し訳ないのですが、後日新たに試験問題を用意して再試験を受けてもらうことになります。」


無情な校長の解答に一気に奈落の底に叩きつけられたような絶望が俺を襲う。

うん、無くなっちまったモンはしょうがないからこの際不問にするけど、再試?

半日かけて行われた試験を後日問題変えられて俺だけ、再試?

しつこいようだけど結構がんばって達成感を感じた後に、再試?


「え~っと……ドンマイ、リュウ。」


十代の一言が切っ掛けとなり周りの奴らが次々と励ましの言葉と共に俺の肩を叩いて去っていく。

顔見知りも知らないヤツも、掛けられる言葉と優しさに俺は心の汗が流れないように天井を見上げた………










〈今日の最強カード〉

【忍者マスター SASUKE】
効果モンスター 星4/光属性/戦士族/ATK1800/DEF1000
このカードが表側守備表示モンスターを攻撃した場合、
ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。


【ハイエナ】
効果モンスター 星3/地属性/獣族/ATK1000/DEF300
このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、
デッキから「ハイエナ」をフィールド上に特殊召喚する事ができる。
その後デッキをシャッフルする。




隆「皆さんお久しゅう!今回の最強カードのコーナーは豪華に二体のモンスターを紹介してやるぜ!!」

隆「まずはSASUKEだがコイツは諦めないでさんからの紹介カードであります!カード情報ありがとうございます!」

隆「効果は戦士族版【ドリルロイド】と言ったところ。俺のデッキでは基本【鎖付きブーメラン】とのコンボでの使用がメインとなるでしょう。」

隆「そして【ハイエナ】が最強カードとして紹介される日を誰が予想したであろう!」

隆「効果は一般的なリクルーターのソレですがこれなら【素早いムササビ】【素早いモモンガ】と言った更に優秀なカードもあります。
ならばなぜ俺がこのカードを使うか?それはコイツが先の二体にできない『表側表示での特殊召喚』が可能であるからです。」

隆「例えばライフが残り100で【ハイエナ】の効果で二体の【ハイエナ】を特殊召喚した後、片方に【重力の斧‐グラール】を装備しもう一体を生贄に【ガーディアン・グラール】をアドバンス召喚と言った場面。
コレが【素早いモモンガ】であったら装備する方は一度攻撃表示にする必要があります。
そうなると回復効果の事を考えてもライフに不安がある状態で攻撃力1500を攻撃表示、極めて不安です。
装備魔法に頼る【ガーディアン】を使う関係上モンスターに表側になってもらえるのはかなり助かります。
さらに今回のように【進化する人類】での自爆特攻からの実質2000の追加攻撃、ライフ4000の遊戯王世界では相手からするとかなり脅威となってくれることでしょう。
あとは【地霊術‐『鉄』】のリリース要因にリクルーターのデッキ圧縮、ギガンテスのコストと結構このデッキに欠かせない存在となってます(笑。」

隆「最後に今回のリスペクトカードは【スケープ・ゴート】!
  言わずと知れた城之内さんも愛用した一瞬で四体のカベを作れるこのカード、これからもちょくちょく使用すると思います。
  後日デッキレシピの更新時にはデッキの中にある事でしょう。」

隆「それじゃ、俺の今日の仕事はココまで。再試の勉強に戻るとしよう(ゲッソリ」



~あとがき~


皆さん、コンニチハ。一月更新とか言って早速間に合わなかった剣です

言い訳するとリアルで新しい職場に慣れるために頑張り過ぎてぶっ倒れたとか、【リアクター】ギミックを取り入れたところ【ジャイアント・ボマー・エアレイド】攻略に手間取ってようつべにて過去三度のボマーの試合を見直したりとか色々あったんです。ごめんなさい。

攻略にどれだけかかったかと言うと【ジャイアント・ボマー・エアレイド】のくだりに二週間、【リボルバー・ドラゴン】のくだりに5分と言った割合です。

正直、書いてる途中でまだ月一試験でこんなピンチでやってこれからやってけるか不安になりました(汗

結局、【ジャイアント・ボマー・エアレイド】の攻略法はクロウのブラフを参考にさせてもらったんですが……

【忍者マスター SASUKE】、新生デッキでと言いましたがゴメンナサイ。コイツしかあの状況を覆せなった!

本格参入はしばらくお預けだけどサイドには入れておこうと思います。

あと立浪の事ですが……

気まぐれにアンケートに出したらものっそい人気だったのでカッとなってやった!反省はしている、後悔はささやかにしていた!

元ネタはスク○イドなのですがアンケートの選考基準はデッキに最低でも【ブローバック・ドラゴン】を組み込めるデッキの持ち主でした。

TFだとリボルバー使っているのはギャンブラーのみつお君しかいなかったんでスクラ○ドから出張ってきてもらいますた。

ようは今回限りですんで、今後【コンボマスター】を【メタル化・魔法反射装甲】で強化して力押しする喧嘩っ早い人とか、【竜魔人 キングドラグーン】を使う正義に殉ずる不器用な男とか、ピーピングで相手の手を晒し行動を阻害しまくるデッキを使う女の子とか、【神聖なる球体】を使う社長(海馬にあらず)とか、高速展開と連続攻撃で相手を瞬殺するアニキとか……



多分、おそらく、きっと、もしかしたら出てこないんで安心してください!(オイ

後日デッキレシピの更新がありますが今日の所はこれで!

次回は原作から離れてリュウの日常を追ってみたいと思います。

それでは皆様シーユーアゲイン!!








[18550] 幕間  佐伯隆一の華麗なる日常~休日編~
Name: 剣◆89237c12 ID:b2871f3e
Date: 2010/07/11 22:11
出されたカップを持ちあげまずは香りを楽しむ。

ゆっくりと大きく吸い込めばその香ばしい香りが鼻をくすぐりやがて肺を満たしていく。

存分に香りを楽しんだら次は冷めないうちに一口に含む。

その瞬間広がる苦みと酸味の絶妙なハーモニーに酔いしれながら更に二口、三口と口をつける。

一通り味を堪能したら今度はお茶受けのクッキーを齧りその甘みに舌鼓を打つ。

そうして先ほどの苦みをリセットしてから再び流し込めば舌にはまろやかさをプラスされた味わいが広がる。

その変化を楽しみながらふと窓の外に目を向ければそこには昼下がりの日差しを反射しながら静かに波打つ湖と小鳥の囀りが穏やかな時間を演出する。

ただの一杯のコーヒーでこんなに満ち足りた時間を過ごせるとは……

初めて聞いた時はただのネタかと思われたがKCプロデュースは伊達じゃないな。


「さすがブルー寮限定の『ブルーアイズマウンテン』、質が違う。」

「そうね。けど、せめて男子寮で味わうべきだったわね。」


カシャリ、と俺の手首で冷たい金属音が響いた。











「ったく、ヒデェ目にあったぜ……。」


先ほどまで金属の輪っかがついていた手首をさする。

俺の現在地、オエリスクブルー女子寮。

本来、男性であるなら教師すら簡単には入れないハズの男子禁制の女の園。


「悪かったわよ。けど、男子が堂々と不法侵入してれば普通はガードマンを呼ぶわよ!」

「とか何とか言っちゃって、翔が覗きに入った時は十代呼び出すのに利用したくせに!
 (スゥッ)所詮っ!!男なんてぇ!!利用価値がなければポイですかっ!!!流っ石、魔性の女っ!そこシビれる憧れるぅ!!」

「大声で人聞きの悪いこと言うんじゃないわよ!!」

「へぷぅっ!!」


腹いせにフザけただけなのにBINTAって……!!

っつぅ……!!あまりの痛みに目覚めたらどうする気だ!?

今回の人生では親父にもぶたれた事ないのにぃ!!!

うん、前回の記憶は今では曖昧になってどんな生き方してたかも分からないんだけどサ。


「佐伯、アナタ最初にあった時と性格が違うように思うのは気のせいかしら?」

「いんや、気の所為じゃないと思うぞ?
 俺の信条は初対面には紳士的に、二度目はフレンドリー、三度目からは自重知らずだからな!」

「胸を張って言う事じゃないわよ!大体、そんな恰好でいれば不審者にしか見えないわ!」

「失敬な!修理工っていったらコレだろ?動きやすいし、汚れも気にならない。一石二鳥ってヤツだ。」


苛立たしげに俺の服装を非難する天上院。

その服装は青いツナギに同じく青い帽子、片手には工具箱。

ああ、念のため言っておくがツナギの下はちゃんと下着とTシャツは着用しているよ?

いくらなんでも女子寮で「やらないか?」なんt……天上院の手がパーからグーに変化したのでそろそろ自重。

女子寮を出る時にパンダになって出るのは遠慮する。

まぁ、そんな装備な俺だが賢明な諸君ならばそろそろ俺が女子寮に来た理由に気が付いていただけただろう。

と、言っても言葉にしてしまえばなんのことはない。

ようは俺の工場でバイト出来る程のメ蟹ックスキルを見込まれて壊れた空調の修理を頼まれたってだけの話だ。

依頼人はもちろんブルー女子寮の寮監である鮎川先生。

だから仕事の休憩中に女子寮の食堂で優雅なコーヒーブレイクしてたって文句を言われる筋合いはないのである。


「まったく、先生も先生よ!生徒に寮の設備の修理をさせるなんて!」


そうは言うがね天上院よ、先生からの修理依頼これが初めてじゃないんだよね。

先生に広まったのはレッド寮の食堂でレンジが壊れて困っていたトメさんを助けたのが始まり。

その後、トメさん経由で鮫島校長の端末修理を頼まれ更に職員室の空調を、と言った具合でリレーの如く広まっていった。

当然、KCから定期的にそう言ったメンテナンスの職員が来るがそれは月一周期。

急ぎで直したい時なんかは俺が呼ばれるってわけだ。

今じゃデュエルリングの設定まで任されるほどに信頼されているのである。


「あの…佐伯君、だよね?」


回想をしていたところに声を掛けられる。

相手はブルー女子。(男子だったらガードマンを再召喚する必要がある)


「はいよ。いかにも俺は佐伯隆一だが、御用は何かな?」

「その……デュエルディスクの調子が悪くて…。」


不安そうに不調らしいデュエルディスクを抱えて俺からきっちり5メートル離れて会話する。

何か?自分そんなに近寄りがたいッスか?


「だからツナギはともかく室内で帽子なんて被ってれば怪しいわよ。」

「……それもそうか。」

「それと、先生だけじゃなく生徒にまで営業を掛けてるなんて……アナタ本当に修理工にでもなるつもり?」


天井裏に潜り込んで作業してたのでホコリが付かんように被りっぱなしだった帽子だが…

冷静になれば今はいらんな。

しかし、しかしだよ天上院。

まるで俺が女子に声を掛けたいがために修理を請け負っているみたいジャマイカ!

極めて遺憾なり!そのジト目やめい!


「どうだか。」

「あの、ホントですよ?佐伯君に頼めば何とかしてくれるって教えてくれたの……浜口さん達ですし。」


あ、浜口の名前が出た途端天上院が頭を抱え始めた。

まぁ、そんな訳で生徒への宣伝部長に浜口が勝手に就任。

翔の覗きの一件の以来、どえらい勢いで修理依頼が増えて休日はこうして修理で一日を潰している。


「……ゴメンなさい。」

「別に無問題。機械いじりは趣味の範囲だからな。それじゃ件のデュエルディスクをちゃっちゃと直してしまうとしようか。」


そう言ってデュエルディスクに手を伸ばしたのだが……


「っ!!(ササッ)」


きっちり伸ばした腕の分の距離を後ずされました。

結局俺が一度席から5メートル離れて持ってきた子がテーブルに置いてからまた戻りました。

そんなに不審者っぽかったのか?


「アナタというよりアナタの交友関係が問題ね。あの後立浪先輩とよく話してるそうじゃない。」

「あ~…。けどあの人性格はアレだがあそこまで行くともはや清々しいからな。話してると思いのほか楽しいぜ?」

「それでも女性受けはしないわよ。」


むぅ、そんなモンかねぇ?

本人もマグナムの良さを分かってもらえない事に苦悩してるみたいだがな。

結構繊細なのよ?彼は。


「それはともかく直してしまいましょうかねぇ。」


―――――ん~、落としでもしたのか?元々弱くなってたらしい配線が切れてんな。

―――――コレくらいなら銅線変えるだけで済みそうだ。

―――――ついでに悪いトコないか一通り点検して……


「………佐伯。」

「ん~、何?」

「アナタってプロデュエリスト志望?」


……なにをいきなり。


「無論だろ。そもデュエルアカデミアに入ってデュエルモンスターズに関わらない仕事を目指すヤツの方が稀だろ?」

「けどアナタそれだけ機械に詳しいじゃない?そう言った方面の職業だって選択肢があるのになんでかと思って。」


作業の手を止めて考える。

俺がプロになりたい理由……。

そうだな。別段恥じるような理由じゃないし、いいか。


「天上院、ソリッドヴィジョンシステムについてどう思う?」

「何よいきなり。」

「まあまあ、それで?デュエルモンスターズにおけるソリッドヴィジョンはどんなものかね、天上院クン?」


俺の質問に少し悩んだ様子だったが、


「デュエルモンスターズの世間への浸透に大きく貢献したもの……かしら?」

「流石優等生。欲しかった解答を一発でくれてありがとよ。」


作業を再開しながら軽く語りを始める。

元々『デュエルモンスターズ』こと『マジック&ウィザーズ』のカードそのものは海馬瀬人の幼少期にはもう存在していた。

だが、今のように世間に浸透したのはあの『バトルシティ』が大きな要因であろうことは明白であろう。

バトルシティ前に発売されたデュエルディスクはそれほど画期的であったのだ。

今までは特別な施設でしか体験できなかったソリッドヴィジョンが何処でも気軽に楽しめるようになった。

ごく普通のカードゲームとしてしか行われていなかったデュエルモンスターズはカードに描かれたモンスターをまるでイラストから飛び出したようなリアルさで自分が使役する事ができるようになったのだ。

子供たちはその様に憧れを抱きデュエルモンスターズはあっという間に世界を虜にしていった。

まぁ、かく言う俺もそんなバトルシティでのソリッドヴィジョンのデュエルに虜にされた一人なわけだがな!

前の世界でもあれほどの知名度があったのはアニメでの実体化したモンスター達のカッコよさがあってこそだろう。


「で?それがどうだっていうの?」

「慌てなさんな。さっきも言ったが今ではデュエルモンスターズは世界各国、それこそテレビもないような村にまで広まりもはやこの地球上のどこであっても知らぬものがいないまでになったわけだ。」


だがその半面、ソリッドヴィジョンの普及率はデュエルモンスターズの知名度の半分にも満たない。

デュエルモンスターズそのものの普及率もまたしかり。

要は存在を知っていてもやったことも見たこともないって人たちがこの世界にはゴマンといるということだ

俺がこの世界に来て初めて見た、そして二度目となった城之内さんと羽蛾のデュエル。

ギア・フリードのあの雄姿は俺に大きな影響を与えてくれた。


「俺はさ、デュエルモンスターズに色んなモンを見せてもらったし、感じさせてもらった。
 だからさ、もっと多くの人にもそれを感じてもらいてぇんだ。
 そうなるとさ、やっぱ俺らと変わらない環境でやってもらいたいじゃん?デュエルモンスターズのカードもソリッドヴィジョンも。
 ゆえに、現在の俺の目標ってか野望は『いつかフリーのプロデュエリストになってその賞金使って世界中の人が等しくデュエルモンスターズをやれる環境を作る!』ってことなのよね。」


自分の手でデュエルディスクを作れれば普通に買うより安く済むから1つでも多く人の手に行きわたる。

元は父親に影響されて始めた機械いじりだがデュエリストが増えればいつの日か戦うことになる奴らが増える→いろんなヤツと色んなデュエルができる→俺の楽しみも増えて良い事尽くめ。

………この世界に染まったなぁ、俺。


「…………。」

「どうした天上院。
 鳩が【仕込みマシンガン】喰らったようなツラして。」

「十中八九その鳩は助からないわよね?」

「だな、しからばリテイクで……どうした天上院。
 鳩が『ビッグ・マグナム』ブチ込まれt(ブスッ)目が痛いっ!?!」


チョキって!!

女子がチョキってどうなのよ!?


「ハァ、アナタが将来にそんなヴィジョンを持ってたなんてって見直した瞬間コレだもの。」

「今ので見直されてもな~。
 野望って言ってもどうやってやるかも考えてないような幼稚園児が『将来の夢はサッカー選手!』みたいなモンだからねぇ。」


そもそもが俺がプロになれるだけの実力を身につけられるかって問題すらあるのに。

それから涙が止まらない。

ハンカチを押し当てても間に合わねぇ。

うっすら戻った視界に映るハンカチの赤いシミは気の所為だと信じたい。

こんなアホな原因でプロの道が断たれるなんて笑い話じゃねぇゼ!


「それでも、将来の事をそういう風に考えてるって誇れる事だと思うわ。」

「ハハッ、そう言われると悪い気分はしねぇ。」


ちっとばかしくすぐったい気分もするがな。

さて、


「ハイ、修理も完了。これで問題なく作動するハズだぜ?」

「ちょっと待ちなさい!アナタ最後目を瞑って作業してなかった?!」

「何をおっしゃるウサギさん。
 この程度の修理、一度問題個所さえ見てしまえば後は感覚で何とかなるモンだぜ?」

「…やっぱり修理工になった方が大成するんじゃない?」






その後休憩を終えて空調の修理に戻った俺は知らない。


「……少し意外でした。」

「ん?…ああ、佐伯のこと?ワタシも彼がああいう性格だったって言うのは驚いたわ。
 彼の言うように最初は猫かぶってたってことかしらね。」

「そうじゃなくて、天上院さんがあんな風に男性とじゃれ合ってる姿がとても子供っぽくて微笑ましくて。」


念のために言うが普通『じゃれ合う』と言うのはBINTAやナックル、眼つぶしをすることではない。

佐伯隆一の知らぬところではあるが、そこは断じて『子供っぽい』で済まされるモノでも、『微笑ましい』と評されるようなものではない。

ないったらない!


「……そうね、何故か知らないけど佐伯が相手だと遠慮とかそういうものを忘れてしまう気がするわ。」


そう、佐伯隆一は知らない。


「佐伯と話していると……なんだかとても懐かしい気分になるのよね。」


自分の『自重しない』態度が、彼女の身近にいた人とダブっていたなど。

それが原因でこれからも天上院からの思い切ったツッコミを受け続けることを。

俺は知らない。










〈あとがきに近い……なかがき?〉

剣「ハイ、今回はまさかのデュエル無しの超短編。
特に内容もないノリと勢いで書いたリュウの日常の一コマでした。」

隆「天上院からあんなスプラッタされるというのが俺の日常だってのかよ……orz」

剣「まったくもって
  
  (スゥッ)
  
  う  ら  や  ま  し  い  !!!」

隆「うぉい!?!ナニいきなりマゾ発言?!」

剣「世の中『明日香様にイヌと呼んでもらいたい』って輩が溢れてるって言うのにこの待遇。うらやましい奴め!!」

隆「だったらそれを望んでるヤツにやってやれよ!サンダーとか!」

剣「まあまあ、それにアレだぞ?普段立場が上の相手を屈服させるって……どうよ?」

隆「……アリだな(オイ。それはともかくとして作品の方だが久しぶりに言わせてもらうがな、『オイ、デュエルしろよ』!」
  
剣「いやね?最初は修理をしに来たリュウとボクらの委員長こと原麗華女史とのデュエルの予定だったのだが……。
  バーン相手は基本【マテリアルドラゴン】任せだからね、このデッキ。
  後は【スフィア・ボム 球体時限爆弾】をギア・フリードで突破とかそういうのがあったんだけどなんかしっくりこなかった。
  ……それにリュウにフラグが立ちそうになってなんかイラっと来たから(ボソッ」

隆「なんか言ったか?」

剣「いんやなにも。
  とにかくそんなこんなで煮詰まってたんだが、友人H氏が『だったら無理にデュエルせずに小話みたいなものを書いたら良いんじゃない?』と言ったアドバイスがあってね。
  ちなみに冒頭のガードマン呼ばれるくだりも友人発案。」

隆「スペシャルサンクス、友人H氏!
  いつかお礼参りに行ってやろう!
  ……女性の場合でも氏でいいのか?」

剣「まぁ、それでもデュエルがなくて『満足できねぇぜ!』と言う人のために小ネタみたいなオマケも↓に追加。
  ロットンの【ピンポイント・シュート】の効果を調べるためにクラッシュタウン編を見ていてふと思いついたものだけど本編じゃ絶対使えそうにないのでこういう形で公開。
  原作で言うところで91話のアレ。
  デュエルの経過ぶった切って締めの当たりですが、どうぞ。」








「俺はデッキを信じたい!
 デッキが俺に語りかけてくる!
 デッキとデュエリストは一心同体!他人の入る余地はないとな!」


そういって橘は胸に下げられた【死神】のカードの入ったケースを放り捨てる。

そしてデュエルディスクを死神の刻印の入った右手を覆い隠すよう、否定するように付け替える。

その顔は先ほどと違い晴れやかで、まさに憑きモノが落ちたって所か。

天気もヤツの心を現すように雲が切れ月の静かな光が辺りを照らしだす。

いいねぇ、そういう表情されるとゾクゾク来るぜ。


「ハッ!橘よぉ、良い顔してんじゃん!
 それでこそデュエリスト、闘い甲斐もあるってモンだ!」

「ああ、お前には目を覚ましてもらった。
 だから……。」


そう言って橘がデッキに手を伸ばす。


「コイツは俺と、俺のデッキからの礼だ。受け取れ!
 【一撃必殺!居合いドロー】の効果でフィールド上のカードの枚数をデッキから墓地へ送り、その後デッキから一枚ドローする!
 そしてドローしたカードが【一撃必殺!居合いドロ―】だった時、フィールド上のカードをすべて破壊し破壊したカード一枚につき1000ポイントのダメージを与える!」

「マズいぞ!二人の場にはカードが4枚、佐伯のライフポイントは4000!」

「もしこのドローで【一撃必殺!居合いドロー】を引き当てられたらリュウのライフは……!」


だがヤツのデッキにある【一撃必殺!居合いドロー】は後一枚。

残りのデッキ20枚以上の中から引き当てるなんてことは普通はあり得ない。

それでも、俺には分かる。

ハネクリボーみたいな精霊がいる訳じゃない。

だがヤツのデッキそのものがヤツの想いに応えたがっているのが感じられる。

当然だ。

あれだけデッキを愛するヤツがデッキに愛されない訳がないのだから!


「ドロー!」


一瞬の静寂。


「アリガトよ、俺のデッキ………。
 引いたカードは【一撃必殺!居合いドロー】!」

「うわっ!!」


モンスターも伏せカードも全て爆発し爆風が俺を襲う。

そしてその爆風は俺からライフを奪う……


カチャッ


「何っ?!」


…その前に、橘のこめかみに冷たい銃口が押し当てられた。


「墓地の【インフェルニティ・デス・ガンマン】の効果を発動させた。
 手札が0の状態で効果ダメージが発生した時、墓地のコイツをゲームから除外する事でダメージを無効にできる。」


橘に銃口を向ける【インフェルニティ・デス・ガンマン】がニタリと笑う。

それを見て橘は冷や汗をたらす。


「見たところただ効果ダメージを無効にするって訳でもないようだな?」

「その通り。
更に俺はデッキから1枚カードを引いてそれがモンスターだった場合、このターン受けたダメージと今コイツの効果で無効にしたダメージの合計をその銃にに込めてアンタに返すのさ。
 魔法・罠だった場合は無効にしたダメージが再び俺を襲う。」


ガチリと、デス・ガンマンが撃鉄を起こす。

緊張が場を支配する。


「この効果を使うか使わないかは相手が決める。
 そしてこの効果を使わない場合、アンタはこのターンもう俺に効果ダメージは与えられない。」


今、場は1枚のカードもなく俺の手札は0。

橘の手札も発動しても効果の発生する事のない【一撃必殺!居合いドロー】のみ。

次のターン俺がモンスターを引けない可能性を考えれば効果を使わないという選択肢もあるだろうが。


「フッ、今度はお前の引きで勝負ってワケか。
 いいぜ、見せてくれ。お前のデッキとの絆をよ。」


――――――ああ、コイツはホント、良いダチになれそうだぜ。


「……ドロー!」


引いた、カードは――――――――――――







〈コレがホントのあとがき〉

今思った。GXと5D´sの91話ってドッチも【死神】が関わるカードが出る回だったんだね。

……うん、ツッコミはわかるよ?

この時代になして【インフェルニティ】があるのかとか、ギア・フリードはどうしたとか。

ついでにGXの91話は内容うろ覚えだし(汗

でも安心してほしい。

この小説では基本シンクロとシンクロを主体もしくは含むデザイナーズデッキを使うことはないです。(例:【氷結界】【A・O・J】【魔轟神】等

ただ、5D´sのカードでもシンクロに直接関係しないようなものは使いたいと思っています。

今の所、【ジェスター】と【フォーチュンレディ】を使いたいなぁなんて思っていますがどうでしょう?

と言ってもどちらも2期の頃まで使う予定はないのですが。

それでは今回はココまで!

次回はとうとう廃寮事件!リュウはタイタンを救えるのか?!

それではデュエル・スタンバイ!!




[18550] 第5話 うまくいかない夜~闇との邂逅~
Name: 剣◆3c9619a3 ID:59b7c7f4
Date: 2010/10/10 02:14
「―――そして、物音のする粗大ゴミ置き場に行くと『ナニカ』がゴミの山の中で蠢いていたッス。」


そう言って翔は蝋燭の薄暗い明りの中、身を乗り出しながら続ける。

只今怪談の真っ最中。

言わずもがな俗に言う『廃寮探検事件』前日になります。


「『ナニカ』はしばらくゴミを漁り続けるとやがて何かを抱えて身を起こしたッス。
 ソレは暗がりでよく見えなかったッス。
 けど、胸に抱きしめるように持ったそれは人の頭ぐらいの大きさに見えて・・・・。」


青ざめながら話すのは翔自身が体験したという怪談。

いやしかし・・・・


「そ、そう考えた瞬間思わず小さく悲鳴上げちゃって、そしたら『ナニカ』がボクの方を向いたんス!
 そいつは顔の真ん中に一つしかない目をギラリと輝かせて―――――――――!!」

「翔、ワリィ。ソレ俺だわ。」








俺とデュエルと鉄の騎士

第5話 うまくいかない夜~闇との邂逅~








「先週の金曜の夜7時頃だろ?ソレ間違いなく俺!(テヘッ」

「イヤイヤイヤ!仮にリュウくんだとして、何してたんスかそんな所でそんな時間に?!それとイラっとするから小さく舌出すのヤメて!」

「いやぁ、修理に使えそうなジャンクパーツ漁りさぁ。 あ、お前さんが人の頭と勘違いしてたの。アレ、スクーターのエンジンね。
それから夜に行ってたのは明るい内に頼まれてた修理終わらせないといけなかったからなのよね。」

「じゃ、じゃああの光る一つ目は・・・・?」

「多分ペンライト。口に加えてたのよ、手が塞がってたから。」


浜口のおかげで機械いじりに困らなくなったのは良いが時間に余裕がなくなってきたのはいただけない。

まぁ今は物珍しさで頼まれてるようなもんだし、その内落ち着けるだろう。

ただ小さな島の学校の粗大ゴミ置き場に何故スクーターのエンジンなんかがほっぽってあったかは謎である。


「ははは、『幽霊の正体見たり枯れ尾花』ってことなんだな。」

「なんだよそれぇ!つまんねぇ!」

「まったくだ、星3にも満たねぇ!と、いう訳で星6に満たない怖さだったため翔のボッキー、ボッシュート!」

「ああっ!僕のボッキ~~!」

「うむ。ス・ウィ~~ト。」


原作じゃ何も掛けてなかったが今回俺の提案で『引いたカードの星に満たない話をした奴はお菓子没収』という罰ゲームを追加した。

ちなみに掛け金(?)はそれぞれ十代が『リングドーナツ』、隼人が『コアラのマッチ』俺が『ヘビースターラーメン』。

前世のあの菓子と微妙に名前が違うんだよねぇこの世界。しかも1つの例外なくKCの文字。

で、それからその後いつの間にか後ろに大徳寺先生が湧いて出てきた訳だが……


「人を虫か何かのように言うのは止めてほしいのニャ!」

「先生、地の文に突っ込まんで下さい。」


まったく、話の腰を折るとは空気を読んでもらえます?

生徒の憩いの時間に水を差すとか…寮監としてそんなんでやってけるんですか?


「なんだか佐伯君の私への態度が辛辣なのニャ!私のことが嫌いなのニャ?!」

「ええまぁ、かなり。」


一刀両断。

orz状態になる大徳寺先生。


「リュウくんまだ前回の試験のこと根に持ってるんスね・・・・。」

「当たり前田のクラッカー!!アレがなけりゃラーイエローも夢じゃなかったってのによ!」

「けど再試で物理と数学の解答用紙間違えたのはリュウの責任なんだな。あとそのネタは古すぎると思うんだな。」


とにかくレベル12のF・G・Dを引いた大徳寺先生が十代に廃寮の話を俺たちにした。

口では立ち入り禁止だとか言っていたがやはり闇のデュエルに関わるように誘ってるんだよな・・・。

この時点で十代に目を付けていたのだろうか?

いや、今はそうじゃなくて。


「・・・・・・・」

「オイ、十代。」


隣で目をキラキラさせながらうずうずしているお子様を止めなくては


「絶対行くなよ十代。」

「なぁ、リュウも行こう・・・・って、えぇ~?!」


問答無用で十代の提案を却下する。


「なんでだよ、ただ探検するだけだぜ?」

「そうなんだな。ちょっとくらいなら……。」

「ちょっとって…。」


不満そうな十代達。

だがこの一件でタイタンの運命が決まるのだ。

多少強引でも十代達を可能な限り廃寮に近づかせないようにしなければならない。

だが理由もナシに却下してもコイツらコッソリ行きそうなんだよなぁ……

ちょっと脅しておくか。


「廃寮はもう随分使われてないからあちこちが古くなってる。ヘタに中をうろついて怪我なんかしたら事だろ?
 それに大徳寺先生も言ってたがアソコは立ち入り禁止だ。学校にバレたら退学だってあり得るんだぜ?」

「うげぇ!そんなんで退学はさすがにイヤだなぁ……。」

「だろ?ただの探検で入学早々に退学なんて……笑えねぇぜ?」


『退学』の一言に十代はもちろん乗り気だった隼人も顔を曇らせる。

端から渋っていた翔に至ってはすでに退学処分を言い渡されたように顔面蒼白ときたもんだ。

いや、行かなきゃ例えばの話で終わるからな?

だが、いくら興味があればどこへでも行く猫のような十代でも退学なんてチラつかされれば行く気も失せるだろ。

例えフラリと立ち寄ろうとしても退学には敏感になっていそうな隼人や気の弱い翔が引きとめてくれるだろう。


「イヤなら止めておくのが賢明ってもんさ。君子危うきに近寄らず。触らぬ神に祟りなしってね。」


じゃあおやすみと一言言って食堂を後にする。

ひとまず十代への牽制はこんなもんだろう。

次は天上院か……。

ヘタするとタイタンとエンカウントしかねないし・・・やはり備えをしておくか・・・・








そして次の夜。

オベリスクブルーの女子寮から廃寮へ続く道の脇の木。

そこに背を預けて待ち人を待つ。

特待生寮が閉鎖されてから随分ほったらかしにされているため道はもはや獣道のように荒果て明かりもないため周りは不気味なほど暗く静かだった。

いつ頃くるか分からないから日が暮れる頃にはもうこうしていたのだが、


「(やっぱり、気が乗らねぇよな……)」


周りの雰囲気も相まって俺の気分は最悪。

これからやる事も考え得る限り最悪だ。

けどまさか「未来を知っているのですがこれからある人を助けたいのでお兄さんのことを調べるのをやめてください。」なんて言えるわけもない。

必然俺に言えることは「訳は話せないけどとにかく今日は帰ってください。」しかない訳で……


「ゼッテェ怒らせるよなぁ。イヤ、怒るんだろうなぁ……」


間違いなく天上院は何故かと尋ねてくるだろうがコッチは事情を話せないしアッチは事情を知りたがる。

結局押し問答になってやがて天上院がしびれを切らすかしたらアウト。

しかし、適当な理由をでっち上げても後で自分の首絞めることになる訳で…。


「(なんかないかなぁ、こう……天上院が自発的に帰ろうと思えるような理由。)」


…そうか、もっと単純に行けばいいのか?

そもそも夜遅くに出歩く女子がいたら注意するのが普通だ。

ストレートに、普通に「やぁ、こんばんわ。こんな夜中に出歩いちゃ危ない。ついでだから送ってくよ」と逝けばいいじゃないか!

そうすれば天上院は廃寮に近づけないし運悪くタイタンにエンカウントしても俺がついてりゃ向こうさんも接触し辛かろう!

よぉし!コレだ!この作戦で完璧だ!


サクッ…サクッ……


ちょうど天上院も来たし一丁やったるか!


「よう、天上院!こんな遅くにこんな所で奇遇だな!」

「……佐伯、アナタ今廃寮の方から来なかった?」


――――どうやらこの計画、根本的な欠陥があったらしい。









Side 明日香


私の問いに固まる佐伯。

あの廃寮は閉鎖されてから随分経つから高等部編入組の佐伯は存在すら知らないハズ。

なのにどうして場所まで知っていたのかしら?


「あ~……こんな夜遅くに女子一人で出歩くのは感心しないゾ?」

「そうね、けどそれはアナタにも言えることよ。廃寮は立ち入り禁止よ?なぜそんな場所から出てきたのかしら?」

「あはは…別に廃寮に入ってたわけでもないんだけどねぇ……。」


先ほどから視線を外して煮え切らない態度をとり続けている。

あくまでシラを切るつもりって訳ね。


「…まぁいいわ。早く自分の寮に帰りなさい。」


どうせ噂を聞いて興味本位で来たって所でしょう。

いつも行動を共にしている十代達がいないのに違和感を覚えたけど些細な事。

私だって寮を抜けだしてきているのだから早く済ませてしまいたい。

そう思って佐伯の横を通り過ぎようとしたのだが…


「イヤさ、帰るのは賛成なんだけど。天上院にも今日の所は帰ってもらいたいんだよね。」


そう言って佐伯が私の前を遮る。


「…何のつもり?」

「いやさ?ちょっと今日は日が悪いって話さ。お兄さんのこと調べるのはまた日を改めて・・・・。」

「っ?!」


佐伯の一言、今度こそ佐伯が知るはずがない一言。


「佐伯・・・アナタ!」

「え?な、なにさ?」

「なんでアナタ・・・・兄さんの事を知っているの!?」


私の質問に最初は意味がわからないと言った表情の佐伯だったが理解したのか再び表情が凍りついた。

廃寮の事といい佐伯は失踪事件について何か知っているようね。

まぁ、なんで私が失踪事件について調べに来たなんて思ったかは知らないけど・・・。


「え?アレ・・・・この時天上院が廃寮に来たのってJOINのこと調べにじゃなかった?・・・いや、そういやお参りみたいなことしてすぐ帰ったんだっけ?ならなんでタイタンに拉致られて・・・十代達と喋ってたから人質に使えると思われた?・・・・じゃあ何か?俺のすべき正しい行動ってレッド寮出る十代達を引きとめればよかっただけ?」


先ほどから何か小声で呟いているようだけど、今は兄さんの事が先。


「さぁ!どういう事か説明してもらうわよ!」

「ま、待った!話すのは良いけどその前にやらなきゃならん事ができた!また今度話すから!・・・・・・今は早く十代を止めに行かんと。」

「説明が先よ!」


しばらく佐伯が逃げようとして私がそれに食い下がると言った押し問答をが続く。

だがいくら食い下がっても佐伯は答えようとしない。

このままでは埒が明かないと考え始めた頃、佐伯の腕にある物に気が付いた。


「ならデュエルで決めましょう。勝った方が自分の主張を叶える、単純でしょ?」


佐伯の腕には何故か知らないけど旧式のデュエルディスクが装着されている。

そういえば前に『デュエリストたるものいつ何時でもデュエルに応じる備えをしておくものだ!』などとふざけて言っていたわね。

しかも佐伯のことだからどこからか『予備だ』とか言いながらもう一つくらい持っていそうだ。


「・・・・分かった。天上院が勝てば質問に答える。けど俺が勝ったらこの場は引いてもらうぜ?」

「分かってるわ。」


佐伯は懐から出したデュエルディスクをコチラに放り投げる。

このデュエル何としても勝って


「アナタの知っている事、全部話してもらうわよ!」

「あぁ、やってやるさ!やりゃいいんだろ!」






「デュエル!」     「デュエルだ!」
明日香VS隆一
LP4000            LP4000


「私の先攻、ドロー!」
明日香:LP4000   手札6  場0


手札には【エトワール・サイバー】と【スケート・ブレーダー】が揃っているが【融合】がない。

けどこの手札なら


「手札から【エトワール・サイバー】(ATK1200)を攻撃表示で召喚!カードを二枚伏せてターンエンド!」
明日香:LP4000    手札3  場【エトワール・サイバー】 伏せ2


今伏せたカードの一枚はカウンター罠【ドゥーブルパッセ】

佐伯はエースの効果を活かすためとステータスの低いモンスターが多いためよく装備魔法を多用する。

佐伯が装備魔法で強化してきたところをこのカードでいなして次の私のターンで手札の【サイバー・プリマ】を生贄召喚して装備カードを破壊。

攻撃力を下げた佐伯のモンスターを倒して一気にダメージを狙う!


「俺のターン!」
隆一:LP4000    手札6  場0

「・・・天上院、悪いが早い内にカタつけたいんでな。一気に行くぜ!
【鉄の騎士‐ギア・フリード】(ATK1800)召喚!!」


宣言と共に現れる鋼の騎士。

佐伯が常々自身のフェイバリットだと豪語するモンスターだが、『一気に』とまで言うということは・・・


「さらに!手札から【拘束解除】発動!!
場のギア・フリードをリリースして最強のソードマスターを特殊召喚する!
来い!【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】(ATK2600)!!」


一ターン目でエースまで召喚されるとは・・・


「さらに!手札から装備魔法【重力の斧‐グラール】をネイキッドに装備!
 そしてネイキッドにカードが装備されたことでネイキッドの効果発動!相手フィールドのモンスター一体を破壊する!!」

『ハァッ!!』
【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】(ATK2600→ATK3100)

佐伯のネイキッド・ギア・フリードに両刃式の戦斧が握られその場で振り下ろす。

その瞬間、見えない重圧が衝撃を伴って【エトワール・サイバー】ごとワタシの場を押しつぶす。


「バトルだ!ネイキッドでダイレクトアタック!!」


この攻撃が決まればワタシのライフは一気に900になってしまう。

本当は【ドゥーブル・パッセ】とのコンボのためのものだが仕方ない!


「リバースカード、オープン!【収縮】!
 攻撃モンスターの攻撃力を半分にする!」
明日香:LP4000→LP2200

「クッ、一枚伏せてターンを終了するぜ。」
隆一:LP4000    手札2  場【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】  魔法・罠【重力の斧‐グラール】 伏せ1

「私のターン、ドロー!」
明日香:LP2200   手札4  場 伏せ1(ドゥーブル・パッセ)


しかし不味いわね、いきなり予定を狂わされた。

【サイバー・プリマ】・・・・駄目ね。例え出せたとしてもグラールにも届かない。

今は凌ぐしかない。


「モンスターをセットし、ターンエンド。」
明日香:LP2200    手札3 場 セットモンスター×1  伏せ1

「俺のターン、ドロー!」
隆一:LP4000    手札3  場【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】  魔法・罠【重力の斧‐グラール】 伏せ1

「モンスターとカードを一枚セット!
 そして、場に【重力の斧‐グラール】があり手札がこのカードしかない時!
コイツは手札から特殊召喚できる!来いっ【ガーディアン・グラール】(ATK2500)!!」

「なっ?!レベル5のモンスターを生贄無しで!?」

「いくぜ!グラールでセットモンスターを攻撃!『英断の突撃』!!」


亜人のタックルでセットモンスターが吹き飛ばされる。だが・・・


「【荒野の女戦士】(DEF1200)の効果!
戦闘で破壊された時、デッキから地属性・星4以下の戦士族モンスターを攻撃表示で特殊召喚するわ!」


フィールドに光と共に二体目の【荒野の女戦士】(ATK1100)が現れる。


「・・・・ネイキッドで【荒野の女戦士】を攻撃!」

「くぅっ・・・!【荒野の女戦士】の効果で【サイバー・チュチュ】(ATK1000)を特殊召喚よ!」
明日香:LP2200→LP200


【サイバー・チュチュ】を見た瞬間、佐伯の表情が苦々しいものに変わる。

この子の効果を知ってるみたいね。いくら高い攻撃力のモンスターを場に並べてもダイレクトアタックなら関係ない。

そして、佐伯の手札もグラールの特殊召喚の条件を満たすために0。

まだ勝負は・・・・


「メインフェイズ2で場に伏せた【強欲な壷】を発動。デッキからカードを二枚ドローしてターンエンドだ。」
隆一:LP4000    手札2  場【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】【ガーディアン・グラール】 セット1  魔法・罠【重力の斧‐グラール】 伏せ1


・・・・なるほど、手札補充は万全だったって訳ね


「私のターン、ドロー!」
明日香:LP200    手札4  場【サイバー・チュチュ】 伏せ1(ドゥーブル・パッセ)


すぐにでも【サイバー・チュチュ】でダイレクトアタックと行きたい所だけれど、【サイバー・チュチュ】の効果は場のどのモンスターよりも攻撃力が下回っていなければならない。

そのためには佐伯の場のセットモンスターが邪魔!


「私は手札から【抹殺の使徒】を発動!!セットモンスターを破壊しゲームから除外するわ!」

「チィッ!やっぱりあるよなそりゃあ・・・!」


天から剣が矢のように放たれフィールドにセットされたモンスターに突き刺さる。

さらに・・・


「破壊した【名工‐虎鉄】はリバース効果モンスターなので互いのデッキから同名モンスターを除外する!」


私のデッキには虎鉄はない。

佐伯はデッキからもう一体の虎鉄を除外する。

これで佐伯の手札に更なる装備魔法を手札に加えることを阻害できた。


「いくわ!【サイバー・チュチュ】で攻撃!『ヌーベル・ポワント』」

「ぐぅっ!!」
隆一:LP4000→LP3000

「さらにメインフェイズ2で【光の護封剣】を発動!3ターンの間、アナタの攻撃を封じる!」


光の剣が降り注ぎ佐伯の場のモンスター達を釘づけにしていく。

このまま佐伯の攻撃を防ぎ【サイバー・チュチュ】の攻撃でライフを削る!


「ターンエンドよ!」
明日香:LP200    手札2  場【サイバー・チュチュ】  魔法・罠【光の護封剣】 伏せ1(ドゥーブル・パッセ)


さあ、どうするのかしら?


「俺のターン!」
隆一:LP3000    手札3  場【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】【ガーディアン・グラール】  魔法・罠【重力の斧‐グラール】 伏せ1


佐伯はドローカードに目を落とし、


「チィッ!カードを伏せてターンエンド!」
隆一:LP3000   手札2  場【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】【ガーディアン・グラール】  魔法・罠【重力の斧‐グラール】 伏せ2

「その様子だと良いカードが来なかったようね?私のターン!」
明日香:LP200    手札3  場【サイバー・チュチュ】  魔法・罠【光の護封剣】 伏せ1(ドゥーブル・パッセ)

「【サイバー・チュチュ】でダイレクトアタック!」

「クッ…ソ!サンドバックの気分だよチクショウ!」
隆一:LP3000→LP2000


このまま押せば行けるかもしれないが念には念を入れる。


「カードを伏せてターンエンドよ!」
明日香:LP200    手札2  場【サイバー・チュチュ】  魔法・罠【光の護封剣】 伏せ2(ドゥーブル・パッセ&?)

「俺の・・・ターンっ!!」
隆一:LP2000   手札3  場【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】【ガーディアン・グラール】  魔法・罠【重力の斧‐グラール】 伏せ2

「トラップ発動【ゴブリンのやりくり上手】!
デッキからこのカードと同名カードの数に1枚加えた枚数ドローし、その後手札を一枚デッキボトムに戻す。墓地には同名カードはないのでドローは一枚!」


カードをドローした瞬間、佐伯の目が輝く。


「速攻魔法【サイクロン】!【光の護封剣】を破壊する!」


吹き荒れる風が佐伯のモンスターの動きを封じていた剣を悉く砕いていく。

此処で【光の護封剣】を破壊できるカードを引くとは・・・。

十代もそうだが佐伯も引きが強い。

だが、


「バトル!ネイキッドで【サイバー・チュチュ】を攻撃!」

「させないわ!速攻魔法【プリマの光】を発動!
 【サイバー・チュチュ】を生贄に手札の【サイバー・プリマ】(ATK2300)を特殊召喚する!」


【サイバー・チュチュ】の身体を光が包み【サイバー・プリマ】へと成長させる。

そして【サイバー・プリマ】の纏った光はそのまま波紋のようにフィールドに広がっていく。


「【サイバー・プリマ】の効果発動!召喚・特殊召喚に成功した時、フィールド上の表側表示の魔法カードをすべて破壊する!」

「なっ・・・!?」


佐伯が驚愕する。

その反応を見るにやはり私の伏せカードを見抜いている。

でなければ最初のターン攻撃力の低い【エトワールサイバー】相手に『装備魔法を使用する』という使用に制限があるネイキッド・ギア・フリードの効果を使うとは思えない。

その後は使ってもメリットが少ないだろうと思って躊躇わず攻撃してきたのだろう。

だが今のこの状況―――対象となるモンスターの攻撃力が互いのライフを上回っている―――ではそうはいかない。

そのまま攻撃すれば相打ちになる。


「・・・攻撃対象がいなくなったことでバトルステップの巻き戻しが発生する。攻撃対象の変更はせずメインフェイズ2でカードを一枚伏せてターンを終了する。」
隆一:LP2000   手札1  場【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】【ガーディアン・グラール】  魔法・罠【重力の斧‐グラール】 伏せ2


渋い顔をしてエンド宣言をする佐伯。


「私のターン、ドロー!」
明日香:LP200    手札2  場【サイバー・プリマ】  伏せ1(ドゥーブル・パッセ)


「流れがあるうちに一気に行くわ!【強欲な壷】を発動!デッキからカードを二枚ドロー!」


ドローカードは・・・よしっ!


「【戦士の生還】を発動! 墓地から戦士族の【エトワール・サイバー】を手札に加え更に【融合】を発動!
 手札の【エトワール・サイバー】と【ブレード・スケーター】を融合して【サイバー・ブレイダー】(ATK2100)を融合召喚!」

「来たか、天上院のエースモンスター!」

「【サイバー・ブレイダー】は相手の場のモンスターの数で効果が決まるわ!
 今アナタの場にモンスターは二体。よって『パ・ド・トロワ』が発動!【サイバー・ブレイダー】の攻撃力が倍になる!」
【サイバー・ブレイダー】(ATK2100→ATK4200)


これで佐伯のネイキッド・ギア・フリードを上回った!


「バトル!【サイバー・ブレイダー】でネイキッド・ギア・フリードを攻撃!『グリッサード・スラッシュ』!!」

「ネイキッド!?うわっ!」
隆一:LP2000→LP400


【サイバー・ブレイダー】の高速で回転しながら放った回し蹴りをネイキッド・ギア・フリードが防御しようする。

だが倍ほども違う攻撃力になす術もなく吹き飛ばされ爆散し余波で佐伯がよろけた。


「形勢逆転ね?ターンエンド。」
明日香:LP200    手札0  場【サイバー・ブレイダー】【サイバー・プリマ】  伏せ1(ドゥーブル・パッセ)


と、言っても言うほど逆転できている訳でもない。

佐伯の場にはまだ攻撃力2500の【ガーディアン・グラール】がおり私の場の【サイバー・ブレイダー】は相手のモンスターが減ったことで攻撃力が下がってしまっている。

そして私のライフはあと一撃で消えてしまうほど少ない。

だが、佐伯が私の伏せカードを読んでいる以上佐伯は攻撃できないし、したとしても相打ちに持ち込める。

このデュエル、私は佐伯から兄さんの事を聞き出すのが目的。

ならば最低でも敗北してはならない。

相打ちならまだ食い下がれるし佐伯は攻撃できないがコチラからはいくらでも攻撃できる。

攻撃を阻んでいる間に【収縮】か【地割れ】、【フュージョン・ウェポン】のいずれかをを引ければ勝てる!


「クッソ・・・・俺のターン、ドローッ!」
隆一:LP400   手札2  場【ガーディアン・グラール】  伏せ2

「俺は二枚目のやりくり上手を発動!今度は墓地に一枚あるので二枚をドローして手札から一枚デッキボトムへ!」


この土壇場でまだドローソースがあるなんて・・・・何処までも引きが強い!


「グラールを守備表示に変更してモンスターをセット。」

「さらにカードを伏せてターンエンド!」
隆一:LP400   手札1  場【ガーディアン・グラール】セット1  伏せ2


だが逆転の一手を引けなかったらしい佐伯は守りの体勢を取る。

グラールを守備にしたのは【収縮】を恐れたのか?


「ドチラにしても好機なのは変わりはない!私のターン!」
明日香:LP200    手札1  場【サイバー・ブレイダー】【サイバー・プリマ】  伏せ1(ドゥーブル・パッセ)


引いたカードは【わが身を盾に】か・・・

このターンの決着は無理、セットモンスターが【D.D.アサイラント】の可能性もあるが此処まで来てしまえば関係ない!


「削れるだけ削るわ!【サイバー・ブレイダー】でグラールを、【サイバー・プリマ】でセットモンスターを攻撃!」


私のモンスター達が嵐のように佐伯の場を蹂躙し、制圧していく。

セットモンスターは【忍者マスターSASUKE】(DEF1000)だったか・・・、いよいよ佐伯も後が無くなってきたということか?


「私はカードを一枚伏せてターンを・・・・。」

「ちょっと待った!エンド宣言の前にリバースカード【リビングデッドの呼び声】を発動!蘇生対象はギア・フリードだ!」

「(何故このタイミングで?)・・・・ターンエンドよ。」
明日香:LP200    手札0  場【サイバー・ブレイダー】【サイバー・プリマ】  伏せ2(ドゥーブル・パッセ&わが身を盾に)

「俺のターン、ドロー!!」
隆一:LP400    手札2  場【鉄の騎士‐ギア・フリード】  魔法・罠【リビングデッドの呼び声】  伏せ1

「いくぜ天上院!このターンでケリを付ける!!」

「なんですって?!」


この状況で勝とうと言うの?!

やけに自信があるようだけど私の場に【ドゥーブル・パッセ】がある限り攻撃をしてきた時点で相打ち。

さっき【サイクロン】を使っていたから手札に除去カードがあるとも思えないし、そもそも佐伯のギア・フリードでは私のサイバー・ガールを超えられない。

されは佐伯だって分かっているはず・・・。


「ギア・フリードをリリースして【マテリアルドラゴン】(ATK2400)をアドバンス召喚!」


アレはももえを破ったドラゴン?!


「コイツの効果はフィールドのモンスターを破壊する効果を手札一枚を捨てることで無効にすること、そしてコイツが場に表側表示で存在する限り効果ダメージを無効にしてそのダメージ分ライフを回復する!」

「なるほどね。自信の元はそれがあったからってことね。
大方【ドゥーブル・パッセ】のダメージをそのカードで無効にとでも思っていたんでしょうけど、【ドゥーブル・パッセ】は相手モンスターの攻撃をダイレクトアタックとして受け、攻撃対象となったモンスターを相手プレイヤーにダイレクトアタックさせる。
つまり効果ダメージではなく戦闘ダメージ・・・・そのモンスターの効果では無効にできないわ!」

「ってことはやっぱりその伏せカードは【ドゥーブル・パッセ】で間違いないらしいな。
 そして、この土壇場で【ドゥーブル・パッセ】に固執するってことはさっき伏せたカードも【マテリアルドラゴン】の攻撃を阻めるものではない!」


しまった、つい伏せカードの情報を・・・!


「・・・もしそうだったとして、攻撃すれば「バトルだ!」っ?!」


私の話を遮る形で佐伯が攻撃を宣言する。


「アナタ正気!?このままだと相打ちだって言うのに!」

「いや、さっきのオマエの言葉で攻撃をためらう理由はなくなったぜ!」

「なっ?!どういうこと?」

「天上院、オマエ【ドゥーブル・パッセ】の効果は『戦闘ダメージ』だって言ったな?」

「それが一体・・・。」

「つまり、此処で俺が【サイバー・ブレイダー】を攻撃したとして【ドゥーブル・パッセ】が発動した時、俺は【サイバー・ブレイダー】から『2000ポイント以上の戦闘ダメージを受ける』ってわけだよな?」


「だから・・・・・・っ!?」


どうしたと言おうとした時、佐伯の言った『2000ポイント以上の戦闘ダメージ』の言葉に一枚のカードが思い当たる。


「まさか・・・アナタっ!」


愕然とする私をよそに【マテリアルドラゴン】は攻撃のためのエネルギーを貯めていく。


「そのまさかってね!俺の伏せカードは【体力増強剤スーパーZ】さ!」


【体力増強剤スーパーZ】―――自身が2000ポイント以上の戦闘ダメージを受ける時、ライフが引かれる前に4000ポイントのライフを回復するカード・・・!


「そんなマイナーなカードをデッキに入れてたなんて・・・!」

「俺もまさか場をがら空きにされた時のために入れたリスペクトカードをこんな形で使うことになるなんて思ってなかけどな!
 だが、おかげで心おきなく攻撃できる!
【マテリアルドラゴン】で【サイバー・ブレイダー】を攻撃!『サンライズ・ノヴァ』・・・・!」


そして【マテリアルドラゴン】から光弾が放たれようとした瞬間、


『うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』


辺りに悲鳴が響いた。


Side out






突然響いた悲鳴は俺の背後、すなわち廃寮から聞こえた。

そして、その悲鳴の声は俺の知る人物のもので・・・・


「あ!ちょっと佐伯?!」


気付けば廃寮に向かって走りだしていた。

一定の距離から離れたためデュエルディスクのデュエルモードが解除され勝敗のついていない状態でソリッドヴィジョンが消える。


「佐伯!何処行くの?!デュエルは?!兄さんのことは?!」

「廃寮に!サレンダーでいい!後で話す!!」


簡潔に天上院の質問に答えて廃寮へ急ぐ。

タイタンに目をつけられないようにと少し離れ過ぎたか、後から来たヤツらにも俺と天上院がデュエルしてるのに気付かれなかったらしい。

そして廃寮の扉を乱暴に開いて中に入って俺は更なる自分の失態に気付く。


「ジーザス!タイタンのいる地下室っぽいあの場所の入り口は何処だよ!?」


十代達が来ても入る前に止めるつもりだったから内部を調べていなかった。

ヘタに中に入って十代じゃなくて俺がターゲットにならないようにしたのが完全に裏目に出た。


「ハァ・・・やっと追い付いた。佐伯一体何が・・・・」


クッソ、もう悲鳴を聞いてから結構経ってるぞ?!

闇のデュエル止めるんなら始める前に止めないといけないってのに・・・・


「ちょっと佐伯?」


そもそもさっきから何だ俺は!

天上院が廃寮に来ていた理由も間違えて不必要に警戒させて、探してる兄の話なんかすれば問い詰めてくるに決まってんだろ!


「・・・・佐伯?」


それだけじゃねぇ、言い訳に詰まったからってデュエルで誤魔化すとか何考えてんだって話じゃねぇか。

自分でタイタンの生死が掛ってるとか言ってたくせに・・・・

なんでわざわざ時間を食う方法を取ってんだ!?

俺のすべきことはさっさと天上院を追い返してまた廃寮に引き返して十代達が来たら引っ張ってでも連れ帰る。

ただそれだけで済んだ。

なのに・・・・


「佐伯っ!!!」

「っ?!」


天上院の怒鳴り声に我に返る。

そうだ、今さらどうこうできない事を言っても何もならない。

今すべきは行動すること。

しかし、行動しようにもその指針となるのもないのもまた事実。

記憶が正しければ隠し部屋の入口は仕掛けで隠されているようなものではなかったと思う。

だが仮にも闇のデュエルなんてものを研究していた場所、簡単に見つかるようなところでもないだろう。

・・・・アレ?じゃあ原作の十代達はどうやって見つけたんだっけ?

悲鳴が聞こえた場所に向かった?

けどそれだと悲鳴を上げた場所を特定できるだけで連れ去られた後の行方はどうやって・・・・


「オゥ?」


と、耳に違和感・・・・?


「いだだだだだだ?!!?!」


か~な~り、強い力で耳を引っ張られた。

後ろを見れば・・・・・鬼が・・・いた。


「ワタシの声が聞こえてないみたいね?
聞こえの悪い耳ならいっそ取ってしまったらどうかしら?」

「ノオォォ!そんなことしても事態は何も好転しないヨ、天上院サン!?」


マズイって!耳が取れる前にダンボみたいに空飛べるくらいになるよ!!


「いやぁ、しかしアレだよね。天上院って見かけによらず馬鹿力あぁぁぁぁぁ?!!?ゴメンうそ!ホントに取れちゃ・・・・ん?」


その時、後ろから無理やり耳を引っ張られて変わった視界。

窓から差し込んだ月明かり。

長く人が居なかったために埃が積もった床に残ったソレを照らし出す。


「そうか!足跡!」


服の袖からペンライトを取りだし床の足跡を辿るように照らしていき・・・・


「・・・・あの、そろそろ耳離してもらえないッスか?事情は道すがらお話しますから。」










「つまり、廃寮に興味を持った十代達が忍び込まないよう先回りした所謎の黒コートの男を見つけ、そこに十代達じゃなくてワタシが来たからパニックになったと?」

「要約するとそうなります、ハイ。」


足跡を辿って行った先に昔の坑道のような入口を発見。

そこには足跡に加え何かを引きずった跡もあった。

今、俺達はその坑道を走っている。

そう『俺達』は、だ。

中に入る際、天上院にはココで待ってくださいとお願いしたのだが。


『フフフ、佐伯。面白い冗談ね?』


笑顔で指を鳴らすその瞳には『サッサと事情とやらを』『話せやコラ』と書かれていました。

・・・・二度と天上院に逆らわないと胸に誓いました。


「そこまではいいとして、アナタが兄さんのことを知っていた理由については・・・・っ?!」


坑道の奥から話声が聞こえてきた!

爆発音はないからまだデュエルは始まってないようだ!

ホントに闇のデュエルになってしまう前ならまだ何とかなる!


「急ごう!さっき話した手筈通りに!」

「・・・・ああもう!後でちゃんと話してもらうわよ!」


急かされた天上院は不満そうだが足を速めてくれる。

本当に申し訳ない、後でちゃんとO☆HA☆NA☆SHIされますから。

ホント、さっきからヘマし続けていからな。

今度こそしくじらねぇ、その思いを胸に十代達が居るであろう部屋へ入り。


「っ・・・・・!!」


一歩、ただそれだけで此処がいかに異常かを痛感させられる。

入った瞬間に感じる纏わりつくような気持ち悪い空気

憎悪、嫉妬、恨み、悲しみ、苦しみ、侮蔑。

そんな考え得る限り全ての負の感情がこの空間を形作っているかのような錯覚。

もしもコレが視覚化出来るのなら間違いなくこの部屋は真っ黒に塗りつぶされている。

冗談じゃねぇ、十代はコレに気付いてねぇのかよ?!


「リュウ?!どうしてココに?」

「んん?ダァレだ、貴様ァ?」


突然の俺達の乱入に驚いた様子の十代と隼人、そしてタイタン。

更にタイタンの後ろには気絶しているらしい翔が棺に入れられている

俺が天上院を引きとめたから代わりに運びやすそうな翔が捕まったようだ。


「そこのアナタ!アカデミアの敷地は関係者以外は立ち入り禁止よ!
 ガードマンも呼んだわ、早く翔君を解放しなさい!」


無論、ガードマンなんてハッタリだ。

ココに来るまでに天上院と打ち合わせでこのセリフを言えば実質不法侵入者のタイタンはおそらく怯む。

立ち入り禁止区域と分かって中に入っている十代達も見つかろうとはしないからスムーズにココから連れ出せるだろうと。


「・・・・フフフ、お嬢さん嘘はいけないなぁ。
 ガードマンを呼んだというのなら何故キミたちが出てくる必要があるのかなぁ?」


しばしの考え込んだようだが最終的には一発でバレた。

いや、もしガードマンが来ても催眠術かクロノス教諭を脅してなかったことにしようって所か。

しかしこの部屋に入った時点でそんなこともうどうでもいい。

一刻もこの場所から離れたい一心で翔の所へと足を進める。


「おぉっと、大事な人質をそう簡単に渡すわけにはいかないなぁ。」


そう言って懐からパチモンの千年パズルを掲げる。


「コレを見ろぉ!!」


千年パズル(偽)から視界を白く塗りつぶすほどの光が溢れだす。

そして視界が戻った時には、


「なっ?!」

「そんな、翔君が・・・・」

「消えたんだなぁ!?」


催眠術で姿の見えなくなったらしい翔。

十代達は突然翔が消えた事にうろたえている。


「フフフ、これであの少年を取り戻すには私と闇のデュエルを行って勝たなければ・・・・ん?」


自慢げに話すタイタンの脇を通り過ぎる。

そしてそのまま『まっすぐ』翔の元へ。


「なっ?!何故だぁ!?貴様、私の催眠術が効いていないと言うのか!」


その通り。端からアンタの方なんざ見ちゃいないしそれ以前に今の俺はそんなもんに掛るほどの余裕すらない。


「オイ!起きろ翔!」

「う、うぅ・・・・。」


二、三発翔の顔を叩くが呻くばかりで起きる気配がない。

しょうがねぇ、担いでいくか。

翔が小柄でよかった。


「・・・オマエ、今催眠術って言ったか?」

「ゑ?・・・・あ゛!!」

振り向けば奴さんの失言に気付いた十代達がタイタンに詰め寄っている。

よし、これならもうデュエルなんて空気じゃないだろ。

さっさと此処から離れよう。


「十代!ソイツはほっといて此処から・・・・。」


出よう、そう言おうとした。

凍りつき、喉が締め付けられ声が出ない。

そして俺が声を掛けた十代が、

次に突然押し黙った俺達を不審に思った天上院と隼人が、

最後に一人だけ俺に背を向けていたタイタンが振り向き、凍りついた。


「っ・・・っ・・・・・!!」


隼人が青ざめた顔で口をパクパクと声にならない声で何事か伝えたがっている。

しかし出来ることなら何も言わないでほしい。

この手の話は「危ない」だの「後ろだ」などと言われた瞬間、ジ・エンドと相場が決まってる。

俺の背後、部屋を満たす「良くないもの」が一斉に流れ込んでいく。

癇癪?苛立ち?

さっきまでまとまりのなかった負の感情は徐々に1つに収束していく。

曰く「余計な事を」「あとちょっとだったのに」


「リュ・・リュウ・・・」


十代でさえ引き攣った表情でそれだけ喉から絞り出すように口に出す。

ゴポリ

そんな明らかに液体系のものが溢れる音がする。

嗚呼、ヤロウ文字通り「形」を持ち始めたらしい。

もはや瘴気と言うに相応しい気配が俺の背中を舐めまわしながらゆっくりと身を起こす。

ソレを目で見ることがなくて本当に良かった。

だって、ただ近くに居るだけで嫌な汗が吹き出し歯が噛み合わずに音を立て続けるような状態で直視なんてしたら間違いなく気絶していたに違いないのだから。


「うぅん・・・・・・・え?」


間の悪い事に肩に担いだ翔が気が付いてしまったらしい。

今、俺は翔を脚を抱える形で肩に担いでいる。

つまりは顔が俺の後ろを向く形になる訳で、


「ヒッ・・・・・!!」


俺の後ろにはソレが居る訳で・・・・


「ウワアアアァァァアァアァァァァァアアアァ!!!!」


至近距離で直視してしまった翔の悲鳴を合図に弾かれたように俺達は走りだし、


オオオオオォォォォォオオォォォォォオオオォォォォ!!!!


生贄(オモチャ)を奪われた化け物(クソガキ)との、命がけの鬼ごっこが始まった。











「ハッ・・・ハッ・・・ハッ・・・!!」


坑道のような通路を入った時と逆に疾走する。

先ほどから背中には俺達を追跡する化け物の本能から恐怖を呼び起こすような雄たけびが叩きつけられている。

先頭には運の良い事に足に自信がないであろう隼人と天上院。

かなり距離が開いているため問題なく外まで逃げ切れるだろう。

ソレを追うように十代。

言うまでもなく今のこの面子で一、二を争う運動神経だ、問題ない。

そして次にタイタンだが・・・・

コートが邪魔そうだがそこは流石大人、徐々にだが引き離している。

そうなると問題になるのは、


「何なんスか?!アレ一体何なんスか?!!」

「知るかぁぁぁ!俺が聞きたいわボケェェ!!」

「って、なんでリュウくん居るんスか!?それとなんで叫ぶんスか!!」

「叫ばなきゃやってらんねぇからだよコンチクショー!!」


一番ケツの俺だけだ。

俺一人ならもまだしも荷物(翔)を担いでいるためバランスが悪くてうまく走れない。

そのためだんだん前の四人と距離が開き、


オオォオォォォォォオォォォオオオオォォオオォォォォォ!!!


・・・・後ろの化け物の濃密な気配を肌で感じられる程のデンジャーゾーンに突入。

これだけ近いと翔を下ろそうにも下ろして着地した瞬間走りだせなければヤバイ。

そして体勢的に後ろ向きに下ろされる翔はアウト。

結論から言って担いで行くしか選択肢がない。


「リュウ!!」

「馬鹿っ、気にせず走れ!」


振り向いて声を掛けてきた十代を叱責する。

余裕だろうと言ってもヤツは常にノンストップのフルスロットル。

トップスピードの遅さで何とか助かってはいるがコッチがスピードを緩めればあっと言う間に追いつかれる。


「けどっ!オマエ等・・・・!」

「お前が来てもどうもできねぇ!コッチはコッチで何とかする!」


何か言いたそうな十代だったが事実何もできないと分かって再び前を向いて走りだす。

とは言ったものの、実際どうしようもないのが現状だな。

今では背中に化け物の息遣いを感じてしまうほどにまで接近されてしまっている。

正直、此処に来るまでにも走って更に重り付きで走って・・・・

ははっ、どうにもならないじゃねぇか。

これはアレか?セブンスターズの時にタイタンの代わりに俺がって流れか?

自分の中でナニカが冷めていく。

後になって思うとこの時の俺はかなりやけくそ気味だったんだろう。

一瞬、此処で足を止めてしまえばと―――

このまま闇に飲まれても影丸理事長に復活してもらえるかもしれないと―――

そんな―――


「っけんなぁぁぁぁ!!!」


―――馬鹿で不抜けた妄言を考えた。

冷めていた反動で一気に脳髄が熱くなる。

そうだ、諦めるなんざまだ早い!

絶望は終わってしまった事にするものだ!

俺は走れている、まだ生きている!

『かもしれない』なんてあやふやなモンに魂売るくらいなら手足千切れるまで生き足掻いてやらぁ!!


「そうだ!二度も三度も・・・・こんな中途半端で終わってたまるかぁ!!」


そう決意を新たにしたその瞬間。


「あっ!」


それは誰が言ったのだろう。

当事者の隼人か、隣を走っていた天上院か、はたまたその様を真後ろで見ていた十代か・・・。

とにかく、その小さな声と共にいくつかの事が立て続けに起こった。

まず隼人が足をもつれさせて倒れそうになる。

すぐ後ろの十代は巻き込まれないようにバランスを崩した隼人の脇へとかわす。

だがそのとき、隼人を支えようととっさに腕を引いてしまったのがいけなかった。

少し引いたくらいでは倒れ行く隼人の体重を支えられず逆に体格差で十代まで引き摺られる。

結果、狭い行動で二人は横並びになって足を止めてしまったのだ。

全力疾走していたタイタンは止まる訳にもいかず二人に突っ込み完全に道が塞がる。

まさに退路が絶たれた。

背後からはバケモノが歓喜の雄たけびを上げながら迫る。


―――嗚呼、まったくもって今日は厄日だ

―――最初から最後まで、なにもかもうまく行きやしねぇ


そんなことを考えながら俺達は揃って黒の濁流へと飲まれていった。












暗イ、暗イ闇ノ中―――

深イ、深イ黒ノ底―――

ダレカガ、ボクノモト二歩ミ寄ル―――

ダレカハ悲シソウナ顔デ何カヲ言オウトシタ瞬間―――

光ガ溢レ、マタ何モ分カラナクナッタ―――











「・・・・・」


目を開けたらすでに白み始めた空が広がる。

天井じゃないのが残念だ。有名なあのネタを使い損ねてしまった。

・・・うん、現実逃避は止めて、


「なんでさ?」


イヤ、ネタじゃなくてホントになんでさ?

さっきまで地下に居たのになして今屋外?

体を起こして周りを見てみれば十代に翔に隼人、天上院も廃寮の入り口から吐き出されたような格好で倒れている。

あとタイタンの帽子も。

一瞬、帽子だけで本体取り残されたのではと焦ったが良く見れば廃寮から離れるように足跡がある。

どうやら俺達より先に気が付いて此処を離れたようだ。

そりゃあこんな怖い目見て長居したがる奴がいたらソイツは正真正銘のドМだ、筆者の親友だ。間違いない。


「そういう訳だから起きろ~みんな~!」


幸い、全員眠っているだけで少し揺すったらすぐに反応を返してきた。

オイコラ翔!何が『あと五分・・・』だ!?そういうのは二次元の幼馴染に言っておけ!

結局何もなかったがあんなモンが居る場所でお休みはしたくねぇだろ?

しかし、と顔を上げる。


「一体全体・・・・何がどうなったんだ?」


見上げた廃寮は不気味なほど静かにただの廃屋としてそこにあった。














<今日の最強カード>
【ガーディアン・グラール】
効果モンスター
レベル5/地属性/恐竜族/ATK2500/DEF1000
「重力の斧-グラール」が自分のフィールド上に存在するときのみ、このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができる。
手札にこのカード一枚しかない場合、手札からこのカードを特殊召喚する事ができる。



隆「今回の紹介するカードはドーマ編でラフェールも愛用した【ガーディアン】シリーズの一枚【ガーディアン・グラール】です!」

隆「総じて攻撃力が低く使い勝手の難しいと言われる【ガーディアン】の中で攻撃力2000を超える召喚ルール効果を持つ所謂反上級モンスターです。
  『そうそう手札をこのカードだけにできるか』と思われがちだけど魔法・罠の比率が高いと今回みたいに1ターンで場に出せることもしばしば。
  俺のデッキではコイツと【マテリアルドラゴン】、そしてネイキッドの三体が主力アタッカーですね。
俺の憑依した人が元々持っていた数少ないカードで【重力の斧-グラール】と共に長い事世話になってます。」

隆「そしてリスペクトカードは【体力増強剤スーパーZ】!
  乃亜編のVS乃亜で遊戯さんが、バトルシティ編で三位決定戦にて城之内さんが使用した一枚です。
  効果は本編参照のこと。
  回復が発生するのが一度の攻撃で2000以上の戦闘ダメージが発生した時であるため発動が難しいです。
  ですが『自分から攻撃した時』でも発動が可能であるため現環境でも【オネスト】【モンスターBOX】で返り討ちされそうになった時にでも使えるという利点もあります。」

隆「マイナーだからって舐めんなよ!」




~謝罪及びあとがき~

剣です。お久しぶりです。

前回の更新からかなり間が空いてしまいすいませんでした。

感想で『デュエルが単調』とのご意見と自分でも一話目から見てなんかどんどん小説内容のクオリティが下がって来ていたように感じて少し『月一更新』を忘れて一度しっかりしたものを書こうと思ったのですが結局単調・・・orz

自身の未熟さに軽く絶望し書き上げぬまま一月自信喪失していたのですがTF5の発売と他の遊戯王ssの作家様の作品に再びモチベーションを取り戻しなんとか形にしました。

これからの更新も遅くなりそうですが読者の皆様に楽しんでいただけるよう精進していきますので今後ともよろしくお願いします。

それからついに題名決定!

アイディアはコスモさんの物を使わせていただきました!ありがとうッス!


最後に本編なんだか謎がいっぱいな内容になりましたが細かい部分は後日更新するステータスで!

それでは剣でした。








[18550] ステータス画面   6/23  デッキレシピ更新
Name: 剣◆89237c12 ID:b2871f3e
Date: 2010/06/23 21:25
主人公設定
名前:佐伯 隆一(本名:?)

性別:男

年齢:16(精神年齢:?)

性格:楽天家、というよりイヤな事から目を背けてポジティブに考えようとするタイプ
   そのため滅多にないが一度負のスパイラルに陥ると中々立ち直れない性質。

好きなもの:『祭り』 『ラーメン』 『ギア・フリード』

嫌いなもの:『暗く静かな所』 『キノコの類』 『カードを大切にしない奴』

口癖:『ジーザス!』
   口には出さないがイヤなことがあるとこう言って毒づく。

趣味:『遊戯王』 『ラーメン屋めぐり』 

特技:『機械いじり』

保有スキル:直感:C+
      危険を事前に察知するスキル。普段はあまり発揮されないが本当に危険な時
には『何か嫌な感じがする』程度の認識を与える。


      メカニック:B
      機械を修理・製作するスキル。Bならば知っている機械であればパーツが揃えば1から作ることも可能。
      機械を生産する職で食べていけるレベルだが自分で設計することは出来ない。
      参考までに某蟹さんのこのスキルはA++。
これだけあれば設計どころか新しいシステムの理論を構築できる。もはや研究者の域。


      ???:?
      ???


備考:『5D´s主人公の信念と凡骨の魂を超融合して出来たキャラクター』
   『ちょくちょく努力が空回りする子(笑』



剣「今回はデッキレシピの更新だけだよ!さぁ早くデッキレシピを見る作業に戻るんだ!」










デッキレシピ


最上級×2
【剣聖‐ネイキッド・ギア・フリード】×2

上級×2
【ガーディアン・グラール】
【マテリアルドラゴン】

下級×15
【鉄の騎士‐ギア・フリード】×3
【ギガンテス】×1
【ゴブリン突撃部隊】×1
【D.D.アサイラント】×2
【クリッター】×1
【ハイエナ】×3
【名工‐虎鉄】×2
【メタモルポット】×1
【ジェスター・コンフィ】×1

魔法×17
【拘束解除】×2
【移り気な仕立屋】×1
【サイクロン】×1
【スケープ・ゴート】×1
【閃光の双剣‐トライス】×1
【重力の斧‐グラール】×1
【進化する人類】×1
【一角獣のホーン】×1
【魔導師の力】×1
【大嵐】×1
【貪欲な壷】×1
【アームズ・ホール】×1
【死者蘇生】×1
【増援】×1
【ハリケーン】×1
【強欲な壷】×1

罠×9
【聖なるバリア‐ミラーフォース‐】×1
【ゴブリンのやりくり上手】×3
【鎖付き爆弾】×2
【地霊術‐『鉄』】×1
【妖精の風】×1
【転生の予言】×1

計45枚



サイドデッキ

【ガーディアン・シール】×1
【流星の弓‐シール】×1
【ビックバン・シュート】×1
【鎖付きブーメラン】×2
【アースクエイク】×1
【隼の騎士】×1
【ビックバンガール】×1
【士気高揚】×1
【おろそかな埋葬】×1
【暗黒魔族ギルファー・デーモン】×1
【タイムカプセル】×1
【封印の黄金櫃】×1
【忍者マスター SASUKE】×1
【あまのじゃくの呪い】×1




剣「デッキレシピ更新しますた!ゆっくりしていってね!」

隆「と言っても、【ゴブリン突撃部隊】入れたくらいじゃん。
  あ、あとサイドから和睦が消えた。」

剣「うん、【マテリアルドラゴン】を出しやすくするために入れた【ジェスター・コンフィ】の効果を活かすために入れてたけどそのジェスターがピン差しでしょ?
  だからその場しのぎみたいな使い方しかできないから抜いちゃった。
  攻撃阻害はサイドの【鎖付きブーメラン】に一任して可能なら【忍者マスター SASUKE】に活躍してもらおうかと。
あとサイドの【ゴブリンのやりくり上手】をメインで起用。
  やっぱり手札に来ちまったネイキッドと交換できるのは何かと便利だからね。」

隆「【ガーディアン・グラール】を出す時ネイキッドがいるせいで特殊召喚できずってなことがザラだしな。」

剣「それから鴉さんから紹介の【あまのじゃくの呪い】もサイドイン!
  【流星の弓‐シール】を組み込んでる時に一緒に入れるつもりでやす!
今回はコレくらいかな?
  内容少ないですがちまちまデッキを弄って変えていくから今後もちょくちょくデッキレシピの変更をするんでそのつもりで!」

隆「それでは次の更新でお会いしましょう!」

剣「……次の更新は一月内にやれたらいいな。」






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