2010年10月8日5時1分
今月の乗務時間が「0」になっている操縦士の乗務スケジュール(下)。上は月間の乗務時間が60時間を超えているこれまでのスケジュール(画像の一部を加工しています)
経営破綻(はたん)して再建中の日本航空が、約370人のパイロットを対象に、退職を事実上強要する措置を今月から始めたことがわかった。50歳以上や病気欠勤が多い人が中心だ。「白紙」の月間乗務スケジュールを渡して個別に呼び出し、乗務から外すことを通告した上で自主的な退職を迫っている。
日航にはパイロット(機長と副操縦士)が約2500人いる。日航が募集している「希望退職者」はパイロットについては年齢などを問わないとしているが、同社関係者によると、退職を求められている約370人は50代後半の機長や50歳以上の副操縦士、病気で欠勤した日数が多い人(今年度の病欠日数が41日以上など)らに限られている。
この基準は、希望退職者が目標に達しない場合に日航が検討している「整理解雇」の基準案と一致しており、対象者の多くは「希望退職に応じなければ整理解雇になるということ。実質的な解雇通告だ」と受け止めている。
パイロットには毎月末、翌月の「運航乗務員スケジュール」が運航本部から渡される。しかし、ある対象者は、先月末、申請した休暇と面談日以外はまったく白紙のスケジュールが、「面談通知書」とともに渡された。面談の目的は「希望退職の必要性などをご理解いただくため」とされ、「大事な決断をしていただくため、10月のスケジュールはブランク(空白)にしました」などと書かれていた。
面談では、同本部の上司から、自分が解雇基準案に合致していることを告げられた上で、「希望退職に応じる場合はラストフライトを設定します。応じない場合は来月以降も予定は空白のままです」と言われたという。
日航は、「あくまで希望退職についての理解を求めるための措置で、退職の強要や整理解雇の通告ではない」としている。