(cache) 連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」

みどころ

  • ものがたり
  • 3つのポイント
  • 原案
  • 脚本
  • 音楽
  • 主題歌
  • 制作者のことば
  • 演出にあたって

ものがたり

ヒロインの布美枝は、昭和7年、島根県安来の商家に生まれました。
豊かな自然の中で育ち、家業の手伝いに精を出していた布美枝に運命の出会いとなる、お見合いの話が飛び込んできたのは28歳のときでした。 縁談の相手は東京の「貸本マンガ家」(「貸本屋」の商品である貸し出し専門のマンガを描く職業)、ペンネームは「水木しげる」。布美枝より10歳年上で、戦地で爆撃に遭い左腕を失っていました。
水木の屈託のない笑顔と素朴な人柄に、布美枝は心ひかれます。見合いは即決、5日後には結婚式を挙げ、身の回りの物だけ持って東京へ嫁いでいきます。アレヨアレヨという間の、人生の大転換でした。
ところが、東京都調布市の新居で布美枝を待っていたのは、どん底の貧乏生活だったのです。
貸本マンガ業界はすでに斜陽でしたが、超人的な努力でマンガと格闘する夫・茂の姿に、布美枝は「何があっても、この人とともに生きよう!」と心に決めるのです。
時代は高度経済成長のまっただ中。でも、二人の生活は、生まれてきた子供のミルク代にさえ事欠くような、苦しい日々が続きます。
しかし、そんな“どん底生活”から、ようやく抜け出す日がやってきます・・・。
夫婦の人生は、それからも山あり谷あり。さまざまなことを乗り越えながら、より深い絆で結ばれていく家族の姿を、笑いあり涙ありで描いていきます。

ページトップへ

ゲゲゲの女房を楽しむ3つのポイント

ポイント1 漫画家・水木しげるの妻の目を通して見た、夫婦の歩んだ長い道のりの物語。

妻・布美枝が貸本漫画家の茂と結婚したのは、昭和36年、彼女が29歳の年。お見合いで出会ってからわずか五日後のことでした。未知の場所である東京に、夫とともにやってきた布美枝を待っていたのは、思いもよらない貧しい暮らしでした。当時、夫の漫画は売れていなかったのです。しかし、布美枝は茂の才能を信じ、彼を支え、夫婦のきずなを強いものにしていきます。お互いのことをほとんど知らずに生活しはじめたふたりにとって、貧しい日々をともにすることは、相手のことを少しずつ知り、心の距離を縮めていくことでもあったのです。貧しさとの戦い。そして、日々の小さな幸福…。夫婦の生きる町は調布です。その空には、晴れも曇りもありますが、彩り豊かな花々が、ふたりの歩く道を飾っています。

ポイント2 変わりゆく町の表情、そして失われていった街角の風景−−−−。ドラマの背景となるのは、「昭和」です。

昭和三十年代以降の東京を舞台に、ドラマは展開します。貸本屋、高度経済成長、東京オリンピックなど、過ぎ去った昭和を象徴するキーワードやアイテムが、ドラマのそこかしこに出てきます。夫婦が生きた昭和という時代は、マスメディアのぼっ興とともに漫画が大きな表現ジャンルに成長していく時代でもありました。夫婦が貧しさと戦っていたその時代は、漫画家・水木しげるがやがてメディアとともに巨大な存在へとなっていくことが準備されていた時代だったとも言えるのです。

ポイント3 豪華キャスト競演−−−− 半年間の大長編ドラマは豊かな彩りの絵巻のように。

ベテランから若手まで、いまもっとも輝いている出演者のみなさんが、この「ゲゲゲの女房」のために集まってくださいました。すみずみまで光に満ち溢れたかのような画面が、そのおかげで実現できたと思っています。かつてなく豪奢で、きらめきにみちた朝のひとときを、お届けいたします。

ページトップへ

原案 武良布枝

『ゲゲゲの鬼太郎』などで知られる水木しげるさんの妻である武良布枝さんが、初めて妻の目から夫婦の半生を振り返った著書。
赤貧の時代から「鬼太郎」が生まれて夢への階段をのぼって行く時代、そして今日まで夫を支え続けた夫人が、巨人・水木しげるの真実と、涙あり笑いありの家族の物語をつづっています。

「武良布枝さんインタビュー」はコチラ。→

ページトップへ

脚本 山本むつみ 脚本執筆にあたって

「ゲゲゲの女房」は愉快な本です。情けない話もつらい体験も描かれているのですが、それでもやっぱり愉快で、読むと気持ちが温かくなります。それは、このご夫婦の半生記に「人と人が寄り添って生きることの面白さ」が、たっぷり詰まっているからでしょう。
どん底の貧乏生活時代も、売れっ子になってからも、「女房」の生き方はブレません。身の上に起きることをあるがままに受け止め、「お父ちゃん」と一緒に、毎日を精一杯生きています。普通で自然体で、それでいて腹の据わった生き方の力強さに、私はほれてしまいました。半年間という長尺のドラマを、この「女房」の力を借りながら書き続けていきたいと思ったのです。
これは、昭和の物語です。「お父ちゃん」を大黒柱と頼み、明るく生きる一家の姿が、皆さまの家族の思い出と重なる時、ドラマの中にホンモノの昭和の気配が立ちのぼるような気がしています。そして、前職が編集者である私は、戦後の出版界を担った漫画家や編集者たちの熱き奮闘ぶりを描くことにもちょっと燃えているのです。

<プロフィール>
北海道生まれ。NHKでは、金曜時代劇「御宿かわせみ」「慶次郎縁側日記」「秘太刀馬の骨」土曜ドラマ「トップセールス」などの作品がある。時代劇・現代劇を問わず、多様なジャンルで執筆している。ラジオでの活躍も多く、NHK FMシアター「明治お化け暦」では、放送文化基金賞優秀賞を受賞。

ページトップへ

音楽 窪田ミナ

福岡県生まれ。4歳から音楽教室で作曲を始め、5歳からピアノを学ぶ。英国王立音楽アカデミー大学院作曲科/商業音楽科を卒業。その後英国内にてポップスからクラシックまで幅広いフィールドのアーティストの作品に参加。2001年より拠点を日本に移し、テレビドラマ、映画等の作曲家として活躍する他、ピアニスト、アレンジャー、プロデューサーとしても活動。音楽を手掛けたNHKドラマとして「母恋ひの記」「ゴーストフレンズ」など。

ページトップへ

主題歌「ありがとう」 /いきものがかり 作詞・作曲 水野良樹

<メンバーからコメント>

水野良樹

「お互いを“思い合うこと”のちょっとずつの積み重ねが、人生をともにするという、若い僕らからすると途方も無い、とても大きなことに繋がるのかなと、そう思ってこの歌詞を書きました。すごくシンプルで、難しいことではないんだけれど、でも大切なことを歌った曲です。」

吉岡聖恵

「共に歩んでくれる大切な人へ“ありがとう”を贈れる曲が出来ました。普段はなかなか口に出せない気持ちをメロディに乗せたら、素直な想いを届けられるのかもしれません。誰かを想うってステキなことなんだ…と感じられるような、穏やかで優しい曲になったと思います。」

山下穂尊

「とても光栄です。NHKの朝ドラには名作が本当にたくさんあるのでプレッシャーもありますが、視聴者の方々に受け入れてもらえると嬉しいです。」

<プロフィール>
いきものがかり
写真左から水野良樹(みずのよしき / Guitar&リーダー/1982年12月17日生まれ)、吉岡聖恵(よしおかきよえ / Vocal/1984年2月29日生まれ)、山下穂尊(やましたほたか / Guitar&Harmonica/1982年8月27日生まれ)
泣き笑いせつなポップ3人組、いきものがかり。ユニット名の由来は金魚に餌をあげる“いきものがかり”をしていたことによる。1999年結成後、地元神奈川県厚木市・海老名市を中心にストリートやライブハウスなどで精力的に活動し、2006年3月「SAKURA」でメジャーデビュー。以後、シングル・アルバムヒットを連発し、2008年12月リリースの3rdアルバム「My song Your song」と2009年12月リリースの4thアルバム「ハジマリノウタ」はオリコンアルバムウィークリーランキング初登場1位を記録。また、2008年末・2009年末にはNHK紅白歌合戦に2回連続で出場を果たす。2010年3月からは全47都道府県ツアーを控え、いまや若者だけでなく、様々な世代から支持を集めるJ-POPアーティストとなっている。

<主題歌決定にあたって チーフ・プロデューサー 谷口卓敬>

愛する人とともにゆっくりと一歩ずつ明日へと歩いていく女性を描くこのドラマには、いきものがかりの音楽の優しさと力強さが、何よりふさわしい。番組の企画をスタートさせた時点から、主題歌についてはそのイメージと確信がはっきりとありました。今回の歌「ありがとう」には、いきものがかりにしか起こせない音楽のマジックがあります。  録音の過程に立ち合わせていただき、曲が内包する大きさと強さが徐々にかたちをとっていく過程を目の当たりにしながら、いきものがかりの音楽の奔流に飲み込まれるかのような感動をおぼえました。毎朝、新しいページが開かれるように、「ありがとう」がテレビから流れることを心からうれしく思います。いきものがかり、「ありがとう」。素晴らしい曲です。半年間、この曲とともに、「ゲゲゲの女房」は歩いていきます。その歩みが、数多くの人とともにあることを、心より祈念してやみません。

ページトップへ

制作者のことば チーフ・プロデューサー 谷口卓敬

今日一日が楽しいと思えるヒロインを見つけました。

「『ゲゲゲの女房』のヒロインは、これまでの連続テレビ小説の主人公と少し違います。ひと言で言うと、「ただ、そこにいる」。夢や希望に向かってがむしゃらに努力したりせず、来るものすべてをただ優しく受け入れて、いま、ここに生きている。それだけ、といえば、それだけの人。発信型ではなくて、受信型。
それが特徴です。そんなヒロインのあり方が、豊かな生き方のかたちであることを伝えたい。それがこのドラマの一番のポイントです。
漫画家の夫との貧しい暮らしに苦労は尽きないが、目に映るもの、心に感じるもの、そのひとつひとつをヒロインは楽しみ、心豊かに生きている。物質的な充実ではなく、満たされた温かい気持ちを胸に生きることの素晴らしさを知っているヒロイン。そんなヒロインを造形することが、このドラマの大きなねらいです。
そんな内面性を表現できる人を、わたしたちスタッフは探し… そして、見つけました。松下奈緒さんです。伸び伸びとした明るさと、自然体。松下さんは、そんな言葉がふさわしい人です。ただそこにいるだけで、その人が豊かにいまを生きていることが感じられる、そんな人。実際にお会いした松下さんは、まさにそんなイメージの人でした。
視聴者の皆さんが、毎朝ドラマを見ながら、今日一日が始まることを楽しく思える。『ゲゲゲの女房』がそんなドラマになることを、松下さんと出会うことができた今、わたしたちスタッフは確信しています。
(平成21年7月)

ページトップへ

演出にあたって 演出 渡邊良雄

ナズナの花のような人—誤解を恐れずに言えば、ヒロイン・布美枝はそんな女性です。このドラマの中で、布美枝が庭の片隅で人知れず咲くナズナの花を茂の部屋に飾るという描写が出てきます。茂が布美枝のささやかだけど、あたたかな心遣いに触れる、二人の距離が縮まっていくエピソードです。地味だけど可憐なナズナの花が、苦しい生活の中でも前向きに、日常のホントに小さなものに幸せを見いだしていく布美枝、まさにその人自身と、重なって見えるような気がしてなりません。そんな布美枝だからこそ、マンガという道を驀進する夫・茂を、影に日向に明るくひたむきに支えていくのです。
夫・39歳と妻・29歳の新婚夫婦。二人に遅くやってきた青春物語が、どんな感動を紡ぎだしていくのか、どうぞご期待ください。
(平成21年11月)

ページトップへ