ファン氏死去:外傷なし、他殺・自殺の可能性低い

 10日午前、ソウル市江南区論ヒョン洞の自宅浴室で遺体で発見された北朝鮮のファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党書記(87)の死因について、警察はファン氏が高齢で自然死した可能性が高いとみている。外部から侵入があった形跡がない上、遺体に外傷がなく、24時間にわたり、首相を上回る体制の特別警護を受けていたため、他殺の疑いを示す形跡は発見できなかった。

 警察は今年4月、ファン氏に対するテロ計画が事実と判明したことを受け、警護レベルを首相よりも強化していた。

 ファン氏は20人以上の護衛チームによる警備を受けており、死去当日にも2階建ての一戸建て住宅で、5人の護衛が警備に当たっていた。自宅内は1階はもちろん、寝室、書斎などがある2階にも護衛が配置され、別室で待機しながら、ファン氏を守っていた。

 警察は「ファン氏の自宅は塀が高く、容易に内部に侵入できない上、外部からの侵入を感知するセンサーや監視カメラなどを避けることも困難だ」と説明した。また、ファン氏が裸の状態で遺体で発見された当時、半身浴のため浴槽にためられた湯はまだ温かい状態だったため、死亡時刻から遺体発見まではそれほど時間が経過していないとみられる。このため、警察は前日に普段通りの日課を終え帰宅したファン氏が、10日朝に半身浴をしている途中、心臓まひで死亡した可能性が高いと推定している。

 護衛はファン氏が応接室に顔を見せるべき午前9時になっても姿が見えないため、非常用キーで寝室に入った。ファン氏は普段から施錠した寝室で暮らしており、外部とは完全に遮断されていた。

 ファン氏の遺体には、肉眼で確認できる外傷はなかった。警察は「鑑識チームが遺体を調べたが、体には突然力が加わったような外傷はなかった」と説明した。警察はファン氏が自殺した可能性も低いとみているが、正確な死亡時刻と死因を究明するため、国立科学捜査研究所に司法解剖を依頼した。結果は11日に発表される予定だ。

朴国熙(パク・グクヒ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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