後継者問題:金正恩氏、主席壇で朝鮮人民軍を査閲

三大世襲宣布から十日後

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者となった三男・正恩(ジョンウン)氏が10日、新型ミサイルの公開とともに姿を現した。朝鮮国営のテレビやラジオはこの日、金正日総書記、正恩氏親子が出席する中、平壌の金日成(キム・イルソン)広場で開催された朝鮮労働党創設65周年記念閲兵式の模様を、朝9時30分から1時間48分にわたり、異例の生中継を行った。統一部当局者は、「正恩氏が姿を現わす行事が生中継されるのは今回が初めてだ」と述べた。先月末に正恩氏が大将となり、三大世襲に向けて公式に登場してから十日後、国内外にも後継者となったことを公式に宣布したのだ。このような形での権力継承は、金総書記の健康悪化と関係があるとの見方もある。

 とりわけこの行事は、米CNNをはじめ80人以上の外信記者も取材したが、その目の前で北朝鮮は、射程距離3000キロ以上の新型中距離弾道ミサイル(IRBM)を初めて公開した。韓国軍関係者は、「このミサイルの射程圏には米国領グアムも入る。存在することは知っていたが、実際にその姿を確認したのは今回が初めてだ」とコメントした。北朝鮮は先月29日、正恩氏後継体制を内外に知らせる際、「核抑止力の強化」も宣言していたが、今回の行事では新型ミサイルも公開したのだ。正恩氏は核兵器とミサイルを手に登場したことになる。

 朝鮮人民軍総参謀長の李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長(次帥)は閲兵報告で、「米帝とその追従勢力がわれわれの自主権と尊厳をもてあそぶのであれば、核抑止力を含むあらゆる物理的手段を総動員し、無慈悲な正義の報復打撃で侵略の本拠地を根こそぎ吹き飛ばし、祖国統一という歴史的偉業を必ず成し遂げる」と述べた。

 正恩氏は主席壇(貴賓席)で、李英鎬氏を間に置いて、金総書記の右側で閲兵式に出席した。金総書記の左隣には、閲兵式を祝うために使節団を引き連れてやって来た周永康・中国共産党政治局常務委員がいた。

 また朝鮮労働党中央委員会、国防委員会、最高人民会議、内閣など北朝鮮の権力機関はこの日、金総書記に提出した朝鮮労働党創設65周年祝賀文で、「軍事重視、国防重視を軍事政策における最優先事項とするため、人民軍を強化し、国防工業を発展させることに優先的に力を投入する」ことを誓った。これは朝鮮中央放送が報じた。

 一方、金総書記は閲兵式前日の9日、北朝鮮を訪問している中国共産党政治局の周永康委員(党序列9位)と会い、胡錦濤国家主席からの祝いの手紙を受け取った。中国国営新華社通信によると、金総書記は周永康委員に対して、「貴下の訪問は、(北)朝鮮革命事業にとって大きな鼓舞と支持になる」と述べた。同通信によると、周永康委員は正恩氏にも会ったという。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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