後継者問題:「金正恩時代」の幕開けをアピール(下)

北朝鮮の軍事パレード、金正恩氏が登場

金正恩氏登場の演出

 軍事パレードの生中継を見た韓国政府当局者は、「史上初ではないものを探すのが困難だった」と語った。北朝鮮で生中継が行われるのは、2008年2月のニューヨーク・フィルハーモニック平壌公演、今年6月のサッカー・ワールドカップの最終予選北朝鮮対イラン戦、決勝トーナメントの北朝鮮対ポルトガル戦の例があるだけだ。

 金正恩氏が金正日総書記の隣に控える形でテレビに登場したのは、緻密(ちみつ)に計算された演出だとみられている。現在と将来の指導者が並んで立っている場面は、金正恩氏の経験不足を当面は金正日総書記が補うというイメージを住民に植え付ける狙いがあったとの見方だ。金正恩氏が金永春(キム・ヨンチュン)人民武力部長に何かを質問すると、金部長が金正恩氏に向かって腰をかがめて熱心に説明する姿も映し出された。キム・ヨンヒョン東国大教授は「今回の軍事パレードは北朝鮮が準備してきた金正恩デビュー演出の決定版だ」と指摘した。

 一方、朝鮮中央通信によると、金正恩氏は10日午前0時に金日成主席の遺体が安置されている錦繍山記念宮殿を訪れたという。韓国統一部関係者は「金正日総書記が金日成主席に三大世襲を報告したものだ」と分析した。

新型のムスダンミサイル、グアムまで射程

 今回の軍事パレードで外国メディアに初めて公開された北朝鮮の中距離弾道ミサイル(別名・ムスダン)は、射程距離が3000-4000キロで、米軍のアジア太平洋地域の戦略拠点であるグアム島も射程圏内に収めている。ムスダンとは、米情報当局が命名した名称だ。

 同ミサイルは2000年代初めに存在が確認され、07年4月の人民軍創建記念日パレードに初登場したが、写真は公開されず、実物が公開されたのは今回が初めてだ。07年以降、平安南道陽徳郡、咸鏡北道虚川郡などに10基余りが実践配備されている。長さ12メートル、直径1.5メートルで、スカッド(300-500キロ)、ノドン(1300キロ)より射程距離が長く、北朝鮮が実践配備しているミサイルでは最も遠くに到達する。

アン・ヨンヒョン記者

李竜洙(イ・ヨンス)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る