2010年10月11日01時35分
【ハノイ=河口健太郎】ベトナムを訪問中の北沢俊美防衛相は10日、同行記者団と懇談し、原則すべての武器の輸出を禁じる武器輸出三原則について「新・武器輸出三原則を作り出したらどうか」と述べ、見直しを検討する考えを表明した。
11日に当地で開かれる予定の日米防衛首脳会談で、ゲーツ米国防長官にこうした考えを伝える方針。北沢氏は、年末に決定する新しい「防衛計画の大綱」(防衛大綱)で「一定の方向性を出すべきではないか」とも語った。
理由については「国際的には共同開発が主流になってくる中で、身動きのとれないような形で(日本の)生産基盤や技術基盤が劣化していくのを手をこまねいてみているわけにはいかない」と述べ、国内の防衛産業育成の必要性を挙げた。一方、「閣内の調整、十分な理解を得る努力をしないといけない。防衛相としての一つの考え方だ」と、菅内閣として方針決定していないことも強調した。首相周辺も「政府が了解したというのではなく防衛相の思いだ」としている。
武器輸出三原則は、1967年に佐藤内閣が、(1)共産圏諸国(2)国連決議で禁止された国(3)国際紛争当事国または恐れのある国――への武器輸出を認めない方針を表明。76年に三木内閣が原則禁止に適用を拡大した。83年に中曽根内閣が米国に対する技術供与を認め、04年には小泉内閣がミサイル防衛の日米共同開発・生産に限り、厳格な管理を条件に例外としている。
今年8月には、民間有識者の「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書で武器輸出三原則の見直しを求めている。
ただ、非核三原則と並ぶ戦後日本の「平和国家」像の象徴でもあり、北沢氏も新三原則のイメージについて「平和国家の理念を見据えたうえで、今日の世界情勢にマッチしたようなもの」と説明した。
北沢氏は1月にも見直しに言及したが、当時連立を組んでいた社民党が反発し、議論は止まっていた。