[証拠改ざん]「逮捕してください」前部長、覚悟の否認
2010年10月11日02時44分 / 提供:毎日新聞
検察への信頼を根底から失墜させた、郵便不正事件に絡む証拠改ざんと隠ぺい事件。最高検は11日、大阪地検特捜部主任検事、前田恒彦容疑者(43)を証拠隠滅罪で起訴し、犯人隠避容疑で逮捕した前特捜部長の大坪弘道(57)、前副部長の佐賀元明(49)両容疑者の拘置延長を請求する。「検察崩壊」の危機に直面した時、内部で何が起きていたのか。水面下の動きを追った。
「どうするつもりなんだ」
10月1日午前、大阪・中之島の大阪高検庁舎内で、吉田統宏・最高検公判部長(57)が大坪前部長を問いつめた。容疑を認めれば逮捕見送りの可能性があることを知りつつ、前部長は言い放った。
「徹底的に闘う。逮捕してください」
断続的に行われていた聴取は、6日目になっていた。「刑事責任を認めて謝罪すれば在宅起訴も検討する」。それが検察上層部の方針だった。前部長らに考える時間をもう一度だけ与え、逮捕回避を模索した。
だが、大坪前部長は闘う姿勢を鮮明にした。佐賀前副部長も否認を貫く姿勢を示し、下着を詰めたバッグを持って出頭してきた。
「逮捕するしかありません」。午前中の聴取が終わると、大阪に派遣されていた最高検の捜査チームは2人の供述内容を東京・霞が関の検察トップに伝えた。
大林宏検事総長(63)や伊藤鉄男次長検事(62)らによる協議を経て、逮捕の方針が決まったのは、午後1時半だった。
◇「尋常ではない」
特捜部の検事が証拠品のフロッピーディスク(FD)に保存されたデータを改ざんした−−。
衝撃的な情報が最高検に伝わったのは9月20日夕だった。休日出勤していた最高検刑事部の八木宏幸検事(54)が、一報を伝える大阪高検の榊原一夫刑事部長(52)からの電話を受けた。
「尋常ではない事態だ」。八木検事が池上政幸刑事部長(59)に報告すると、情報はその日のうちに伊藤次長検事を経由して大林総長に伝わった。
郵便不正事件で検察側は、厚生労働省の村木厚子元局長(54)=無罪確定=が「04年6月上旬」に元同省係長、上村(かみむら)勉被告(41)=公判中=に偽証明書の発行を指示したとの構図を描いていた。
FDに保存された偽証明書の最終更新日時は、特殊なソフトを使って「04年6月1日未明」から「04年6月8日」に書き換えられていた。1日未明は検察側が描いた構図と矛盾するが、8日ならぴたりと当てはまる。多くの検察幹部が意図的な改ざんと直感した。
翌21日。「すぐ大阪へ行け」。午前9時半から約1時間の会議で最高検が捜査に乗り出す方針が決まり、刑事部の長谷川充弘検事(56)が現地に派遣されることになった。
「ブツ(物証)さえ手に入れば事件になる」。FDを保管している上村被告の弁護人に連絡を取るよう指示が出た。
長谷川検事が主任となった7人の検事による捜査チームは、FDのコピーの任意提出を受ける一方、ソフトに詳しい専門家から意見を聞き、その日の夜に前田検事の逮捕に踏み切った。
直後から、今年1月末に地検内で改ざん疑惑が表面化していた事実が明らかになっていく。
前田検事の同僚たちは「部長や副部長は意図的な改ざんと知りながら調査や公表を制止した」と聴取に証言した。前部長らの刑事責任を見極めるカギを握っていたのは、前田検事の供述だった。
検察庁が容疑者の供述内容を公式に明らかにすることはほとんどない。24日、「容疑を認める」と一部で報じられると、幹部の一人は「誤報だ」と明言し、事態の鎮静を図った。しかし、実際には前田検事は逮捕当日から容疑を大筋で認め始めていた。
大坪前部長らの立件を視野にいれながら、長谷川検事のチームはひそかに捜査を本格化させていった。
「どうするつもりなんだ」
10月1日午前、大阪・中之島の大阪高検庁舎内で、吉田統宏・最高検公判部長(57)が大坪前部長を問いつめた。容疑を認めれば逮捕見送りの可能性があることを知りつつ、前部長は言い放った。
「徹底的に闘う。逮捕してください」
断続的に行われていた聴取は、6日目になっていた。「刑事責任を認めて謝罪すれば在宅起訴も検討する」。それが検察上層部の方針だった。前部長らに考える時間をもう一度だけ与え、逮捕回避を模索した。
だが、大坪前部長は闘う姿勢を鮮明にした。佐賀前副部長も否認を貫く姿勢を示し、下着を詰めたバッグを持って出頭してきた。
「逮捕するしかありません」。午前中の聴取が終わると、大阪に派遣されていた最高検の捜査チームは2人の供述内容を東京・霞が関の検察トップに伝えた。
大林宏検事総長(63)や伊藤鉄男次長検事(62)らによる協議を経て、逮捕の方針が決まったのは、午後1時半だった。
◇「尋常ではない」
特捜部の検事が証拠品のフロッピーディスク(FD)に保存されたデータを改ざんした−−。
衝撃的な情報が最高検に伝わったのは9月20日夕だった。休日出勤していた最高検刑事部の八木宏幸検事(54)が、一報を伝える大阪高検の榊原一夫刑事部長(52)からの電話を受けた。
「尋常ではない事態だ」。八木検事が池上政幸刑事部長(59)に報告すると、情報はその日のうちに伊藤次長検事を経由して大林総長に伝わった。
郵便不正事件で検察側は、厚生労働省の村木厚子元局長(54)=無罪確定=が「04年6月上旬」に元同省係長、上村(かみむら)勉被告(41)=公判中=に偽証明書の発行を指示したとの構図を描いていた。
FDに保存された偽証明書の最終更新日時は、特殊なソフトを使って「04年6月1日未明」から「04年6月8日」に書き換えられていた。1日未明は検察側が描いた構図と矛盾するが、8日ならぴたりと当てはまる。多くの検察幹部が意図的な改ざんと直感した。
翌21日。「すぐ大阪へ行け」。午前9時半から約1時間の会議で最高検が捜査に乗り出す方針が決まり、刑事部の長谷川充弘検事(56)が現地に派遣されることになった。
「ブツ(物証)さえ手に入れば事件になる」。FDを保管している上村被告の弁護人に連絡を取るよう指示が出た。
長谷川検事が主任となった7人の検事による捜査チームは、FDのコピーの任意提出を受ける一方、ソフトに詳しい専門家から意見を聞き、その日の夜に前田検事の逮捕に踏み切った。
直後から、今年1月末に地検内で改ざん疑惑が表面化していた事実が明らかになっていく。
前田検事の同僚たちは「部長や副部長は意図的な改ざんと知りながら調査や公表を制止した」と聴取に証言した。前部長らの刑事責任を見極めるカギを握っていたのは、前田検事の供述だった。
検察庁が容疑者の供述内容を公式に明らかにすることはほとんどない。24日、「容疑を認める」と一部で報じられると、幹部の一人は「誤報だ」と明言し、事態の鎮静を図った。しかし、実際には前田検事は逮捕当日から容疑を大筋で認め始めていた。
大坪前部長らの立件を視野にいれながら、長谷川検事のチームはひそかに捜査を本格化させていった。
1 | 2 |
Ads by Google
関連ニュース:大阪地検
- 取り調べで暴言暴行か…30代男性が大阪府警刑事告訴へスポーツ報知 10月08日09時25分(32)
- 【BLOGOSまとめ】小沢一郎氏の起訴議決BLOGOS編集部 10月09日09時00分(26)
- 私は生まれて初めて国を訴えました − 司法を国民の手に取り戻す一歩として!アゴラ(北村隆司) - 言論プラットフォーム 10月07日09時00分(16)
- 10/6放送「アンカー」青山繁晴の“ニュースDEズバリ”(下)ここヘンJAPAN 10月07日10時24分(9)
- これでもまだ取り調べ全面可視化を急ぐ気はないですか?Afternoon Cafe 10月08日12時00分(8)
国内アクセスランキング
- 「クールな姉が彼氏の前で」見たくなかった兄弟・姉妹の一面COBS ONLINE 10日17時00分(1)
- 香川、50人で乱交パーティー共同通信 10日14時46分(38)
- 童話『浦島太郎』は過激な性描写のある官能小説だった!
ロケットニュース24 10日07時12分(12)
- 女性を狙う“第3の目”…007も真っ青の最新「盗撮」機器事情
産経新聞 10日18時37分
- 監視員の目を盗みメールで「救命」 フジタの高橋さん
産経新聞 10日21時14分
- ワーナー48歳社長首つり自殺の深層 平井堅、コブクロ育てたZAKZAK(夕刊フジ) 09日17時00分
- 児童ポルノと間違われアクセス殺到 削除された大学生の「タイ風俗店ルポ」J-CASTニュース 10日17時30分(3)
- 2010.10.09岡留安則の「東京−沖縄−アジア」幻視行日記 09日16時35分
- 施設に送られたペットたちの最期の姿ゲンダイネット 10日10時00分(18)
- ラブホテルで男女刺され、男性重傷…女性は死亡産経新聞 10日00時13分
注目の情報
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『おれは賃貸情報サイトで物件を探していたと思ったら
いつのまにか問合せしていた』恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
敷金・礼金ゼロ物件特集