金正日総書記と後継者の正恩氏、軍事パレード観閲

金日成広場で行われた軍事パレード観閲を終え、拍手する金正恩氏（右）と退席する金正日総書記

　北朝鮮の朝鮮労働党が創建６５周年を迎えた１０日、平壌の金日成広場で記念の軍事パレードが２時間近くにわたって行われた。金正日総書記と、後継者に決まった三男の党中央軍事委員会副委員長、金正恩氏もひな壇に登場、正恩氏は総書記から右側２人目の位置で観閲した。

　朝鮮中央テレビが異例の実況中継。外国代表団も招かれたほか、日米や欧州のメディア約２０社も取材、正恩氏が金総書記の軍重視路線を継承し後継体制づくりを進めていることを内外に示した。

　しかし正恩氏が演説や発言をする場面はなく、人文字のスローガンにも正恩氏の名前は登場しなかった。軍最高司令官でもある金総書記も発言しなかった。

　正恩氏は９日夜行われたマスゲームと芸術公演「アリラン」を、金総書記や訪朝している中国共産党の周永康政治局常務委員と共に中央貴賓席で観覧、外国からの代表団やメディアの前に初めて姿を見せた。

　周政治局常務委員は金総書記の左隣に招かれ１０日のパレードも観閲、対中関係を重視する北朝鮮の立場が鮮明になった。

　演説した李ヨンホ総参謀長は「われわれの自主権と尊厳を少しでも侵害するなら、自衛的核抑止力を含むすべての物理的手段を総動員し侵略の本拠地をすべて吹き飛ばす」と米国に警告した。

　北朝鮮での軍事パレードは、２００８年９月９日の建国６０周年で行われた民兵による閲兵式以来２年ぶり。今回は「ノドン」とみられる中距離ミサイルや迎撃ミサイル、戦車部隊なども参加。パレード終了後、金総書記は中国の周政治局常務委員と共にひな壇を５分ほど歩き、観衆に手を振りながら退場した。

　◆朝鮮労働党　北朝鮮の指導政党で、故金日成主席の革命思想、主体思想を唯一の指導方針とする。憲法で北朝鮮は「朝鮮労働党の領導の下にすべての活動を行う」と規定している。１９４５年１０月に朝鮮共産党北朝鮮分局として発足。４９年６月、南朝鮮労働党と合流し朝鮮労働党と改称した。９４年７月に金主席が死去した後、長男の金正日氏が９７年１０月に党総書記に就任。２０１０年９月２８日に４４年ぶりとなる党代表者会が開かれ、金総書記の三男、正恩氏が党中央軍事委員会副委員長に就任、後継者に決まった。（共同）

（2010年10月10日19時36分  スポーツ報知）

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