終始緊張　釈放のフジタ社員「気持ちの整理つかない」

　「帰ってきたばかりで気持ちの整理がついていない」。建設会社フジタの中国現地法人副部長高橋定さん（５７）は１０日午前「（釈放と帰国で）区切りがついたか」との質問にこう答えた。黒色のスーツにノーネクタイ姿。上海の虹橋国際空港で共同通信などの取材に初めて正式に応じた高橋さんは終始、緊張した表情だった。

　高橋さんは「日本国民の皆さまに大変ご心配をお掛けし申し訳ありません」と神妙な面持ち。「外務省はじめ関係省庁の皆さまのご尽力に感謝しております」と語った。

　この日、高橋さんは上海の日本総領事館員らに先導されながら、宿泊先の上海市内のホテルをワゴン車で出発。空港到着時には待ち構えた十数人の報道陣に一斉に取り囲まれたが、ひと言も発することなく両脇を関係者に抱えられながら出発カウンターに向かった。

　ようやく帰国できることを実感しているのか、出国手続きの際は受け取った搭乗券をじっと眺めた。高橋さんはこの後、搭乗口近くで共同通信などの取材に応じた。

　高橋さんが搭乗した中国東方航空機には、数人のフジタ社員も乗り込み、東京・羽田に向かった。

[ 2010年10月10日 12:18 ]