2010年8月18日 2時38分
兵庫県明石市の歩道橋事故(01年7月21日)で、検察官役を務める指定弁護士が、補充捜査で入手した未公表のビデオ映像を証拠採用するよう神戸地裁に請求していたことが17日、関係者への取材で分かった。映像は事故発生の約1時間半前、既に現場が混雑していた様子を記録しているという。業務上過失致死傷罪で強制的に起訴された元県警明石署副署長、榊和晄(かずあき)被告(63)が早い段階で雑踏事故を予見できたと証明する狙いとみられる。
映像は、明石市の事故調査委員会が事故後に見物客から提供を受けたもので、事故当日の午後7時15分~同55分ごろ、現場の歩道橋内部の様子を撮影している。
指定弁護士側によると、県警や神戸地検が捜査で押収した証拠の中に事故直前の映像はあるが、今回の映像は混雑状況を撮影した最も早い時間帯のものとみられるという。
事故は午後8時50分ごろ、群衆なだれが発生し11人が死亡、183人が重軽傷を負った。起訴内容では、当日午後6時半には歩道橋に滞留が生じ、放置すれば雑踏事故が発生する危険を容易に予見し得たとしている。
一方、指定弁護士が、事故の約半年前に同じ場所であったイベントの混雑状況を映した映像も証拠採用請求していることが分かった。計画段階での過失を裏付ける狙いとみられる。【重石岳史】