労働者派遣法を改正して製造業への派遣労働を、原則、禁止することについて、製造業で働く派遣労働者の半数以上が「仕事を失うおそれがあるので反対だ」と考えていることが、研究機関の調査でわかりました。
非正規労働者の雇用安定を図るため、原則、製造業への派遣を禁止する労働者派遣法の改正については、今開かれている臨時国会で審議が行われる見通しです。調査は、東京大学社会科学研究所の研究グループが、製造業で働く派遣労働者など4000人を対象に行い、およそ2300人から回答がありました。この中で、製造業への派遣労働を、原則、禁止することについて、「賛成」と答えた人は13.5%にとどまったのに対し、「反対」と答えた人は55.3%に上りました。その理由を複数回答で尋ねたところ「派遣を禁止しても正社員などの雇用機会が増えないから」が69.5%で最も多く、次いで「自分が派遣で働けなくなるから」が65.9%で、規制の強化によって仕事を失うおそれがあると感じている人が多いことがうかがえます。調査を行った研究グループの佐藤博樹教授は「派遣という働き方をみずから選んでいる人もおり、ただ禁止するだけでなく、派遣労働の労働条件を改善することや、ほかの職場で働けるよう支援することも同時に進める必要がある」と話しています。