ノーベル平和賞豪国内の反応
中国国内で民主化運動に参加し、現在投獄されている作家、劉暁波(Liu Xiaobo、54)氏が、2010年ノーベル平和賞を受賞したことと、中国政府が受賞前に、中国とノルウェーの貿易関係をタネにノーベル賞委員会に対して圧力をかけたことがむしろ中国政府の国際感覚欠如を際立たせることになった。
オーストラリア国内では、中国民主化連盟のChin Jin会長が、「中国が閉ざされた社会から開かれた社会に変わる絶好の機会だ。既に風向きが変わっている。それが感じられる」と語り、国内華人社会では大多数の人が劉氏受賞を喜んでいるとしている。
ノーベル賞委員会のトルビョルン・ヤーグラン委員長は、「中国の基本的人権のために長年にわたって非暴力運動に献身してきた」ことを同氏への授賞理由としている。
劉氏は、1989年6月の天安門事件でも民主化運動の学生を支持し、投獄されており、2008年には「08憲章」を中心になって起草、300人を超える知識人、学者、作家がこれに署名した。そのため、2009年12月には11年間の懲役判決を受けている。Jin氏は、「中国権力者の反応はぶざまとしか言いようがない。しかし、中国を今のままにとどめておくことは誰にもできないことは中国民衆にも明らかになってきている」と語っている。
ジュリア・ギラード連邦首相は、「オーストラリア政府は、中国政府に対して、劉氏釈放を要求していく。これまでも劉氏に代わって中国政府に働きかけてきた。これからもそうするつもりだ」と語っている。
緑の党のボブ・ブラウン党首は、「ノルウェーが経済大国中国の圧力をはねのける勇気があるのに比べ、中国民主化運動のために発言することもできないオーストラリアの政治家は卑怯だ」と発言している。
中国では、国営メディアが、1989年に同賞を受賞したダライ・ラマ14世を引き合いに出し、「またもやノーベル賞委員会の決定は愚かで傲慢で偏見に満ちている」と非難している。(AAP)