業のめどが立たない新交通システム

要予測の誤りで赤字額増大、補てんをめぐり問題に

 韓国に初めて登場し、交通革命に向け期待を背負っている「新交通システム」が、雪だるま式に膨らむ赤字や相次ぐ事故などにより、運用開始のめどが立たない状況に陥っている。

■竜仁軽電鉄(エバーライン)=韓国で初めて着工した、京畿道竜仁市の竜仁軽電鉄(新交通システムの意)は当初、今年7月に開業する予定だったが、今年末以降に無期限で延期されることになった。竜仁市は施設整備の遅れや、市民の不安解消などを理由に挙げているが、根本的な理由は運営によって生じる赤字の補てん問題だ。当初、軽電鉄が開通すれば、1日の平均利用客は14万人に上ると予想されていたが、実際には1日6万人以下になることが判明したからだ。これにより、1日に1億ウォン(約738万円)程度と見込んでいた収益の不足分を補てんしなければならなくなり、竜仁市は開業の時期を無期限延期とした。

■金海軽電鉄=慶尚南道金海市と釜山市を結ぶ金海軽電鉄も、需要予測の誤りによって、竜仁軽電鉄と同じような問題を抱えている。金海軽電鉄は、1日の平均利用者数を17万6000人と予測し、その80%に当たる14万人を超えなければ、釜山市と金海市が20年間にわたり赤字の補てんをする、という契約を締結した。

 ところが、実際の利用者数は需要予測をはるかに下回ると予想され、釜山市と金海市は向こう20年間、1兆5000億-1兆9000億ウォン(約1100億-1400億円)の赤字を補てんしなければならない見通しとなった。金海軽電鉄は来年4月に運行を開始する予定だが、不合理な赤字補てんの契約を修正しなければ、開業するわけにはいかない、という声が上がっている。

■河南BRT=京畿道河南市は今月6日から、バス・ラピッド・トランジット(BRT=バス専用道路の整備などにより、地下鉄並みの輸送量を持つバスシステム)の運行を開始する予定だった。当初は同市とソウル市江東区を結ぶBRTを整備する計画だったが、ソウル市内の区間工事が遅れたため、まずは河南市内だけで運行を開始しようとした。

 ところが、それさえも無期限延期となった。暫定開業を控えた今月4日、李教範(イ・ギョボム)河南市長らが試運転を実施したところ、多くの問題点が見つかったからだ。道路中央のバス専用車線に右折信号が設置されていない上、高度道路交通システム(ITS)を設置する空間が足りず、事故の危険性が高く、さらに車庫の用地も確保されていないことが分かった。同市の関係者は、「現時点では暫定開業のめどは立っていない」と語った。

■月尾銀河レール=835億ウォン(約61億3600万円)の費用を投じ、仁川市の月尾島で建設が進められている韓国初の都市モノレール「月尾銀河レール」も、昨年8月に運行を開始する予定だったが、延期を重ねた末、現時点では開業のめどが立っていない。橋脚やレールの設置など、大部分の工事は数カ月前に完了したが、試運転の際に相次いで事故が起きたため、開業日を設定できない状況だ。このように、「問題児」となってしまった月尾銀河レールに対し、一部からは「いっそのこと、撤去してはどうか」という声も出ている。

 都市鉄道協会のチェ・ウンヨン事務局長は、「交通施設は基本的に、国家が建設しなければならないが、高収益を望む民間からの投資に委ねたために、問題が起こっている。新交通システムは韓国ではなじみが薄く、法的・制度的な対応が追い付いていないという要因もある」と指摘した。

キム・ミンチョル記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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