【コラム】競売市場を香港に奪われたシンガポール(上)

 香港に再びオークションの季節がやって来た。毎年この時期になると、古今東西の芸術品が多数、新たな主人を求めて香港に集まってくる。今週だけでサザビーズが3200点、「ファインアート・アジア」に参加する63のギャラリーが5000点、韓国のソウル・オークションが60点を出品する。この中には、シャガールやピカソ、ルノアールはもちろん、韓国のナム・ジュン・パイク(白南準〈ペク・ナムジュン〉)など、世界的な巨匠の作品も並ぶ。それだけでなく、骨董(こっとう)品や宝石、時計、ワインなど、さまざまな物品がオークションにかけられる。

 ブルームバーグ通信は数日前、「今秋も、香港のオークションは大きなにぎわいを見せるだろう」と報じた。中国やアジア経済の好況の後押しを受け、香港のオークションは昨年、ロンドンを抜いて世界2位に浮上したが、ニューヨークを抜いて世界一になる日も遠くないといわれている。オークションの規模も昨年の8100億ウォン(約600億円)台から、今年は1兆3000億ウォン(約960億円)台に急増する、と専門家は予想する。

 10年前までは、オークション市場の様相は全く異なっていた。世界の競売市場の9割を牛耳るクリスティーズとサザビーは、アジア本部をシンガポールに置いていた。そのシンガポールを香港が追い越したのは、中国により近く、競売品に対する非課税政策を実施しているおかげだ、とニューヨーク・タイムズは指摘している。世界最大のオークションハウス、クリスティーズは中国市場を狙い、2002年にアジア本部をシンガポールから香港に移転した。07年、シンガポール政府が美術品に対しても7%の課税を実施すると、サザビーズも移転した。2大競売会社が香港に拠点を移したことで、欧州、米国、アジア各国の数十のギャラリーがその後を追った。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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