【ソウル西脇真一】聯合ニュースによると、97年に北朝鮮から韓国に亡命した黄長※(ファン・ジャンヨプ)・元朝鮮労働党書記(87)が10日、ソウル市江南区の自宅で死亡しているのが見つかった。警察は外部からの侵入の形跡がない点などから、自然死とみて死因などを詳しく調べている。
報道によると、黄元書記は同日午前9時半ごろ、遺体で見つかった。保安要員も近くに寝ていたという。警察は解剖して詳しく調べる予定だ。
黄元書記は、平壌の金日成総合大総長や最高人民会議議長などを歴任。97年2月、日本でのセミナーに出席後、北京に向かい現地の韓国大使館に亡命を申請。同4月に韓国へ渡った。
金日成(キム・イルソン)時代の指導理論「主体(チュチェ)思想」の権威で、韓国の脱北者の中では最高位とされる。韓国では脱北者団体のトップを務めるなど指導的役割を果たした。
今年4月に米国や日本を訪問し北朝鮮を批判する講演などを行ったが、北朝鮮の祖国平和統一委員会はウェブサイトで「泥棒ネコのように隠れて行き来しているが、決して無事ではいられない」などと警告。
韓国捜査当局は同月、黄元書記を暗殺しようと偽装脱北し入国を図ったとして、スパイ2人を逮捕していた。
※火へんに華
毎日新聞 2010年10月10日 12時35分(最終更新 10月10日 12時53分)