2010年10月10日8時10分
公共工事をめぐる談合をやめさせようと談合した業者に課す談合違約金を、減額する自治体が出てきた。倒産してしまうとして負担軽減を求める建設業者に対し、地域経済を守るという大義名分のもと、沖縄県が半額カットに応じたのだ。青森や岩手など、他の地域の業界でも「沖縄方式」の追随をめざす動きが広がっている。
発注する自治体側も加わった談合事件が続出したことから強化した制度だが、自治体自らが骨抜きを助長している構図だ。
国土交通省は2003年から、業者との請負契約の約款に談合違約金の項目を盛り込んだ。談合で落札価格が上がった損害の賠償として、工事請負契約額の10%を払わせるという内容だ。多くの自治体はこれにならい、さらに官製談合にからんだ知事逮捕が相次いだことを受け、抑止効果を狙ったペナルティーも加えて20〜30%に引き上げるところが相次いだ。
沖縄では05年、公正取引委員会が県発注の公共工事をめぐり立ち入り検査し、翌06年に談合認定して建設業者に排除措置命令を出した。これを受けて県は、業者側に10%の談合違約金を請求。業者側は減免するよう那覇簡裁に民事調停を申し立てた。
県と業者側は今年6月、違約金を5%に下げ、金利を取らずに支払期限は最長10年まで延長できることで合意。共同企業体に加わっただけの業者は全額免除とした。今月6日の県議会土木文化環境委員会で可決され、近く調停が成立する運びだ。県によると、145社への請求額は50億円減って計41億円となる。対象となった工事は国の補助事業で、減免すれば県から国への補助金返還も減ることになるが、国交省も「裁判所など第三者が出した結論は尊重したい」として、沖縄方式を追認する姿勢だ。