「F1日本GPフリー走行」(8日、鈴鹿サーキット)
午前、午後にフリー走行が行われ、F1フル参戦1年目のルーキー、小林可夢偉(24)=ザウバー・フェラーリ=は、1回目が14位で、2回目は12位。初の母国レースに挑む若武者は鈴鹿限定モデルの“日の丸ヘルメット”を装着し、9日の予選、10日の決勝に挑む。1回目、2回目ともに昨年の日本GPを制したセバスチャン・ベッテル(23)=レッドブル・ルノー=が一番時計をたたき出した。
◇ ◇
秋風が吹き抜ける聖地で『日の丸』が疾走した。自身初の日本GPを迎えた可夢偉はヘルメットを新装してフリー走行に登場。白地ベースで側頭部に鮮やかな赤丸が刻まれた『鈴鹿限定モデル』を手に「あまりにも格好良すぎる!!残り全部で使いたいくらい」と声のトーンを上げた。
トヨタに所属した昨季は正ドライバーのグロックが体調不良を訴え代役としてフリー走行に“緊急登板”したが、予選&決勝は出場していない。チームのエースとして戻ってきた今季は紛れもない主役。ピットから飛び出すと、多くの日の丸がたなびくスタンドから大声援が飛び交った。
2回のフリー走行では14位と12位。マシンの戦闘力に見合った結果とも言えるが、期待を背負う母国GPだけに納得はできない。表情は下り坂の天気同様に曇り気味だった。
マシンに問題も抱えているようで、「非常に合わせづらくて失敗だらけだった。飛び出したりもして、車は思ったよりも良くなかった。改善しなければ」。不満の残るセッティングに悔しさをにじませた。
とはいえ、指をくわえて見ている24歳ルーキーではない。高難度で知られる鈴鹿のコースに対し、「練習でまとめても意味がない。車の限界と自分の限界をつかみながら走った」。予選と決勝を想定しながらのシミュレーションも着々。ばん回を期し、積極的に攻め続けた。
ルーキイヤーの今季、起死回生の走りで何度も世界を驚かせた“カムイ”。誰よりも輝く『勝負メット』を力に、7年ぶりの聖地決戦で強豪勢に、ひと泡吹かせてみせる。