ホーム > サッカー > サッカー最新紙面記事

ザック日本、初陣大金星!アルゼンチン撃破

 後半、大声で指示を出すザッケローニ監督=埼玉スタジアム(撮影・吉澤敬太)
 後半、大声で指示を出すザッケローニ監督=埼玉スタジアム(撮影・吉澤敬太)

 「キリンチャレンジカップ、日本1‐0アルゼンチン」(8日、埼玉)

 いきなり大金星‐。アルベルト・ザッケローニ監督(57)が初指揮を執った日本は、W杯2度の優勝を誇る南米の強豪、アルゼンチンを1‐0で撃破した。前半19分、こぼれ球に反応したFW岡崎慎司(24)=清水=が先制ゴールを決めた。日本がアルゼンチンに勝ったのは、7度目の対戦で初めて。南アW杯8強のアルゼンチンはリオネル・メッシ(23)=バルセロナ=らが先発したが日本の守備を崩せなかった。日本は12日にソウルで韓国と対戦する。

  ◇  ◇

 こんな船出を誰が予想しただろうか。勝利が決まるホイッスルが響くと、地鳴りのような歓声が上がるスタジアムで、ザッケローニ監督は固く拳を握った。「アルゼンチンはスペインと並んで世界最強のチーム。デビュー戦として、この結果に満足している」。イタリア人指揮官の表情に、充実感が満ちていた。

 静かに戦局を見極めた。岡崎の先制ゴールの際には全身で喜びを表現したものの、オーバーなアクションは少なめ。試合が中断するとこまめに選手を呼び出して、修正ポイントを指摘し続けた。日本サッカー史に残る金星にも「勝利は大切だが、選手がこの勝利でさらに実力を出せるようになれば良い」と冷静に振り返った。

 『自信』は『確信』に変わった。合宿初日から細かく戦術指導。ゾーンディフェンスから、攻撃時は手数をかけずにシンプルにゴールへ向かう戦術を説いた。「短い時間でいろいろ詰め込んだが、今までやってきたことも出して欲しい」と選手を送り出した指揮官は、強豪相手の金星に「日本選手の印象は質が高い選手が多いと思っていた。だが、それに気づいていない選手が多い。試合を終えて、抱いていた印象が、確信に変わりました」と言い切った。

 30歳から始まった監督業。27年目にして初めて国外を新天地に定めた。日本代表監督就任を「挑戦」と話す指揮官には大きな“野望”がある。就任直後、親しい知人にこう語った。「世界のトップランクの国をセリエAとするならば、現時点では日本はセリエB。私が監督をやることで、日本をセリエAに押し上げたいんだ」。就任以降、長期的な視点でチームの成長を見据える先には、日本が14年ブラジルW杯で世界のトップランクに肩を並べる姿を描く。

 「海外組の能力も高いが、Jリーグも素晴らしい選手を輩出している。ただ、まだまだのびしろがある。ブラジルW杯に向けて成長し続けたい」という。もちろん「次の韓国戦は今日の試合よりも難しくなる」と金星に浮かれることもない。珠玉の勝利で初陣を飾ったザックJAPAN。華々しい出航、そして、無限の可能性を秘めた大海原が広がる‐。

(2010年10月9日)






Copyright(C) 2010 デイリースポーツ/神戸新聞社 All Rights Reserved.
ホームページに掲載の記事、写真などの無断転載、加工しての使用などは一切禁止します。ご注意下さい。
当サイトは「Microsoft Internet Explorer 4.x」「Netscape Navigator/Communicator 6.x」以上を推奨しています
Email : dsmaster@daily.co.jp