中国メディア　劉氏の平和賞をほとんど報じず

　９日の中国各紙やテレビは、服役中の民主活動家、劉暁波氏（５４）のノーベル平和賞受賞決定について直接的には報道せず、中国外務省の「（劉氏への授与は）平和賞への冒涜」との批判談話だけを伝えた。中国当局による厳しい報道規制が敷かれているとみられる。

　一方、劉氏の親族によると、妻の劉霞さん（４９）は９日、自宅のある北京から自身の弟と共に鉄道で劉氏が服役中の刑務所がある遼寧省錦州入り。もともとは９日に面会する予定だったが、当局の都合で１０日に延期された。ただ、中国当局が発言内容を制限する可能性もあり、受賞決定の報告をできるかどうかは不透明。

　刑務所付近は、中国当局が厳しい警備を敷き、海外メディアを排除。同地を訪れた海外メディアの記者には公安当局者の監視がついている。

　９日付の中国紙、北京晨報には平和賞に関する報道は一切なかった。中国共産党機関紙、人民日報系の京華時報は１８面の「国際・総合面」で「中国の罪人への授与は平和賞への冒涜」との見出しで国営通信、新華社が配信した外務省談話を伝えた。人民日報傘下の中国紙、環球時報や、新京報も小さく同省談話を載せただけだった。

　中国中央テレビは午前、北京市郊外で行われた広州アジア大会の聖火採火式を特集で伝えたが、ノーベル平和賞のニュースは報じていない。中国メディアはほかの各賞については大きく扱っていた。

　中国当局は、インターネットの掲示板でも平和賞関連の書き込みを削除するなど規制を強化。しかし、海外にサーバーを置く中国語サイトでは、「劉暁波は最高の愛国者だ」と受賞を歓迎する声や、報道を規制する中国当局の対応を批判する書き込みもあった。（共同）

（2010年10月9日19時00分  スポーツ報知）

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