2010年10月8日15時6分
健康的な食生活を送るための手がかりを増やそうと、消費者庁は、脂質や塩分といった食品の栄養成分についてメーカーに表示を義務づける方針を固めた。これまで表示は各社の判断に委ねていたが、国際的な義務化の流れを踏まえた。たくさんとると動脈硬化のリスクが高まるとされる「トランス脂肪酸」を対象に含めることも視野に入れている。来年夏をめどに制度の中身を詰め、2012年の通常国会への法案提出をめざす。
岡崎トミ子消費者担当相が8日、表示の義務化に向けて検討会を立ち上げるよう指示した。11月にも議論を始め、どの栄養成分を義務化の対象とするかなどを話し合う。
食品の栄養成分を商品に表示するかどうかは現在、メーカーの判断に任されている。表示する場合に限って、健康増進法に基づいて熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの「主要5項目」を載せることになっている。
海外では、米国、カナダ、ブラジル、オーストラリアで表示を義務化しているほか、02年に台湾、06年に韓国、08年に中国、09年にインドで義務化されるなどアジアにも広がっている。1994年に義務づけた米国の場合、現在の表示対象は日本でいう「5項目」のほか、トランス脂肪酸やコレステロール、糖類、食物繊維など計14項目に及ぶ。
マーガリンや、パン・菓子づくりに使われるショートニングなどの加工油脂に含まれるトランス脂肪酸について、消費者庁は「最近の様々な研究でリスクがはっきりしてきた」とみており、義務化の対象とする方向で検討する。
消費者庁は、食品表示についての規定がJAS法や食品衛生法、健康増進法など複数の法律にまたがっているのを見直し、一元化した法案をまとめる準備を始めている。そこに、今回の検討会の結論を盛り込む考えだが、表示の範囲を広げれば、食品業界の反対も予想される。(河村克兵)