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【サッカー】

<目撃者>ポイントは前線からの守備圧力と犠牲心

2010年10月9日 紙面から

 わずか4日間の準備期間、しかも初陣というハンディを吹き飛ばして余りある勝ちっぷり。メッシを封じ、アルゼンチンを沈めた。ウソだろ? 地鳴りのような歓喜の声、声、声に少しだけ鳥肌が立った。ピッチの選手は熱気で上気した顔だった。華々しい船出の一戦。それでも、ザッケローニ監督(57)はまるで沈着な態度を失わなかった。

 「合宿、試合を通じて、抱いているものが確信に変わった。非常に良いクオリティーを持った選手が多い。長い目で見ていく上で、結果以上に内容が見られて良かった」

 ザック監督の味付けは感じられた。ポイントは、前線からの守備圧力と「犠牲心」(同監督)。両サイドバック、ボランチにボールが入ると厳しく当たった。香川、岡崎、本田圭、森本が献身的に動き回って体を投げ出し、パスミスを誘発して何度も好機をつくった。だから、守備ブロックの位置を高く、コンパクトに保てた。守から攻への転換が速い。指揮官は「攻撃、守備パートの助け合い」と表現した。

 攻撃ではピッチを広く使い、ボールを動かしながら、次の狙いを持った選手が縦方向へ動いた。「シンプルに縦へ向かう」という明確な指示が実践された。そして、もう1つ。揺るぎない団結心。試合前、ロッカールームで鼓舞した。「勝ちたいのであれば、チーム力で上回るしかない」。ベンチで肩を組み、初めて耳にした「君が代」に心が震えた。が、試合中も試合後も、百戦錬磨の知将は落ち着いていた。

 「目的はアルゼンチンに勝つことではなく成長すること。大きな仕事のほんの一部にすぎない。狙っているものは違う」

 結果を求めるが、結果論者ではない。すべてはブラジルへの道程。一喜一憂はしない。それも、ザック流なのだろう。(松岡祐司)

 

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