口蹄疫(こうていえき)からの復興に向けた基金創設などの政府方針が8日、示された。県が求めていた300億円規模の基金創設はかなわなかったが、畜産再生に向けて緊急的に約90億円の補助事業を実施する。さらに、県が1000億円程度の県債を発行して運用型の基金を設立する。財政面の枠組みが定まり、今後は復興事業の着実な実施が求められる。【石田宗久】
東国原英夫知事は記者団の取材に「国と協議したうえでの着地点であり、今後はスピード感を持ち執行に移さなければならない」と述べた。
畜産再生への約90億円の補助事業の柱は、国が独立行政法人農畜産業振興機構に設ける約33億円の取り崩し型の基金だ。補助制度の活用で3年間で50億円の事業を実施。県負担分は交付税などで財政措置を講じ、畜産から野菜への産業構造転換に向けたJA宮崎経済連の野菜冷凍・加工場の整備も支援する。
1000億円の運用型の基金は県が11月に県出資の財団法人に設置し、5年間で得られる20億~30億円の運用益で市町村復興事業や観光支援を実施する。
県は、基金以外に国に要望していた侵入経路解明や飼料自給率向上、観光振興など39項目についても、各省庁ごとの対応状況を明らかにした。
県単独公共事業への財政支援は、国土交通省が「現状でも必要なかさ上げ措置をしている」として認められなかった。
また、県家畜改良事業団で殺処分された種牛約50頭への補償では、農林水産省は「家畜伝染病予防法に基づく手当金は、患畜や疑似患畜の届け出を所有者に促す助成、奨励的な性格のもの。都道府県はまん延防止の実施責任者として、助成を受けるまでもなく進んで措置を講ずべき立場」として拒否した。農家に支払われる家畜の補償手当金は、口蹄疫対策特別措置法に基づき免税される見通し。
県総合政策課の永山英也課長は会見し「難しい課題だったが、相応の措置をいただいた」と評価した。
毎日新聞 2010年10月9日 地方版