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【劉氏に平和賞】潘事務総長、歯切れ悪い声明 中国の人権への取り組みに賛辞も
【ニューヨーク=松尾理也】国連の潘基文事務総長は8日、中国の民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与決定について、「世界中で人権状況の改善を求める声が総意になりつつあることの表れだ」と支持する声明を出した。だが一方で中国に対しても「政治参加を拡大させ、人権に対する実践を順守してきた」と、その人権に対する取り組みに“賛辞”を贈るなど、なんとも歯切れの悪い内容となった。
声明は、「人権は開発および平和・安定と並ぶ国連の主要な3つの柱だ」と強調しつつ、中国に「過去数年間で、著しい経済発展を遂げ、数百万人を貧困から救い、政治参加も拡大させた」と高い評価を与えるなど、まるで劉氏と中国政府とが蜜月関係にあると錯覚させるかのような内容。
さらに、「平和賞授与の決定をめぐる意見の相違が、地球規模での人権問題の進展を妨げることのないよう、心から望む」と、中国への配慮をあらわにした。
国連外交筋は、「中国は強大な権限を持つ安保理常任理事国の一角で事務総長の再選でも影響力を行使できる。声明は、米欧と中国との間でなんとかバランスを取ろうとした結果だろう」と指摘している。