低所得層対象の情報化支援事業に思わぬ盲点(下)

 ソウル市教育庁は、「家庭の事情でコンピューターの購入が難しい片親家庭など、低所得層に対し、コンピューターやインターネット通信費を集中的に支援したところ、逆に勉強時間が減るという結果をもたらした。片親家庭の子供たちの国・英・数の平均点は、両親がいる家庭の子供たちよりも約5点低いなど、オンラインゲームによる成績低下が目立つ」と語った。情報格差をなくすために導入された低所得層支援事業が、むしろ学力格差を深刻化させるという逆効果をもたらしたわけだ。

 今回の調査・分析を担当したソウル大のパク・ヒョンジョン教授は、「オンラインゲームを1時間余計にやると、その分だけ国・英・数の平均点が2、3点低くなるという結果が出た。低所得家庭の情報化支援事業は、子供たちの情報化の素養を高める効果が微々たるものにとどまる反面、オンラインゲームに夢中になり、成績が低下する現象がはっきりと現れた」と語った。

 ソウル市教育庁は、「片親家庭の子供たちは、親が日々仕事に専念していることから、自宅で誰の監視も受けることなく、オンラインゲームに熱中する可能性が大きい。低所得家庭の情報化支援を行う場合には、コンピューター利用に対する統制力を高めるための案も併せて考えなければならない、という結論に至った」と語った。

 しかし、共稼ぎの低所得家庭や基礎生活受給対象の片親家庭などでは、子供たちのコンピューター利用を統制しようにも、適当な方法がない。とはいえ、こうした家庭に対する情報化支援事業を取り止めることもできず、教育当局はジレンマに陥っている。

 一部からは、このような副作用を減らすため、支援の対象となる低所得家庭の保護者たちに、インターネット中毒の危険性とコンピューターの活用方法に関する教育を行うべきだという主張も出ているが、生計の維持に忙しい親たちがこれに関心を持ち、参加するかどうかは不透明だ。

郭守根(クァク・スグン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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