【社説】TABLO狙った「ネット怪談」に見る韓国病
歌手TABLOさん(本名:イ・ソヌン、30)の学歴詐称疑惑をめぐる告訴・告発事件を捜査してきた警察は8日、TABLOさんが米スタンフォード大学を卒業したのは事実だと発表した。これで、昨年から取りざたされていた「TABLOは学歴を詐称し、『頭がいい歌手』というイメージを売りに人気を集めた」という疑惑は、「インターネット怪談」の一つに過ぎなかったことが証明された。
一部のネットユーザーは、会員制のインターネット掲示板に「TABLOに真実を要求します」というコミュニティーを作った。そして、19万2800人を超える会員を集め、「成績表を公開せよ」「出入国記録を出せ」と要求するなど、まるで「ネット人民裁判」の様相を呈していた。これを受け、TABLOさんはネットユーザー22人を名誉棄損で告訴し、苦痛を訴えてが、「インターネット紅衛兵」たちの狂気じみた攻撃はとどまる所を知らず、ついには公権力が捜査に着手するという、韓国ならではの騒動にまで至った。
いかなる個人にも私的な領域と公的な領域が存在するものだが、芸能人の場合は、その二つの境界があいまいになっているのも事実だ。だが、芸能人にも保護されるべき私生活は確かに存在する。憲法第17条は「すべての国民は私生活の秘密と自由を侵害されない」と規定しており、最高裁判所は判決で「今日の高度に情報化された現代社会では、自身に関する情報を自律的に統制できる積極的な権利も保障される」との判断を示した。TABLOさんに対して浴びせられた「ネット暴力」は、「外部に露出せざるを得ない芸能人のプライバシーは暴露され、私生活がさらされてもかまわない」という人権抹殺的な性格を持つものだった。
ハーバード大学法科大学院のキャス・サンスティーン教授は、インターネット上でうわさが広まり、徐々に大勢の人々がそれを信じるようになる「情報の滝」現象を指摘し、「より厳正な名誉棄損罪を適用すべき」と主張した。しかし、法による処罰は、社会を維持するのに最小限の違反を規制するだけで、社会全体の精神的な病理現象を治すには限界がある。2003年、尹聖植(ユン・ソンシク)監査院長候補者に対する聴聞会で、野党議員は何らはばかることなく、「尹候補者夫人の学校の成績表を公開せよ」と要求するほど常識外れだった。インターネット上で「表現の自由」という大義名分に隠れ、特定の個人に容赦なく言葉の暴力を浴びせる韓国社会への処方せんが急がれる。
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