TABLO学歴疑惑に見る韓国ネット社会の病態(上)

 「自分たちが信じるものだけが正しくて、ほかはウソだと主張し、証拠が示されても『捏造(ねつぞう)』、証人が現れれば『買収された』と攻撃する自己睡眠にかかった集団のようだ」

 これは「ホワット・ビカムズに真実を求める」と題するコミュニティーサイトへの書き込みだ。このサイトは歌手TABLOさん(本名:イ・ソヌン、30)の学歴詐称疑惑を追及するサイト「TABLOに真実を求める」の運営者ホワット・ビカムズ氏に反論するために開設されたものだ。この書き込みを行ったネットユーザーは、「(一部のネットユーザーは)ネット上では自分が神だと思い込み、匿名性を利用して他人に被害を与えている。いくら表現の自由が許されるとしても、自由には一定の責任が伴うべきだ」と主張した。

 警察が8日、TABLOさんが米スタンフォード大学を卒業したのは事実との捜査結果を発表し、学歴詐称疑惑が一段落したにもかかわらず、インターネット上では「警察の発表は信じられない」という書き込みが多く寄せられた。サイト「TABLOに真実を求める」には、「落ち着いて長期的に闘っていこう」という書き込みもあった。

 今回の事件は、韓国のインターネット空間の一側面を端的に表している。検証されていない情報がまるで真実のようにインターネット上に掲載され、一部のメディアがその内容をきちんと検証せずに伝えるという悪循環だ。ネットユーザーは疑惑を指摘する書き込みや記事に熱狂し、瞬く間に拡散させた。そして、TABLOさんの一件では、「TABLOに真実を求める」「常識が真理の世の中」というサイトが論争を過熱させた。

 建国大のハ・ジヒョン医学専門大学院教授(神経精神科)は、「TABLOさんを攻撃するサイトのメンバーは、たとえ虚構だったとしても、社会的に大きな関心を集めた。TABLOさんがスタンフォード大に通っていなかったという信念が、彼らには自己存在理由となった」と分析した。ハ教授は、「彼らは社会的影響力を維持するため、今後も自らの過ちを認めないはずだ」と指摘した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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