【社説】韓米は北朝鮮軍部の浮上に備え安保体制整えよ

 韓国国防部の金泰栄(キム・テヨン)長官と米国のゲーツ国防長官は、8日に米国ワシントンで行われた韓米定例安全保障協議会(SCM)で、「戦略同盟(SA)2015」「国防協力指針」「戦略企画指針」などに合意した。この会議で双方は、北朝鮮での三代世襲、核・ミサイルによる挑発の可能性、さらに北朝鮮情勢の急変の可能性など、韓半島(朝鮮半島)の安全保障におけるリスクを高める複数の問題について、集中的に協議を行ったという。

 今回の定例協議会で出された結論のうち、最も目につくのは、韓米両国の国防当局者が出席する「拡張抑制政策委員会」の設置だ。これはm北朝鮮が核を放棄するよう説得する外交努力とは別に、核による挑発に備えるため、軍事面で複数の対策を取りまとめることを目指すものだ。米国が同盟各国と大量破壊兵器抑制に向けた委員会を立ち上げたのは、北大西洋条約機構(NATO)に次いで今回が2回目だ。

 現在、北朝鮮で進められている権力の三代世襲は、現代では考えられない、まさに異常な現象だ。このように異常な行動を取る北朝鮮が核やミサイルといった兵器を手にしていること自体、韓国にとっては悪夢のような現実だ。北朝鮮は三代世襲を進めるため、軍での経歴がまったくない金正恩(キム・ジョンウン)氏に大将の称号を与えた。このことは今、金正日(キム・ジョンイル)総書記と正恩氏親子が頼れるのは、軍が手にする銃口以外にないということを示している。北朝鮮の軍部は、在来戦力では韓国に劣ると判断し、最近では核やミサイルなどに力を入れている。このような状況から考えると、今回、韓米両国が北朝鮮の核やミサイルに対抗する軍事的な対策を取りまとめるための「拡張抑制政策委員会」を立ち上げたのは、非常に適切だと評価できる。

 韓米両国は今回新たに合意した戦略企画指針で、北朝鮮による局地的な挑発や非対称戦力に対する備えも新たに準備することにした。北朝鮮による挑発が過去と同じような形で繰り返されると仮定するわけにはいかない。北朝鮮はいつでもインターネットによるサイバーテロや、都心の主要施設を狙ったテロを行う可能性があり、それらを常に念頭において、対策に乗り出さなければならない。今年3月に紹介間「天安」が沈没したときも、韓国軍の対応にはさまざまな問題があることが明らかになった。北朝鮮によるこの種の非対称挑発に備えるための共同対策は、韓米両国が共に準備しておかなければならない。

 北朝鮮の権力内部では軍の力がさらに拡大しているが、韓米両国はこのような状況に備えるための対策も取りまとめる必要があるだろう。北朝鮮に対する外交的な措置が成果を発揮するためにも、韓米両国は北朝鮮の軍部に対し、いかなる挑発も自分たちを破局に追いやることを悟らせなければならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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