ことしのノーベル平和賞に、中国の民主化を訴え、共産党の1党支配を批判する文書を発表したことで有罪判決を受け、服役中の中国人作家、劉暁波氏が選ばれました。中国外務省は北京駐在のノルウェー大使を呼び正式に抗議するなど、反発を強めています。
ノルウェーのオスロにあるノーベル平和賞の選考委員会は、8日、ことしのノーベル平和賞に、1989年の天安門事件の際の民主活動家で、作家の劉暁波氏(54)が選ばれたと発表しました。劉氏は、中国の民主化の必要性を訴え、共産党の1党支配を批判する「08憲章」と呼ばれる文書を起草して、おととし、インターネット上に発表したことが、中国で国家と政権の転覆をあおる罪に問われ、懲役11年の判決を受けて、現在、中国東北部、遼寧省の刑務所で服役しています。劉氏を選んだ理由について、ノーベル平和賞の選考委員会は「言論や集会の自由が明らかに制限されている中国で、劉氏は過酷な弾圧にもかかわらず、人権を確立するための世界規模の取り組みの先頭に立つシンボルとなってきた」と説明しています。これに対して、中国外務省は直ちに談話を発表し、「劉氏は中国の法律を犯し刑罰を科された人物で、ノーベル平和賞の権威を傷つけるものだ」と強く反発しました。さらに、ノルウェー外務省によりますと、中国外務省は、8日夜、北京駐在のノルウェーの大使を呼び、「今回の受賞の決定は両国関係を損なうだろう」などと述べ、正式に抗議しました。これに対して、ノルウェーの大使は「ノーベル平和賞の選考委員会は、政府から独立した組織であり、その決定に政府は関与しない」と述べ、抗議はあたらないと答えたということです。しかし、中国政府はノルウェーに対する報復措置も示唆しており、抗議の姿勢をさらに強めていくものとみられます。