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【産経抄】10月9日
このニュースのトピックス:産経抄
何度でも書き残しておかねばならないことがある。平成13年、当時の小泉純一郎首相が8月15日に靖国神社を参拝しようとしたことに対する中国の反応だ。中でも唐家●外相の執拗(しつよう)なクレームは、外交というようなものではなかった。
▼同年7月、ハノイで田中真紀子外相と会談した後記者団に日本語でこう語った。「やめなさいとゲンメイしました」。この「ゲンメイ」を翌日の各紙は「言明」と書いたが、産経抄だけは「いや厳命だったのではないか」と異をとなえた。それほど唐氏の態度は高圧的に見えた。
▼この他国を他国と認めないような姿勢は、どうやら中国の「伝統」らしい。今年のノーベル平和賞選考に当たって、ノルウェーのノーベル賞委員会に圧力をかけたという。中国の民主活動家、劉暁波氏を選ばないようにという露骨なものだったらしい。
▼平和賞は他の5賞と違いノルウェー国内に設置された委員会で選ばれる。そのことへの疑問もあるし、時には「政治的過ぎる」との批判も浴びる。とはいえ他国が選考段階で自らの都合により圧力をかけるなど、とうてい許されることではない。
▼だがそんな心配をよそに、委員会は劉氏への平和賞授与を決めた。躊躇(ちゅうちょ)があったかどうか分からないが、圧力をはね返した形である。中国は当然怒り心頭だろうが、これでその言論抑圧の姿勢や他国への恫喝(どうかつ)的外交など、この国の未成熟な国家のあり方が白日のもとにさらされたのだ。
▼一方で日本はといえば、靖国参拝や歴史観では中国の圧力に屈してばかりだ。最近も尖閣問題であっさりと膝(ひざ)を屈してしまった。日本に比べてはるかに「小国」といえるノルウェーのがんばりをどう見ているのだろう。
●=王へんに旋