地元小学生から激励を受けるザウバー・フェラーリの小林可夢偉=三重県・鈴鹿サーキット(撮影・神子素慎一)
「F1日本GP」(8日開幕、鈴鹿サーキット)
F1の今季第16戦・日本GP(三重・鈴鹿サーキット)は、8日のフリー走行で開幕を迎える。F1フル参戦1年目の小林可夢偉(24)=ザウバー・フェラーリ=は7日、初の母国凱旋にも自然体を強調。今季自身6度目の入賞を目指し、無心の境地で初日の戦いに出陣する。
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周囲の熱気もどこ吹く風だ。自身初の母国レースを翌日に控えても可夢偉は至って冷静だった。「プレッシャーは全然ない。頭にあるのは今晩何を食べようかってことだけ」とニヤリ。開幕前夜にもかかわらず自ら“脱力系”を宣言した。
鈴鹿を走るのは03年のフォーミュラ・トヨタ以来7年ぶり。昨年の日本GPフリー走行で、トヨタのティモ・グロックが体調不良を訴え急きょ欠場。その時の代役を機にシートを獲得した“分岐点”だが「特に、ほかと変わらない」と軽く受け流した。
ルーキーイヤーながら15戦を終えて入賞5回。ドライバーズランクでも12位につける新鋭に聖地の期待はいやが上にも高まっている。それでも「久々に走る鈴鹿でできればいいレースをしたいけど気持ちだけではできない」としっかりと自分の足元を見つめた。
この日午前には『ピットウォーク』に訪れた地元小学生を相手に即席のサイン会を開催。進んで盛り上げ役を買って出た“日本GP宣伝部長”は「自分はどうでもいい。F1を見に来ようと思ってくれる子どもがいることが大事」と胸を張った。
直近2戦こそリタイアに終わったが初日のフリー走行を前にマシンの状態は悪くない。「気負わず自分のレースをするだけ。とりあえず明日走って土曜から」‐。淡々とした口調に揺るがぬ自信と野心が見えた。
(2010年10月7日)