張芸謀監督「釜山映画祭はアジア最高」
『サンザシの恋』が開幕上映作に
「わたしが初めて釜山を訪れた1999年から、韓国映画は急速に発展した。それと共に釜山映画祭も発展してきた。釜山映画祭が今やアジアで最高・最大の映画祭になったのは、韓国映画の発展とうまくかみ合ったからだと思う」。釜山国際映画祭の開幕式を控え、中国映画界の巨匠・張芸謀監督(58)と、映画『サンザシの恋』で主役の男女を演じた竇驍(22)、周冬雨(18)に釜山市内のカフェで会った。
7日に幕を開けた第15回釜山国際映画祭の開幕上映作品『サンザシの恋』を制作した張芸謀監督は、「1999年に『あの子を探して』(原題:『一个都不能少』)で初めて釜山を訪れた際、非常に印象がよかったが、予想通り素晴らしい映画祭になった。今年で退任する金東虎(キム・ドンホ)執行委員長の労苦が非常に大きかったと思う」と語った。
『サンザシの恋』は、中国で文化大革命が起きた1960年代を背景に、若い男女の純粋な愛を描いた作品。村の長老や貧民までが革命や理念を唱えていた時代に、手をつなぐことさえできないはかない愛を切々と描いた。最近まで『HERO』(原題:『英雄』)や『LOVERS』(原題:『十面埋伏』)などのアクション大作を手掛け、08年の北京五輪では開幕式・閉幕式の演出も行った張監督は、この作品で再び初期のころの叙情的な演出を見せている。
「特別な理由はない。たまたま感動的な小説を読み、映画化したものだ。わたしも経験した文化大革命時代のラブストーリーが、観客に感動を与えられると思った」。張監督は、10代後半に文化大革命を経験した。「今思えば、悲劇的でつらい思い出が多い。だが、映画の撮影では文化大革命の背景はあまり前面に出さず、二人の恋にできる限り集中しようと考えた」
映画の原作は、07年に中国で出版されたベストセラー『山査樹之恋』だ。二人の男女が出会い、純粋な愛をはぐくみながらも、男が病気で亡くなるというストーリーだが、張監督は、男女の感情を極めて文学的に描いた。「小説の最後に、女が男の手を取って『わたしが来たわよ』と話しかけながら泣き続ける場面を読んで、大きな感動を覚え、必ず映画化すると心に決めた。だが、五輪の演出で忙しく、撮影が遅れてしまった」
オーディションで7000人もの応募者の中から主人公に選ばれた二人は、この映画でデビューした新人だ。張監督は、「中国にはいい俳優が多いが、社会生活が長いと純粋な感じが出しにくい。新人俳優を起用したのもそうした理由からだ」と語った。せりふが長い場面ではNGを100回も連発したという二人は、初の海外映画祭への参加とあってか、落ち着かない様子だった。周冬雨は、「中学生のときに姉と韓国に遊びに来たことがある」と話したが、竇驍は韓国に来たのは初めてだという。まだあどけなさの残る二人は、「焼き肉を思い切り食べたい」「屋台の食べ物を食べたい」と笑顔を見せた。
釜山=韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者