2010年10月02日(土)放送
日本の報道は日本の新聞では連日大きく1面でこの問題を扱い、テレビ報道でも連日大きくこの問題を取り扱っていた。中国のメディア報道はどう伝えているのか、中国問題に詳しい富士通総研経済研究所主席研究員の氏は「船長が逮捕されて拘留されてから、しばらくは中国国内のメディアはほとんど報道もしなくて、全般的に見るとかなり抑制的なんですね。」と実は中国メディアはこの問題をあまり伝えていないという。事件の翌日、先月8日付けの中国の人民日報では、一面は胡錦濤国家主席が広東省を視察したことを伝える記事で事件の翌日8日の新聞には記事この問題が取り上げれていなかった。
最初に書いたのが事件から2日たった9日、しかも、その扱いは非常に小さかった。さらに、中国の新聞には会場保安庁の巡視艇と漁船が衝突したことを伝える記事は一切なかった。この日の記事には「尖閣諸島の海域で中国漁船の乗組員が逮捕された事件に対し強く抗議する。日本側に直ちに乗組員の釈放を求める。」といった内容。
その後の新聞でも、連日取り上げられてはいるものの、記事は小さく、一面で取り上げられたことは一度もなかった。中国メディアの"控えめな"報道姿勢。その裏には中国の意思があると柯隆氏は分析した。「中国のマスコミを見ると基本的に政府が100%コントロールしているものなので、中国政府が思い切って抑えている。小泉元首相の時の反日デモの時の教訓でもあります。」
小泉純一郎元総理が行った靖国参拝に抗議して、中国では大規模なデモが行われた。このデモは中国各地に飛び火。中国政府がコントロールできないほど大規模なものとなり、今でも、中国政府には反日感情に対して懸念があるようだ。「今の社会状況は格差が大きい社会ですから、それに対する不満がある人もデモに参加する。それが最終的に共産党に飛び火する可能性もありますので日中間で解決していこうと。それが国内の問題とリンクさせない方がいい。(メディアを)見ていても彼らのやり方がはっきりしていると思います」と今回の尖閣諸島問題の中国報道を分析した。
この報道姿勢に対して、コメンテーターの中央大・松野教授は「政治体制が日本と中国では違うので、メディアの姿勢も違う。基本的に中国の報道されるのは政府の方針・制作がメイン。それぞれの言い分を伝える両論併記で伝えたことは数えるほどしかなかった。だから、日本と同じように捉えないほうがいい。逆に中国の報道は何かしらの政府のメッセージが入っていると捉えた方がいい。日本のメディアも情動的に煽らない方がいい。国際問題に発展する可能性があるので冷静に、解説・分析をして報道した方がいいと思います。」と答えた。