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 ウナギのなかま
 2010年4月、水産総合研究センター(横浜)は、ウナギの完全養殖の成功を発表した。まだまだ予算の面で、実用化には遠いそうだが、魚類を食用とする日本の将来にとって明るい話題である。  

 ところでウナギのなかまにはどんな魚がいるだろう?

 ウナギのなかま(ウナギ目)は硬骨魚類の分類群の一つ。3亜目15科141属で構成され、ウナギ・アナゴ・ハモ・ウミヘビ・ウツボなど791種もいる。アナゴ、ウツボはなんとなくそうかなと思うが、ウミヘビまで同じなかまとは思わなかった。 

Eel

 一方、ウナギと名前はついているが、ウナギではないなかまもいる。ヤツメウナギ・ヌタウナギ・デンキウナギなどは名前に「ウナギ」とあるがウナギ目の魚類ではなく、それぞれヤツメウナギ目・ヌタウナギ目・デンキウナギ目に属する。また、フウセンウナギ目はウナギ目とは異なる近縁のグループと考えられていたが、1990年代以降のDNA解析に基づく研究によれば、ウナギ目内部に分岐しウナギ科に近縁である可能性が示唆されている。

 ムカシウナギ科
 さて、新種のウナギが、北太平洋のパラオの海底洞窟で見つかった。DNAや体の特徴から、「生きた化石」とも呼べる原始的なウナギと分かった。約2億年前からあまり姿を変えずにひっそりと暮らしてきたようだ。北里大や千葉県立中央博物館などが24日、「ムカシウナギ科(仮称)」という新しい科を提唱し、津市で開かれる日本魚類学会で発表した。

 この魚を見つけたのは、パラオ在住の魚類研究者の坂上治郎さん(43)。昨年3月に洞窟で、成魚の長さが20センチほどでゆっくり泳ぐ、見慣れない魚に気付いた。

 連絡を受けた北里大名誉教授の井田斉さん(69)は何の仲間か判断に迷い、千葉県立中央博物館上席研究員の宮正樹さん(51)に細胞内のミトコンドリアDNAの解析を依頼した。他の様々な魚のDNA配列との比較から、この魚は他のウナギとは約2億年前に分かれた仲間である可能性が高いことが分かった。

 体の特徴も、知られてきたウナギの仲間(ウナギ目)と大きく違った。ウナギ目に共通するという42の特徴を調べると、七つが当てはまらなかった。例えば、100個以上ある脊椎(せきつい)の骨が約80個しかなく、ないはずの、餌をこしとる鰓耙(さいは)という器官があった。

 ウナギ目はウナギ科やアナゴ科など19科からなり、新しい科が認められれば、約40年ぶりになる。(asahi.com 2010年9月26日)

 ウナギとは何か?
 熱帯・温帯を中心とした世界中の海域に分布する。ほとんどの種類が海に生息していて、淡水域や汽水域で生活するウナギ類も産卵は海で行う。ウツボなど沿岸のサンゴ礁・岩礁域に生息する種類から、シギウナギ・バケフサアナゴ・ホラアナゴなどの深海魚まで、幅広い生息範囲をもつグループである。生涯を河川で暮らす、完全な淡水産種が少なくとも6種知られている。

 成魚の体は細長い円筒形で、いわゆるウナギ型をしている。すべての種類が腹鰭とそれを支える骨格をもたず、ウツボ科の仲間では胸鰭も欠いている。胸鰭は体側面の中央より背中側に位置しており、支える骨格は頭蓋骨と接続していない。背鰭と臀鰭は長く、尾鰭とつながって1つの鰭のようになっている。

 ただしウミヘビ類では尾鰭の先端が切れ、肉質部分が突き出た種類もいる。鰭はすべて軟条で構成され、棘条(とげ)は発達しない。鱗をもたない種類が多く、もっている場合でも厚い皮膚に埋もれていることが多い。浮き袋をもち、卵管を欠く。

 多くの種類は夜行性で、昼は物陰にひそむか、水底の砂泥に潜りこんでいる。夜になると細長い体をくねらせて泳ぎ、餌を探す。チンアナゴなど砂底から離れずプランクトンを待ち伏せするタイプの種類もいるが、多くは他の魚類・甲殻類・貝類・頭足類などを捕食する。ハモ・ウツボ・ウミヘビ類など、獲物を捕食するために大きな口と鋭い歯を発達させているものもいて、これらの生体をうかつに扱えば人間でも咬みつかれ、負傷することがある。

 レプトケファルス幼生
 卵は小卵多産で、浮遊卵を産卵する。天然のウナギ目の卵は、産卵の範囲が広いため現在のところ目撃されていない。卵から孵化した仔魚(しぎょ)はレプトケファルス(葉形仔魚;Leptocephalus)と呼ばれる幼生で、半透明で木の葉のように平たい形をしている。

 これはウナギ目が属するカライワシ上目(他にカライワシ目・ソトイワシ目など)の魚類に共通する特徴である。ウナギ目のレプトケファルスは尾鰭が小さく丸みを帯び、背鰭・臀鰭と連続している点で独特である(フウセンウナギ目も同様の特徴をもつ)。ウナギ目のレプトケファルス幼生は漂泳生活を送りながら20cm程度(50cmを超える種類もある)にまで成長し、変態を行って成魚とほぼ同じ形態の稚魚となる。この変態の過程において、一般に体長は著しく短縮する。

 

参考HP Wikipedia「ウナギ目」

ウナギ―地球環境を語る魚 (岩波新書)
井田 徹治
岩波書店

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ウナギのふしぎ―驚き!世界の鰻食文化
リチャード シュヴァイド
日本経済新聞社

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