9月の外貨準備高発表、多くが米国債で運用か。
ポイントは2つ。
①これまでの介入額は2兆1249億円で、これらの多くが米国債購入に充てられた可能性がある。8月末に比べ、外貨準備は379億ドル近く増加し、1ドル85円で換算すれば約3兆2215億円程度となる。介入資金の多くが外国証券(特に米国債)に充てられた可能性が強いからだ。

②9月に為替介入で得た多額のドル資金を即座に米国債購入に充てていた(その間、2週間程度)ことが事実ならば、円高回避の介入を実施しながら、一方で介入資金の運用でドル相場を押し下げる方向の行動があったことになる。
→これは、市場介入に対する反発が米政権内から生じることを警戒して、日本政府は懐柔策として米国債の購入を9月中に積極的に行ったのかもしれない、との見方もある。


●民主が国家ファンド構想―米国債売却に財務省反発
日経より、以下引用。
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民主党が緊急経済対策で打ち上げた「国家戦略ファンド」構想に、財務省が反発を強めている。同ファンドは海外の大型プロジェクトなどに資金を投じて将来の利益を狙うもの。党側は外国為替資金特別会計(外為特会)の資産を当て込んでいるが、創設にあたって米国債の売却処分を迫られる恐れがある。自民党政権でも「禁じ手」と遠ざけられがちだった国家ファンド構想の行く手は険しい。
「結局、介入の効果も芳しくないじゃないか。国家ファンドの創設も一つの手だ」。対策案のとりまとめが佳境に入った今週半ば。民主党幹部は財務省の幹部らにファンドの創設検討をのむよう迫った。
海外資源メジャーやレアアースなどの権益獲得に向けた大型の対外直接投資を増やせば「強い円」を生かせる。中長期的な円安要因にもなる。民主党幹部らはそうみた。
目をつけたのは、外為特会に眠るおよそ100兆円規模に上る外貨準備だ。過去の巨額のドル買い・円売り介入で積みあがったドル資産だが、一般会計を傷めずに数兆円規模の財源を確保できると踏んだわけだ。
これに財務省は「非現実的で無理な話」(幹部)と冷淡そのもの。国家ファンドに出資するには、リスク遮断のため法改正をして外為特会からドル資産を分離・独立する必要がある。国民負担を伴う可能性も否めず、ねじれ国会下での合意形成は狭き門だ。
最大のハードルは、出資金を捻出(ねんしゅつ)するために外為特会にある多額の米国債の売却を迫られそうなこと。米長期金利の上昇を招きかねない米国債売却は、景気刺激策に悩む米国の怒りを買いかねない。
実は国家ファンド構想は、仙谷由人官房長官や前原誠司外相がそれぞれ国家戦略担当相、国土交通相だった時に、成長戦略の一環で財務省に検討を指示した経緯がある。実力政治家らがなお関心を示す中では構想そのものを突き放しがたいのも事実。
この先、同省がどんなボールを党に投げかえすのか。ややきわどい場面があるかもしれない
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ポイントは2つ。
①国家ファンドの原資は、外為特会の資産。

②しかし、これには米国債の売却が伴うから、実現可能性は低い。


●「ファブレス」半導体で台頭、工場持たず、開発・販売に専念、供給シェア、2割を突破
日経より、以下引用。
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世界の半導体業界で大規模集積回路(LSI)の開発・販売に専念するファブレス(工場なし)企業が台頭している。半導体の世界販売でファブレスの供給シェアは2009年に初めて2割を超え、今後も比率は高まる見通し。工場への巨額な設備投資の必要がなく、LSIチップの性能向上や売り込みに集中できるのが強みだ。北米に続き、台湾でもファブレスが急成長してきた。
米調査会社ガートナーによると、09年の世界の半導体販売でファブレスの占める比率は22・5%。05年と比べて7・6ポイント上昇した。「長期的にファブレス化の傾向が続く」(ガートナージャパンの山地正恒シニアアナリスト)とみられる。
09年のファブレス比率は08年と比べて4・3ポイント上昇。これは米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が09年に製造部門を分離し、ファブレス化したことも要因だ。地域別では米州でファブレスの比率が3割を超え、アジア太平洋でも3割弱を占めた。
ガートナーの調査では、09年の半導体業界全体の売上高ランクでファブレス最大手の米クアルコムが08年の8位から6位に、AMDが11位から9位に順位を上げた。クアルコムは無線通信用LSI、AMDはパソコン用MPU(超小型演算処理装置)と得意な半導体の回路設計・販売に集中している強みが生きた。
企業の所在地別では、台湾勢の好調が際立つ。米調査会社ICインサイツによると、世界のファブレスの売上高上位25社で09年に2ケタ増収だったのは5社で、うち4社を台湾企業が占めた。聯発科技(メディアテック)は2割超の増収で、瑞〓半導体(リアルテック)なども好調だった。
ファブレス躍進の背景には、最新鋭の半導体工場の建設費が2000億円規模まで膨らんできた事情もある。05年前後から、投資負担に耐え切れなくなった総合メーカーが工場を閉鎖してファブレス化したり、一部門をファブレスとして独立させたりする例が続いた。
09年にはAMDのほか、独インフィニオンテクノロジーズも有線通信用半導体部門を分離した。
09年にファブレス上位25社に入った日本企業は19位のメガチップス1社だけだった。成長する事業形態で有力企業が少ない日本の半導体産業は、存在感がさらに薄れかねない。
(アジア部 山本優)
▼ファブレス(Fabless) 製作や組み立ての工程を持たないこと。半導体のファブレスはLSIチップの製造を台湾積体電路製造(TSMC)などのファウンドリー(受託生産会社)に任せ、自社は回路設計や販売に特化する事業モデル。生産設備への投資負担なく得意分野に経営資源を集中できる利点があるため、資金力の乏しいベンチャー企業などには有力な経営手段となる
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将来的には、家電メーカーや自動車メーカーもファブレス化が進むと考えられる。
IT化の進展とそれに伴うロジスティックの質の向上のためだ。
これは、大前研一氏も指摘している。

大前研一「新・資本論」―見えない経済大陸へ挑む

大前研一「新・資本論」―見えない経済大陸へ挑む

このままでは、日本企業の多くがOEMに特化した事業をしないといけなくなる。
事業転換はお早めに。


●スズキ会長、鈴木修氏の話。
日経より、以下引用。
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電気自動車が普及したらエンジン関連の部品業界が大変だというけれど、産業革命だと思ってチャレンジするしかない」。7日に始まった浜松地域の産学官による次世代エコカー走行実験の式典で、スズキの鈴木修会長兼社長は先行きを不安視する部品メーカーにエールを送った。
▽…浜松周辺はスズキやヤマハ発動機を擁する企業城下町。円高などで経営環境は悪化しており、電気自動車への対応で後手に回る企業が多い。「今回の取り組みは、みんなで一緒に研究していこうという地域へのメッセージだ」。二輪車や四輪車で栄えた地域の将来をどう描くのか。「まずは乗って、感じてみてほしい」と話していた。
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電気自動車への転身を強くアピールしている記事だと思う。
彼が亡くなるまでにスズキがどれだけ強くなれるか。
もしできなければ、VWの食い物にされてしまう。