NHK報道局スポーツ部の記者が、ことし7月、警察の捜査対象となっていた日本相撲協会の関係者に、他社から聞いた捜査に関する情報をメールで送っていたことがわかりました。NHKは、コンプライアンス上も報道倫理上もきわめて不適切だとして、さらに事実関係を調べたうえで、厳正に対処することにしています。
メールを送っていたのは、NHK報道局スポーツ部の30代の記者で、ことし5月下旬から応援という形で相撲協会の取材をしていました。NHKの内部調査によりますと、この記者は、7月7日の午前0時ごろ、野球賭博で警視庁の捜査の対象となっていた相撲協会の関係者に、「賭博関連で警察の捜索が入るようです。まちがった情報だったらすいません。他言無用で願います。バレたらたいへんなことになりますので」などという携帯メールを送っていました。警視庁の相撲部屋などへの捜索は、7日の午前中から行われました。内部調査に対して、この記者は「NHK内部の取材情報ではなく、7月6日、国技館での取材中に『あす警察の捜索が行われるようだ』という話を他社の記者から聞き、取材先だった相撲協会の関係者に伝えて確認しようと思った。関係作りもしたかった」と説明しています。また、内部調査の結果、この間(かん)、捜索の有無について、NHKの事件担当の記者とこの記者が接触した事実はありませんでした。NHKは、警察の捜査対象となっているなかで、捜査に支障を与えかねないメールを送ったことは、コンプライアンス上、きわめて不適切であり、報道倫理の上からも大きな問題があるとして、警察にいきさつを説明するとともに、さらに事実関係を調べたうえで、厳正に対処することにしています。これについて、警視庁は「捜査の過程で事実関係を把握し、記者から事情は聴いた。犯罪になるかどうかは検討中だ」などとしています。NHKは「報道に携わる者としてあってはならないことで、きわめて遺憾で、視聴者の皆様に深くおわび申し上げます。今後、取材の倫理とコンプライアンスを順守するよう、よりいっそう指導を徹底してまいります」とコメントしています。